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日本人初の欧州プロ市川雅敏さん 1983年

 

 

”プロになる気はなかった。いや。なれないと思っていた。”

 

 

初めて欧州遠征に行った時を思い出して市川さんはそうつぶやく。

 

それからたった3年でベルギーヒタチチーム(ディビジョン1、現在のワールドツアー)に入れる実力をつけた市川さん。

意外にクローズアップされることの少ない、ワールドツアーへの道程。

彼の足跡を振り返ることで、一つの道をご紹介したいと思います。

 

これからヨーロッパを目指す若い選手、ワールドツアー観戦者の参考になればと思います。

 

20 May1990  73rd Giro d'Italia Stage 02 : Consilina - Vesuvio ICHIKAWA Masatoshi (JPN) Frank - Toyo, at Vesuvio Photo : Yuzuru SUNADA / Slide / Pro Scan

 

 

市川さんは本場で武者修行する為に1983年 鉄沢孝一氏(現アラヤ工業)とイタリアに渡る。日大時代に全日本選手権3位※になるなど既に高い実力を持っており、卒業後は実業団に入ることもできたが、本場イタリアでチーム探しから始めることを選択。

その後スイスに拠点を移し活動。プロ・アマ混走のシリーズ戦アリーフに参戦。

 

当時スイスはプロ・アマともに世界屈指のレベルを誇っており、ツールで区間優勝したセルジュ・デミエール、後にマイヨ・ジョーヌを着るエリック・メヒラー、ツール総合3位に輝くウルス・ツィマーマンなどが所属するチロ・アウフィーナが全盛期。彼らもアリーフに参戦していた。

 

アリーフはハンディキャップ・レースになっており80名ほどのエリートアマチュア・チーム(現在のコンチネンタルチーム)が先にスタートして、最大でも20名ほどのプロが後を追う。

ハンディは1kmにつき1秒(例: 120kmのレースでは120秒)。

しかしハンディにも関わらずプロはものの数10kmで市川さんを含むアマの集団に追いつき追い越してしまう。

 

 

「レベルが違いすぎる。」

 

 

市川さんはプロとのあまりの実力差に呆然としたという。

 

そのような中でも1983年当時日本選手として久しぶりにアマチュア世界選手権に完走し実力を証明。

日本人として久しぶりの世界選完走という達成感と知ってしまったプロとの歴然としたレベルの違い。

この2つからを比べると後者のショックの方が大きかった。
その為、この年を区切りに自転車競技を諦め実家の家業を継ぐ気持ちもあったという。

 

「プロになる気はなかった。いや。なれないと思っていた。」

 

それから3年。

4勝すればプロになれると言われていたエリートアマのレースで8勝。

ヨーロッパの新聞を賑わせた日本人の青年は3チームのディビジョン1(現在のワールドツアー)から誘いが来るまでになる。

 

彼へのインタビューを元にその足跡を追ってみたいと思う。

 

※当時はU23のカテゴリーがなく、U23・エリート混走

 

 Lavenier

ツール・ド・ラブニールでツールマレー峠を攻める (c)市川雅敏

 

 

092

チーム・ミチホの遠征で故森幸春氏と   (c)市川雅敏

 

市川雅敏 x Peaks Coaching Group Japan セミナー 

プロ入りからクラシック参戦までを追う

日時: 2018/4/14(土) 13:00~16:00

場所: TKP上野ビジネスセンター カンファレンスルーム2E

参加費: 7,500円(先着割引あり)

イベント申し込みページ:

https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01cnwnzfjn0c.html

 

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[パワー] 最高のアンチエイジングとは?

私が考える最高のアンチエイジングは勝つことです。

 

勝つことはトレーニングのみならず日常生活にも張りを与えてくれますし、翌日から何事も意欲的に過ごせるエネルギーをも与えてくれます。

皆さんも勝ったレースや良いトレーニングが出来た後は、疲労感も少なくテンションが上がった状態で過ごせた経験があるのではないでしょうか?

反面、負けたレースもしくは上手くいかなかったトレーニングの疲労感も経験したことがあるでしょう。

 

昨日伊豆CSCで行われたCSCクラシックの3時間耐久で池田佑樹選手が優勝しました。

この大会には2015年も勝っていますし、その年にはSDA王滝やテルユーライド(USA)にも勝っています。

 

39歳を迎える彼ですが、36歳の時と同じレースに勝てる=脚年齢は変わっていないわけですから年齢を気にする必要はないことになります。

これはパワーにも言えます。

 

もしあなたが39歳で36歳の時のパワーが出せるなら、脚年齢は変わっていない=アンチエイジングに成功していると言えます。

 

もし35歳、34歳、29歳の時に戻って行っているなら脚は若返っていると言えるでしょう!!

マスターズの皆さんはレースとパワーを活用してアンチエイジングにチャレンジしてみて下さいね。

 

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©︎Sayako Ikeda

 

 

http://www.yukiikeda.net/blog.html#/detail/1968010330873111686

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[パワー] 全日本最速店長選手権 レースデータの解析方法 その1

サイクルスポーツ誌の名物企画 全日本最速店長選手権に参戦したYs Road 梅林様よりパワーデータを頂きました。

データを元にパワーデータの解析方法をご紹介したいと思います。

その1 レースデータをどうやって見るか?

その2 レースデータから作るパワーワークアウト

 レースデータを解析する方法

早速、店長選手権のパワーデータを見ていきましょう!

スクリーンショット 2017-10-19 23.18.59

このレースは健脚自慢のバイクショップ店長が「日本最速店長」の座をかけて闘うものです。

パワーデータ(データは全てメーター読み)

時間 1h51:15
距離 78km
平均時速 42.1kph
NP 220W
TSS 156
エネルギー消費量  1287kJ

パワーデータを見る方法

パワーデータを見るときは時間・TSS・エネルギー量を見て概要を掴みます。

このレースでは約2時間、TSS 156、エネルギー1287kJ消費していますから、1時間に概ね80tss/h エネルギーは概ね650kcal 消費していることが分かります。

TSS 156

FTP1時間走るとTSS100になります。 1時間50分で156TSSですから、梅林店長はこのレースで1時間のTT 1.5本分頑張ったと言えます。

また1時間あたりのTSSは80tss/h。 レースや激しいトレーニングでは概ね70Tss/h以上。 エンデュランスでは50tss/h。 ゆっくりしたペースでは30tss/hあたりが目安ですから、2時間のロードレースとしては高い強度だったことも分かります。

エネルギー消費量 1287kJ

人間は1287kJを産出しようとすると概ね1300kcalを消費します。

成人男子の1日の基礎代謝量が2000kcal程度ですから、梅林店長は2000+1300=3300kcalをこの日消費したことになります。

言い換えれば3300 ÷ 2000 1.5

1.5日分”働いた”ことになります。

ここまでで店長選手権は、遊びの企画ではなく、強度の高い「本物のレース」であることが分かります。

NP 220W

NP=ノーマライズドパワーは「もし一定ペースで走っていたら何ワットになったか?」を表すメトリクスです。

レースにおいてアベレージワット数は、強度を測る目安になりません。

というのも仮にアタックの掛け合いの後に沈静化したレースと、ずっと一定ペースで進んだレース、この二つのレースのアベレージワット数が同じになっても、体にかかる生理学的な”コスト”は異なるからです。

例の場合、前者のアタックの掛け合いが続いたレースの方がダッシュを繰り返した分、体にかかる負担は増えます。それを表そうとしたのがノーマライズドパワーというわけです。

梅林店長のこの日のNP220W、彼のFTP240W

NP ÷ FTP = 220 ÷240= 0.92

この日彼はFTP92%の強度で2時間近くも走り続けたことになります。

スクリーンショット 2017-10-20 13.28.43

NP/ VIからみるレース展開

NPを更に細かく見ていきましょう。

レースを3分割し、前半・中盤・後半に分けて見ていきます。

この時、VI( Variability Index=バリアビリティ・インデックス )を使うと更にレース展開を追うことが出来ます。

VI= NP / AVP = ノーマライズドパワー ÷ アベレージパワー

これはNPとアベレージパワーの割合により、ペースの変化を見るものです。NPを計算する式は大きい数字を重く見ます。ペースの変化が大きいとNPは高くなるわけです。 ですからVIが高ければペースの変化が激しかった(>1.15程度)。 低ければ一定ペース(<1.05)に近かったと言えるわけです。

・前半 NP 242W,  VI 1.13, 42.7kph※

・中盤   NP 198W,  VI 1.13,  41.4kph

・後半   NP 211W,  VI 1.12,  42.1kph

※平均速度は主催者発表よりもかなり高いですが、比較の為メーター読みのままにしています。

NPは比較的大きく変化しています。

前半は242W であったのに対し、中盤は198W, 後半は211W です。それに対しVIはあまり変わっていません。

ここから前半は速いペースで進み、中盤は中だるみ(実際に”弛んで”いるわけではなく足を休めて後半に向けてセーブしている状態)、後半はまたペースが上がっているのが分かります。

またペースの緩急は比較的少なく、”流れる”レースだったことが分かります。

これは急な登りがなく、かつ長時間足を止める下りが無い高低差の少ないコース(1周の標高差9m)だったことも影響していると思われます。

ここまでで大体のレース内容が見えて来ます。

次回はさらにレースを細かく見ていき、さらにパワーデータを元に来年の店長選手権に向けてのワークアウトを考えて見たいと思います。

資料:

Y’s Road 名古屋本館 梅林店長 レースレポート

その1

その2

サイクルスポーツ レースレポート

サイクルスポーツ12月号

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セミナー詳細 & チケット
http://www.peakscoachinggroup.jp/blog/20171006060139.html

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