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日本人初の欧州プロ市川雅敏さん 1985年 その2

突然の朗報

 

1985年は国内転戦をすることになった市川さん。スギノチームでの日々は士気の高いチームメイトやライバルとの研鑽で充実していたという。

そんな入社して間もない5月のある日、奇跡的なチャンスが転がり込む。

 

“スイスに来ないか?”

 当時日本製品は欧州市場を席巻しており、スイスでも評価が高かった。

スギノも例外ではなくスイスの大手バイクショップ、ゲルバーは直接スギノから大量の製品を買い付けていた。

 

ある日スギノの社員がゲルバーからの注文書にMasatoshi Ichikawaと何やら英語で書いてあるのを見つけた。

 

“日本に居るマサトシ イチカワに伝えて欲しい。来年スイスに来てマビックで走らないかと。”

 

渡された注文書に書かれていたのは前年加入が叶わなかったマビックチームからの伝文だった。

 

マビックチームが取引きのあるゲルバーを通してスギノに市川さん探しを頼んで来たのである。

まさかそのスギノに市川さんが居るとも知らずに。

 

同じスイスながらマビックチームは行ったことのないフランス語圏。

スギノには入社したところだし、まだまだシーズンはこれからという5月。

 

しかし心は決まっていた。「ヨーロッパでプロになりたい。」

市川さんは再び渡欧を決意する。

 

この時、すでに24歳。

「25-26歳にはプロになってないと、もうプロ入りのチャンスは来ない。」と聞かされていた市川さんにとって最後のチャンスになることは間違いなかった。

  

ここからいよいよ日本人初の欧州プロ契約を勝ち取る市川さんの快進撃が始まる。

   

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市川雅敏 x Peaks Coaching Group Japan セミナー 

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日時: 2018/4/14(土) 13:00~16:00

場所: TKP上野ビジネスセンター カンファレンスルーム2E

参加費: 7,500円(先着割引あり)

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20 May1990  73rd Giro d'Italia Stage 02 : Consilina - Vesuvio ICHIKAWA Masatoshi (JPN) Frank - Toyo, at Vesuvio Photo : Yuzuru SUNADA / Slide / Pro Scan
20 May1990
73rd Giro d’Italia
Stage 02 : Consilina – Vesuvio
ICHIKAWA Masatoshi (JPN) Frank – Toyo, at Vesuvio
Photo : Yuzuru SUNADA / Slide / Pro Scan
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日本人初の欧州プロ市川雅敏さん 1984年

“「チャンスは2回」”

プロのあまりの速さに前年は面食らった市川さんだったが、ある程度コースも分かり強い選手も分かって来たために翌1984年は少しレースが見えて来ていたという。

 

次なる目標は入賞。

 

どうすれば入賞できるようになるのか?

 後にルームメイトになるステファン・ホッジにアドバイスを求めたところ、返って来た答えはこうだった。

 

「マサ、レース中に勝つチャンスは2回ある。一つはスタート後に早めに決める逃げ(アーリーブレークearly break)、そしてもう一つは後半の勝負を決めるアタック( ウィニング・ブレーク winning break)だ。 2回目に乗り遅れたらもう次はないぞ。」

 

 

ホッジの言葉を振り返ってみると確かに自身が出場したアリーフも殆どがこのパターンで決まっていた。

 

「全てのアタックに反応する必要は無いんだな。優勝候補が行った時に全力でついてみよう。」

 

そう考えると俄然レースが見えてきた。

無駄な動きと勝負を決める動き。

 

優勝候補のアタックにオールアウト覚悟で喰らい付いて行くと逃げに乗れようになっていた。

 

「これがレースか。」

 

それまで日本でアタックをどう決めるか?に主眼を置いていた走りから、展開に乗る走りを学んだことで戦術の幅が広がって行った。

勝てる感触をつかんだシーズン後半、ついにアリーフで4位に入賞する。

 

手応えを掴んだ市川さんは翌年もスイスで走ることを希望しスイスの強豪エリートアマ・マビックに加入を打診する。

しかし、交渉がまとまる前に帰国日を迎えてしまう。

当時はメールもインターネットも無かったので直接会って交渉をするしか無かったが、レース転戦を続けるうちに帰国日になってしまったのだ。

 

欧州での活動は一旦終了となり翌1985年は日本の実業団、スギノチームで国内メインの活動を行うこととなった。

 

84Tsunoda

日本のバイクメーカー・ツノダがスポンサーするチームと (c)市川雅敏

 

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日本人初の欧州プロ市川雅敏さん 1983年

 

 

”プロになる気はなかった。いや。なれないと思っていた。”

 

 

初めて欧州遠征に行った時を思い出して市川さんはそうつぶやく。

 

それからたった3年でベルギーヒタチチーム(ディビジョン1、現在のワールドツアー)に入れる実力をつけた市川さん。

意外にクローズアップされることの少ない、ワールドツアーへの道程。

彼の足跡を振り返ることで、一つの道をご紹介したいと思います。

 

これからヨーロッパを目指す若い選手、ワールドツアー観戦者の参考になればと思います。

 

20 May1990  73rd Giro d'Italia Stage 02 : Consilina - Vesuvio ICHIKAWA Masatoshi (JPN) Frank - Toyo, at Vesuvio Photo : Yuzuru SUNADA / Slide / Pro Scan

 

 

市川さんは本場で武者修行する為に1983年 鉄沢孝一氏(現アラヤ工業)とイタリアに渡る。日大時代に全日本選手権3位※になるなど既に高い実力を持っており、卒業後は実業団に入ることもできたが、本場イタリアでチーム探しから始めることを選択。

その後スイスに拠点を移し活動。プロ・アマ混走のシリーズ戦アリーフに参戦。

 

当時スイスはプロ・アマともに世界屈指のレベルを誇っており、ツールで区間優勝したセルジュ・デミエール、後にマイヨ・ジョーヌを着るエリック・メヒラー、ツール総合3位に輝くウルス・ツィマーマンなどが所属するチロ・アウフィーナが全盛期。彼らもアリーフに参戦していた。

 

アリーフはハンディキャップ・レースになっており80名ほどのエリートアマチュア・チーム(現在のコンチネンタルチーム)が先にスタートして、最大でも20名ほどのプロが後を追う。

ハンディは1kmにつき1秒(例: 120kmのレースでは120秒)。

しかしハンディにも関わらずプロはものの数10kmで市川さんを含むアマの集団に追いつき追い越してしまう。

 

 

「レベルが違いすぎる。」

 

 

市川さんはプロとのあまりの実力差に呆然としたという。

 

そのような中でも1983年当時日本選手として久しぶりにアマチュア世界選手権に完走し実力を証明。

日本人として久しぶりの世界選完走という達成感と知ってしまったプロとの歴然としたレベルの違い。

この2つからを比べると後者のショックの方が大きかった。
その為、この年を区切りに自転車競技を諦め実家の家業を継ぐ気持ちもあったという。

 

「プロになる気はなかった。いや。なれないと思っていた。」

 

それから3年。

4勝すればプロになれると言われていたエリートアマのレースで8勝。

ヨーロッパの新聞を賑わせた日本人の青年は3チームのディビジョン1(現在のワールドツアー)から誘いが来るまでになる。

 

彼へのインタビューを元にその足跡を追ってみたいと思う。

 

※当時はU23のカテゴリーがなく、U23・エリート混走

 

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ツール・ド・ラブニールでツールマレー峠を攻める (c)市川雅敏

 

 

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チーム・ミチホの遠征で故森幸春氏と   (c)市川雅敏

 

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