に投稿 コメントを残す

[世界選の思い出] #Richmond2015 U23 ロードレース

世界選は最終日に行われるエリート男子が距離・レベルともにやはり最高峰だけど、ジュニアやU23の戦いも凄く面白いです。

 

将来エリートで活躍するであろう選手の多くはここから出るので自分的にはむしろコチラに興味があります。

 

エリートは出るべき結果しか出ないですが、U23やジュニアは起死回生の一発みたいなのが決まることもあって、それがまたエキサイティングで面白いです。

各国連盟の強化はU23を中心に回っていると言って良いぐらいです。

 

ここでの成績がワールドツアーに行けるかどうかを決めますし、それは将来的に自転車で食べていける=プロとして身を立てることが出来る ことに繋がるからです。それだけにここに出てくる選手は皆必死ですね。

 

IMG_6178

 

 

ジャンニ・モスコンのように2015年ここを走っていた選手の内の何人かは既にワールドツアーで活躍しています。

 

 

 

パワートレーニング的に言うとU23で活躍する選手のFTPはエリートとほぼ変わりません。

違うのはエリートは6時間を過ぎてもそのパワーが出せること。
そしてシーズンを通して高いFTPが出せることです。

逆に言うとエリートで活躍する選手になるにはU23時代にエリート並みのFTPを手に入れておくことが要求されるということです。

IMG_5878S

 

Peaks Coaching Group – Japan

中田尚志

に投稿 コメントを残す

54才の自転車部員 菊池さんの挑戦

スクリーンショット 2018-09-09 14.43.28
 昨年53才にして国体初出場を成し遂げた菊池さんが今年も国体に選出されました!
 
(1)ゴールを決めてトライ&エラーを繰り返す
菊池さんは、英語で言うところの ” Goal – oriented “な方です。
※Goal – oriented person 明確な目標(ゴール)を掲げそこに向けて努力できる人のこと
 
一旦ゴールが決まればそこに向けて戦術を練りトライ&エラーを繰り返します。
 

(2)ゴールを達成するためのトライ&エラー

菊池さんはテクノロジーを駆使し進歩を測る能力に長けています。

パワーメーターはもちろん、ビデオ、活動量計に至るまで情報を収集し、パフォーマンス改善につなげていきます。

 

菊池さんの手法
・トレーニング日誌には調子・気分・普段の出来事などを記録
・ビデオで走りを振り返る。
・トラック練習ではギアレシオ・最大パワー・スピード・バンクのクセやライン取りなども記録。

 

 
 
 
 
(3)情報の活用 
菊池さんのトラック競技への挑戦はコーチングを始めてからスプリント/AC領域の伸びの早さに気づいたことから始まりました。
ロード練習で磨いたスピードを更に伸ばすためにトラック・レースを始めることをお勧めしました。
彼にバイクレースのバックグラウンドがあったことも、お勧めした理由のひとつです。 
 
菊池さんは50歳を過ぎてから、地元長崎県の高校自転車部に”入部”を志願。
五輪出場経験もある顧問の先生は快く彼の挑戦を受け入れてくれました。
 
そして日々研鑽を積み昨年は53歳にして国体に初出場。
今年は春先選考基準が改定され出場がより難しくなった中、果敢に挑戦し再度代表に選ばれました。
 
国体出場という目標の元に平日はロードワーク、休日はバンク練習に励み、レースでは展開・気分・相手・機材など全てを練習日記に書き込みます。
トラックトレーニングやレースではビデオを撮影し走りや展開を記録。バンクのクセやライン取りも記録し次に活かします。
 
更にビデオをインターネットにアップして下さいますので、私もビデオを見てアドバイスを書き込みます(菊池さんいつも遅くてすみません!!)。
 
これらの情報を随時振り返り改善点を洗い出し、次の走りに活かします。
いわゆるPDCAサイクルを回していくわけです。
Plan: 具体的なプランを決める。
Do: トレーニング/レースで実行
Check: ビデオ・パワー・練習日誌などでチェック新たな課題の洗い出し
Action: チェックで洗い出した課題を踏まえてアクション

 

スクリーンショット 2018-09-09 18.59.19

 
 
(4)今年の国体での目標は1回戦突破
 
ゴールを設定した菊池さんは、8ー9月に地元で行われるトラックレースに積極的に出場し、メキメキと戦術を磨いて行きます。
最初の頃は、どこか遠慮がちで着順をまとめるレースだったのが、最近では勝ちを狙う走りに変わり、決勝に上がれるように。
スプリントではハロンで11秒67。どのバンクで走ってもタイムは安定して来ています。
これはビデオによる改善やバンクの特徴を詳細に記録し走る度に改善していった賜物です。
 
直近のレースでは地元の高校生に混じり唯一の社会人レーサーとして決勝にコマを進めるまでになりました。
 
つぎはいよいよ国体本番。
 
9/25日から始まる福井国体に向けて菊池さんの挑戦は続きます。
 
 
に投稿 コメントを残す

マウンテンサイクリング in 乗鞍 女子優勝! 牧瀬翼選手 part 3

マウンテンサイクリングin 乗鞍のパワー解析最終回は標高がパワーに与える影響と今後の展望について書いてみたいと思います。

(4)標高がパワーに与える影響

40379665_321437988628504_7008960098164801536_n

写真提供: (c)信州ふぉとふぉと館

牧瀬選手が231Wで1h10分 程度走れることは事前のトレーニングデータから分かっていましたが、それはあくまで低地での話です。

乗鞍はスタート地点で既に1,460m、フィニッシュ地点は2,720mにも達し酸素濃度の低下によるパフォーマンスへの影響は避けられません。

パワー解析ソフトWKO4では「もし海抜0mであれば何ワット出ていたか?」を計算する機能 ECP(elevation corrected power 標高でのパワー補正)があり、これにより標高がパワーに与える影響をある程度知ることが出来ます。

Tsubasa-Norikura-HC-Review2.0 .006

牧瀬選手の場合、レース前半は平均241Wをキープし、後半は225Wに下がっています。

一見すると16Wもペースダウンしたように見えますが、ECPで見ると下がったのは僅か4W 。

こうして見ると16Wのペースダウンの内の12Wは概ね標高によるものであったことが分かります。

標高が与える影響は個人差がかなり大きく「何m上がると何%ワット数が下がる」というような全員に当てはまる一定の数式は存在しません。ですから必ずそうであったと断言は出来ませんがECPにより標高がパワーにどの程度影響を与えているかをうかがい知ることは出来ます。

牧瀬選手の全体のECPは253W!

もし低地であれば1h8分にわたり253Wを維持出来た可能性があることを表しています。

こうして見ると牧瀬選手はこの日かなり限界まで能力を引き出せていたことが分かります。

(5)どこまでタイムは縮むのか?

今回良いパフォーマンスを引き出した牧瀬選手ですが、パワーデータを見返してみると、まだ少しタイムを縮めれる可能性があると感じます。

将来的に彼女がどこまでいけるのかを予想してみましょう。

タイムが縮むと感じる理由

  1. トレーニングの一環として参加したため、レースに向けて緻密なコンディショニングを行ったわけではない。
  2. 通常のロードレースに使うバイクを使用している。
  3. レース当日の気象条件

理由1. レースに向けてのコンディショニング

Part1でご紹介したように今回はCTL89tss/d(過去42日のトレーニング量の平均)を上回るATL99tss/d(大会前の一週間のトレーニング量の平均)で大会当日を迎えたために若干疲労が溜まっている状態で大会当日を迎えています。大会前にトレーニング量を落とし、フレッシュな状態で走っていれば、もっとキレのある走りが出来た可能性があります。

また大会までは2019を見据えたエンデュランス中心のトレーニングをこなしている為に、レースに向けたVO2Max以上のトレーニングはあまりしていません。

その為にレースで必要なパンチ力を欠いていた可能性があります。

特にVO2Maxについては、登りでのキレを作ってくれるので大会1ヶ月前に行っておけば効果が大きいです。

またVO2Maxトレーニングを行うことでベースであるFTPも上る可能性があります。

FTPを引き上げるには2つの方法があります。1つはエアロビックの能力を高めFTPを下から押し上げる方法、もう1つはVO2MaxのトレーニングをしてFTPを上から引き上げる方法です。

スクリーンショット 2018-08-31 10.56.38

短期的に効果が上がるのは後者の方法ですからピーキングの中でこのトレーニングをすれば、特に後半のタイム(アタック〜フィニッシュ)が短縮出来る可能性があるわけです。

理由の2.通常のロードレースに使うバイクで出場

Part2.で紹介したパワーウエイトレシオの問題です。

Best Bike Split(ベスト・バイク・スプリット)というソフトウエアを使えば、異なる条件でレースを走った場合のタイムを想定することが出来ます。

このソフトによると、もし1kg軽量化して臨んだ場合、タイムは約1分短縮することが出来ます。

ロードレース用とはいえ彼女のバイクは7.2kgと既に充分軽いバイクですが、体重を500g、バイクを500g軽量化出来れば1分近くタイムは縮まるわけです。(もちろんパワーダウンしないことが前提です)

UCIのルールでは最低重量6.8kgの規定がありますが、乗鞍に限ってはUCIルールは関係ありませんから超軽量バイクの使用も可能なわけです。

ちなみに重量減は同じ重さでもバイクの重量減よりも体重減の方が効きます。

それは脂肪を減らすことで無駄に脂肪に血液を送る必要がなくなったり、排熱効率が上がったりと重量減にプラスした効果が見込めるからです。

スクリーンショット 2018-08-30 14.24.56

https://www.bestbikesplit.com/member-race-details/111299

私は信頼性を犠牲にしてまでもバイクを軽くするのはお勧めしません。

レースは完走することが大前提ですし、「軽くはなったけど壊れるかも」といった不安を抱えて走るのは精神的にも良くないからです。

キワモノ的なパーツではなく信頼できるパーツで軽量なものを選ぶのがお勧めです。

40247065_511625512632529_5232407040076283904_n

牧瀬翼選手の走りを支えるGOKISOカーボンホイールとカーボンドライジャパンのビッグプーリー

理由3. レース当日の気象条件

台風が通過した影響か当日の山頂付近は強風が吹き荒れていました。ラスト6kmを彼女は独走していましたが、吹きさらしの区間が無風であれば2分短縮できた可能性があります。

条件が揃えば現在でも1時間6分台を出すことは充分可能でしょう。

彼女自身の競技力がまだまだ伸び盛りであることを考えると、機材や自然条件に頼らずともパワーアップによってそれ以上のタイム短縮が可能だと感じます。

何と言っても今回が彼女にとって初めての乗鞍ヒルクライム参加だったのですから!

来年また彼女が乗鞍に帰ってくるかは今のところ未定ですが、またその機会があれば今回の記録を更新出来ると良いなと思います。

また今回の解析を参考にして頂いて来年乗鞍に参加される皆様のタイムが縮まると嬉しいです。

貴重なデータ提供を頂きました牧瀬選手ありがとうございました!

牧瀬翼選手 フォローよろしくお願い致します!

Web http://flowering-possibility.com/

blog: https://makisetsubasa.amebaownd.com/

Instagram: https://www.instagram.com/tsubasa.makise/

Twitter: https://twitter.com/MakiseTsubasa

2382

写真提供: (c)信州ふぉとふぉと館

Peaks Coaching Group – Japan

中田尚志