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シクロクロスに向けたトレーニングについて Part3

前回までは、シクロクロス(CX)のパワー特性とトレーニングについてご説明しました。

今回は更にシーズン直前の準備についてご紹介します。
準備期間でFTP付近のエアロビックベースを作った後、いよいよレースが近くなってくるとCXに似せた実戦トレーニングを増やし、CXに特化したパワーとテクニックを磨いて行く必要があります。



(1)マイクロインターバル
Part1でご説明したようにCXレースはON/OFFの落差が激しいインターバルの繰り返しです。
スタートループで猛ダッシュし、最初のコーナーに突っ込んでからは、延々ゴールまでこの”マイクロインターバル”の繰り返しです。

図A.レースのパワー特性

CXレースでの”ON”のパワー特性は、トルクが高く、ケイデンスが遅い状態です。(図Aの赤いドットがONの状態でのパワー。QAⅡのトルクが強くケイデンスが低い状態に集中している。)

ですからトレーニングでの”ON”もトルクが高くケイデンスが低い状態を再現してモガく事が必要です。

図を使って順に説明しましょう。
図①・・・ローラーで行った通常のトレーニングデータ

 
図①ローラー エンデュランス/Vo2Max

図①はエンデュランスでの巡航中にVO2MAXを入れる、ロードレースの集団の伸び縮みをシュミレーションするトレーニングです。楽なトレーニングではありませんが、図②のCXのパワーデータとは似ても似つかない波形です。またケイデンスもロードレース用のトレーニングの為、90-100rpmが中心です。これではCXに特化したトレーニングとは言えません。

図②・・・CXレースでのパワーデータ

 

図②は実際CXレースのパワーデータです。パワーは激しく上下し、ON/OFFの落差が激しい状態がレース中ずっと続いています。またパワーと同じくケイデンスも激しく変化しています。

図③・・・マイクロインターバル

 
 
 

図③はCXレースがいよいよ近くなってきた時期に行う、30秒ON – 30秒OFFを10分間繰り返すマイクロインターバルです。
レースでのコーナーの立ち上がり、前走者の追走、ギャップ越えなどをイメージしながら限界までモガキ(倒し)ます。
図①と比較してパワーの波形はかなり図②
CXに近いのが見て取れます。

図B マイクロインターバルのパワー特性

こちらの図はマイクロインターバルのトルク特性です。
赤と青のドットがインターバル中のパワーです(黄色はトレーニング全体)。

Y軸より左は90rpm以下、曲線より上はFTP以上の出力を示しています。

図Aのレースのパワー特性と比較すると実際のCXに近い低いケイデンスと高いトルクでトレーニングが出来ている事が分かります。(インターバル中の54%がQAⅡ)

バリエーションとしてコーナーが多くインターバルが短いレースに備えて15秒ON/15秒OFFなど時間を変えるのも有効です。Cat1の選手はこれらの10分間のトレーニングを5分のイージーライドを挟んで5本、劇的にパワーが落ちてしまわない程度までコンディションを高めておけば、間違いなくレースは走れます。

(2)スキル練習

Part1でご紹介した通り、CXのレース中、約24%はペダリングをしていません。
これは楽に休んでいるわけではなくシケイン、階段、コーナー、下り区間です。カテゴリー1のレース60分に対して24%にあたる15分を費やしているわけですから、ここを練習しない手はありません。

また各セクションへの進入速度と脱出速度は、タイムに影響します。特に脱出速度は再乗した時の加速に影響します。ですからオフロードでトレーニング出来る日は、必ずスキルの練習を入れるべきです。

最近は、CXレースの主催者や経験豊富なコーチがスクールを開催していますので、参加される事を是非お勧めします。

スクール情報
関西シクロクロス
http://www.kyoto-cf.com/cross/

スクールに参加しよう!

三船雅彦氏シクロクロス ライディング スクール「虎の穴」
http://masahikomifune.com/

スクールに参加しよう!

またお仕事や学校で平日はスキルのトレーニングが難しい方も多いでしょう。
そんな時でも諦める必要はありません。
DVDやYouTubeで空き時間を利用してトップ選手のテクニックを研究する事が出来ます!

レースは毎年同じ場所で行われる事が多いですから、前年の映像を予習として、またレース後トップ選手の走りを確認してライン取りなどを復習する事が出来ます。
モチベーションアップにも良いですし、こちらも是非お勧めです。

http://www.bikintv.jp/

2013年 全日本選手権ダイジェスト

お問い合わせは下記のメールアドレスまでお願い致します。
takashi(@)peakscoachinggroup.com
(@)を@に変更してお送りください。

Peaks Coaching Group
中田尚志

中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了

 

 

 

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LIVE: 「さぁ、パワートレーニングを始めよう!」powered by じてトレ

Peaks Coaching Group Japanでは、セミナーを開催致します!

2014シーズンも終わりに近づき来シーズンに向けてのトレーニングを考え始めている方も多いのではないでしょうか?

「パワートレーニングを始めよう!」

「来季はパワーメーターを導入しよう。」「来季に向けてのトレーニングを見直そう!」と考えている方もいらっしゃると思います。
しかし、「どうやってトレーニングに活用すれば良いのか分からない。」「今ひとつ利用方法が分からない。」とお悩みの方も多いかと思います。






そんな方の為に「さぁ、パワートレーニングを始めよう!」と題したウェビナー※を開催致します。


この機会に是非ふるってご参加ください。
※ウェビナーとはインターネット上で行われる、セミナーです。受講者はインターネットにアクセスするだけで、自宅・職場・移動中など、どこに居てもセミナーに出席することが出来ます。



<内容>
「パワートレーニングって具体的に何なの?」
「どうやってやればいいの?」
「オンラインコーチングって何?」
など様々な疑問にお答えできればと思っております。


<日時> 2014年10月11日 (土) 日本時間PM9:00~10:00


<料金> $16.46(≒JPY1,800)


<プレゼンター> 中田 尚志


<ウェビナー> PCGではシトリックス社のGo to webinarを使用してウェビナーを行います。お客様はPCGでウェビナーをご購入後、簡単なソフトを使って受講が可能になります。

ウェビナー受講までの流れ
[ご購入] PCGサイトにてウェビナーをお買い上げ頂きます。
[メール] PCGよりウェビナー受講手続きのEメールが届きます。
[受講手続き] Eメールに記載のリンクをクリック頂き、受講手続きを完了下さい。
[受講] お手続き完了後、Eメールが届きます。ウェビナー開始時刻になりましたら、メールに記載のリンクをクリックして、ウェビナーにご参加下さい。

シトリックス
http://www.citrix.co.jp/

Go to Webinar(英語)
http://www.citrix.com/products/gotowebinar/overview.html




中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了


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シクロクロスに向けたトレーニングについて Part2

前回はシクロクロス(CX)のパワー特性をご説明しましたが、今日はシクロクロスに合わせた実際のトレーニングをご紹介して行きましょう。

(1)シクロクロスのパワー特性
・レース中、激しいインターバルが続く→高いFTPとVO2Maxに支えられたアネロビック能力が必要。

・ON/OFFの差が激しい。→パワーの変化が大きい中でのリピータビリティ(反復能力)が要求される。


・ケイデンス特性→ロードよりもケイデンスが遅い為、トルクフルな走りが求められる。

(2)シーズンの組み立て
上記のパワー特性を念頭に置いて、本格的なシーズン開始に向けて段階的に強化をすすめて行く事が必要です。

本格的なレース開幕までに行っておくべきフィジカル強化の柱は下記の3つです。
①フレッシュな体
多くの選手は春~秋の間にロード/MTBシーズンを闘った後にCXシーズンに入ります。近年CXシーズンは長くなりレース数も増えていますから、ロード/MTBシーズンの疲労を抱えたままCXシーズンに入ってしまうとCXシーズンを闘い抜けないばかりか、翌年のロード/MTBシーズンにも影響が出てしまいます。
ロード/MTBシーズンが終わった時点で疲労を感じていたら、1~4週間エアロビック領域を中心にした軽いトレーニング期間を設け心身共にリフレッシュしてからCXのトレーニングを開始しましょう。
②エアロビックベースの強化

シクロクロスのシーズンは11月中旬~2月中旬の約3ヶ月です。
この間シクロクロスのレースに明け暮れる為には、しっかりとしたエアロビックベースを築いておくことが必要です。

③レース フォーム(コンディション)
シクロクロスでは、シーズンがロード/MTBに比較して短い為、開幕までにしっかりとコンディションを上げておかなければなりません。
シーズンが短いですから、春先のロードレースのように「1ヶ月ほどレースに出ながら調子を上げる」という手法は取れません。シーズン序盤から「レースを走れる体」に仕上げておく必要があります。

上記3項目をふまえたシーズンのプランニングがこちらです。

11月中旬にレースシーズンに入る場合の強化例
・8月 ロード/MTBシーズン終了後、1-2週間程度のリフレッシュ期間を取る。
・9月 エンデュランス(Power Z2 56-75%, HR Z2, RPE 2-3)領域から始めて、徐々にテンポ/FTP領域のトレーニングを増やす。
・10月 オフロードを含めた場所でアネロビック/VO2Maxの強化を行い仕上げて行く。
・11月 シーズンイン!!

(3)トレーニングのデザイン

レースに似せたトレーニングを!

レースが行われる路面は土・砂地・芝生・舗装路まで多岐に渡ります。さらにそれらの路面状況は天気によって大きく変化します。

ですからトレーニングでも、あらゆるオフロードの路面状況を経験しておくことが有効です。
とはいえ現実的に毎日オフロードでトレーニング出来る人は少ないでしょう。 そこでパワー特性をレースに似せてシュミレーショントレーニングを行います。

(4)実際のトレーニング
CXの為のエアロビック能力強化トレーニング

・テンポトレーニング①前半用(9-10月)

まずロード/MTB用に鍛えた足からCX用の足にトランジションするトレーニングから始めましょう。
前回ご紹介したようにCXレースの平均ケイデンスはロードより10rpmほど低い80rpm前後です。ですからトレーニングも低いケイデンスで出力を出すワークアウトが必要です。

FTPより少し低いテンポ(Power Z3 76-90%, HR Z3,RPE 3-4)領域で慣らして行きます。

・メニュー1 The Grind

WU: 10-15分 エンデュランスZ2で。
3 x 1分のファーストペダルを足を目覚めさせるために入れよう。
——–
MS1:テンポ(Power Z3 76-90%, HR Z3,RPE 3-4)
筋持久力と有酸素のフィットネスを高めるトレーニング。
今日はそれにケイデンスの要素を加えよう。これにより力強くスムーズなペダリングが出来るようになる。

45分のテンポを3つのパートに分けて異なるケイデンスで行おう。
最初の15分ケイデンス(65-75rpm)になる重めのギアで。
次の15分はケイデンス(80-95rom)になる通常のギアで。
最後の15分はケイデンス(90-105rpm)になる軽めのギアで。

出力は同じに保とう!

地形:自由
——-
CD: 10-15分イージースピニング

・CXの為のFTPトレーニング②後半用(10-11月)
シクロクロスの開幕が近づいて来たら、いよいよレースをシュミレーションするトレーニングに入ります。可能であればオフロードを含む周回コースで行いましょう。

・メニュー2 Tempo with Jumps

WU: 10-15分 エンデュランスZ2で。

3 x 1分のファーストペダルを足を目覚めさせるために入れよう。
——-
MS1: 5分110%FTP。クロスレースのスタートだと思って走ろう!スタートでホールショット(先頭)を取らないまでも、徐々にポジションを上げて行くイメージ。
3-5分リカバー リカバーはレースが近づくにつれて短くして行こう。
——–
MS2: テンポ(Power Z3 76-90%, HR Z3,RPE 3-4)60分
時間は自身のカテゴリーに合わせよう。
テンポで巡航中に5分に1回10-12秒の全力スプリントを入れよう!!
CXレースのコーナー、シケイン、ギャップ越えなどでのスプリントの連続をイメージしながら行おう!
スプリントの後はすぐにテンポにペースを戻すこと。

5分に1回で始めたスプリントの本数は、レースが近づくにつれて増やそう。
レースでは1時間のレースに60-100回のスパイク(数秒のダッシュ)がある。レースに合わせたトレーニングをしよう!

[ウェビナー開催]

「さぁ、パワートレーニングを始めよう!」

Peaks Coaching Group Japanでは10/11(土)日本時間PM9:00からウェビナーを開催します。

第一回目は「さぁ、パワートレーニングを始めよう!」と題して、パワートレーニングの理論と実践方法についてのセミナーを行います。

2014シーズンも終了に近づき、「今年の冬はパワートレーニングを始めよう!」
「パワーメーターで行う強化について調べてみよう。」と考えておられる方も多いかと思います。

ご自宅でも出先でもインターネット環境があれば、どこでも受講可能ですので、是非ふるってご参加ください。

・日時  2014年10月11日 日本時間 PM9:00~10:00
・受講料 $16.46≒JPY1,800

Peaks Coaching Group
中田尚志

中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了