に投稿 コメントを残す

[世界選の思い出] #Richmond2015 イヴァン・ステヴィッチ 男子エリート

5月頃ハンターの元に一通のメールが届いた。

 

「セルビアチームを助けてくれないか?」

 

差出人は現役時代にアメリカで走り、現在はセルビアチームの監督をしているラディーシャからだった。

セルビアチームはリッチモンド世界選開催中に現地で宿泊を提供してくれる人やトレーニングコース案内、予備機材の手配をしてくれるボランティアを探していた。

 

IMG_2069

 

PCGコーチのジェームズ・シェーファーは自身の家を宿泊先として提供し、元プロのジョン・ハンブレンはソワニャー兼メカとしてクルマの手配からトレーニングコースの設定までを請け負った。

—–
こうして出来た即席セルビアチームからエリートのレースに出たのはイヴァン・ステヴィッチ。
アメリカで活動したこともある彼にとってこの世界選はプロ生活の集大成。

「俺にとって6時間のレースは長過ぎる。でも出来る限りのことをやるよ」

 

IMG_6485

地元バージニア出身のベン・キングと逃げるイヴァン

 

スタート前こう話していたイヴァンは、地元リッチモンド出身のベン・キング(現在ディメンションデータ)が逃げることを察知しマーク。見事に逃げに乗り4時間以上も逃げ続けた。

それはレース前に話していた「出来る限りのことをやる」という言葉の証明だった。

IMG_6389

スタート前にジェームスの家族と記念撮影

彼のアメリカ時代の知り合いは大喜び。もちろん我々即席セルビアチームは皆彼を尊敬し誇りに思った。

現在彼は引退し、地元で若手の指導をしている。

彼が育てた選手が、将来世界選手権で活躍したら嬉しいし、彼と同じファイティングスピリットを持って競技なり人生なりを過ごしていければ素晴らしいと思う。

中田尚志


セルビアチーム帯同記はチクリッシモNo.50 2016年4月号に掲載しています。
お持ちの方はご覧ください!

 

 

photo by Tommy Cheng, Takashi Nakata

 
に投稿 コメントを残す

[世界選の思い出] #Richmond2015 U23 ロードレース

世界選は最終日に行われるエリート男子が距離・レベルともにやはり最高峰だけど、ジュニアやU23の戦いも凄く面白いです。

 

将来エリートで活躍するであろう選手の多くはここから出るので自分的にはむしろコチラに興味があります。

 

エリートは出るべき結果しか出ないですが、U23やジュニアは起死回生の一発みたいなのが決まることもあって、それがまたエキサイティングで面白いです。

各国連盟の強化はU23を中心に回っていると言って良いぐらいです。

 

ここでの成績がワールドツアーに行けるかどうかを決めますし、それは将来的に自転車で食べていける=プロとして身を立てることが出来る ことに繋がるからです。それだけにここに出てくる選手は皆必死ですね。

 

IMG_6178

 

 

ジャンニ・モスコンのように2015年ここを走っていた選手の内の何人かは既にワールドツアーで活躍しています。

 

 

 

パワートレーニング的に言うとU23で活躍する選手のFTPはエリートとほぼ変わりません。

違うのはエリートは6時間を過ぎてもそのパワーが出せること。
そしてシーズンを通して高いFTPが出せることです。

逆に言うとエリートで活躍する選手になるにはU23時代にエリート並みのFTPを手に入れておくことが要求されるということです。

IMG_5878S

 

Peaks Coaching Group – Japan

中田尚志

に投稿 コメントを残す

54才の自転車部員 菊池さんの挑戦

スクリーンショット 2018-09-09 14.43.28
 昨年53才にして国体初出場を成し遂げた菊池さんが今年も国体に選出されました!
 
(1)ゴールを決めてトライ&エラーを繰り返す
菊池さんは、英語で言うところの ” Goal – oriented “な方です。
※Goal – oriented person 明確な目標(ゴール)を掲げそこに向けて努力できる人のこと
 
一旦ゴールが決まればそこに向けて戦術を練りトライ&エラーを繰り返します。
 

(2)ゴールを達成するためのトライ&エラー

菊池さんはテクノロジーを駆使し進歩を測る能力に長けています。

パワーメーターはもちろん、ビデオ、活動量計に至るまで情報を収集し、パフォーマンス改善につなげていきます。

 

菊池さんの手法
・トレーニング日誌には調子・気分・普段の出来事などを記録
・ビデオで走りを振り返る。
・トラック練習ではギアレシオ・最大パワー・スピード・バンクのクセやライン取りなども記録。

 

 
 
 
 
(3)情報の活用 
菊池さんのトラック競技への挑戦はコーチングを始めてからスプリント/AC領域の伸びの早さに気づいたことから始まりました。
ロード練習で磨いたスピードを更に伸ばすためにトラック・レースを始めることをお勧めしました。
彼にバイクレースのバックグラウンドがあったことも、お勧めした理由のひとつです。 
 
菊池さんは50歳を過ぎてから、地元長崎県の高校自転車部に”入部”を志願。
五輪出場経験もある顧問の先生は快く彼の挑戦を受け入れてくれました。
 
そして日々研鑽を積み昨年は53歳にして国体に初出場。
今年は春先選考基準が改定され出場がより難しくなった中、果敢に挑戦し再度代表に選ばれました。
 
国体出場という目標の元に平日はロードワーク、休日はバンク練習に励み、レースでは展開・気分・相手・機材など全てを練習日記に書き込みます。
トラックトレーニングやレースではビデオを撮影し走りや展開を記録。バンクのクセやライン取りも記録し次に活かします。
 
更にビデオをインターネットにアップして下さいますので、私もビデオを見てアドバイスを書き込みます(菊池さんいつも遅くてすみません!!)。
 
これらの情報を随時振り返り改善点を洗い出し、次の走りに活かします。
いわゆるPDCAサイクルを回していくわけです。
Plan: 具体的なプランを決める。
Do: トレーニング/レースで実行
Check: ビデオ・パワー・練習日誌などでチェック新たな課題の洗い出し
Action: チェックで洗い出した課題を踏まえてアクション

 

スクリーンショット 2018-09-09 18.59.19

 
 
(4)今年の国体での目標は1回戦突破
 
ゴールを設定した菊池さんは、8ー9月に地元で行われるトラックレースに積極的に出場し、メキメキと戦術を磨いて行きます。
最初の頃は、どこか遠慮がちで着順をまとめるレースだったのが、最近では勝ちを狙う走りに変わり、決勝に上がれるように。
スプリントではハロンで11秒67。どのバンクで走ってもタイムは安定して来ています。
これはビデオによる改善やバンクの特徴を詳細に記録し走る度に改善していった賜物です。
 
直近のレースでは地元の高校生に混じり唯一の社会人レーサーとして決勝にコマを進めるまでになりました。
 
つぎはいよいよ国体本番。
 
9/25日から始まる福井国体に向けて菊池さんの挑戦は続きます。