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![写真提供: 市川雅敏氏](http://peakscg.xsrv.jp/pcgj/wp-content/uploads/2020/03/IMG_7326-6-4-300x225.jpg)
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サドルのポジションは水平を基準に角度と高さ、セットバックを調整していくことを先日書きましたが、今日は角度について少し詳しく。
(1) サドルの違い
サドルはメーカーやモデルによって千差万別です。
形状はもちろん、長さ・幅・パッドの厚みも違いますし、前後の硬さも違います。また同じサドルでも製造年やロットによって微妙にパッドの厚みが違ったりもします。
最近試したフィジークのアリアンテは比較的アールが強く、レール近くの前後が固く中央部は柔らかい為にハンモックのようにしなるような作りになっています。
(2)水平が正しいのか?
サドルはまずは水平を基準にと書きましたが、アリアンテのようにあえてしならせることを前提に作ってあるサドルでは水平にセッティングしても座る位置によって角度は変わります。
中央部が凹むようにしなるので、後方に座ると少し前下がり、前方に座ると少し前上がりに感じます。
その為、サドル前後の上端を結ぶ線ではなく、自身が一番座る位置で水平を出してから角度を調節したほうがうまくいきます。
アリアンテの場合は、一番良く座るサドル中央を水平になるようにセッティングしています。
またセッティングを開始するスタートポジションは水平ですが、しなり具合や座る位置、骨盤の角度、体の柔軟性などによって最適なサドル角度は変わります。
必ずしも水平でないといけないというルールはありません。
(3)ポジションを合わせるパワーゾーン
ポジションを合わせるのにちょうど良いパワーゾーンはテンポ(76-90% of FTP)です。
ここでしっくりくるようにポジションを合わせましょう。
テンポを使う理由はこの領域が一番レースやロングライドで使われるポジションであること。またエンデュランスよりも少しパワーを必要としつつリラックスしていないと長時間維持できないため汎用性が高いポジションであるからです。
(4)サドルによる違い
私の場合、アリアンテは中央部で測って水平、サンマルコのSLRだと1.2°前下がりになります。
このように使用するサドルによってもポジションを決める場所は変わって行きます。
身長・体重・体格・骨盤の大きさ・・・人によってベストなサドルは異なります。
ご自身に合うサドルに出会い、尚且バッチリとポジションを出すためにご参考頂けると幸いです。
Peaks Coaching Group – Japan
中田尚志
セミナーのお知らせ
アベノバ presents 市川雅敏 x Peaks Coaching Group Japan セミナー
いかにして日本初のプロロードマンは誕生したのか?
日時: 2018. 11. 17 15:00~
場所: スポーツサイクル プロショップ アベノバ
料金: 7,000円
お申込み:
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01nb29zvhegp.html
皆様のご参加をお待ちしております。
前回は牧瀬翼選手の脚質と乗鞍HCレース当日までのコンディションについて書いてみましたが、今回はレース当日のレース戦略とパワーを見ていきましょう!
(1)何ワットで走るべきか?
初めて走るヒルクライムの場合、どれぐらいの強度で走れば良いか感覚的には分からないものです。
そういった場合でも過去のパワーデータから自身がどの程度の走力を持っているかを推し量ることが出来ます。
そうすることでオーバーペースを防ぎ、コントロールしたレースが可能になります。
牧瀬選手のPDカーブ(過去のMMPから出せるパワーをモデリングしたもの)に乗鞍の予想タイムである1時間10分を当てはめてみると概ね231Wをキープできることが分かります。
このワット数をキープ出来れば、「良いレースが出来た。」と言うことが出来ますし、更に限界を超えて記録更新が出来れば「ベストなレースが出来た。」と言えるでしょう!
ただここで気をつけなければならないのは標高です。過去のパワーデータの殆どは低地で記録されていますから、標高が高く酸素濃度の薄い乗鞍では少し低めに目標パワーを設定しておく必要があります。
(2)ワット数が高くなれば勝てるのか?
ワット数=高いパワーが維持できれば当然タイムは短縮出来ます。ですからワット数が高いほど有利になるのは明らかです。
しかし乗鞍ヒルクライムでは平均ワット数が唯一勝利を決めるファクターではありません。
なぜなら乗鞍はマスドスタート(全員が一緒にスタートする)ですから、レベルが高くなればなるほどロードレース的駆け引きやその他の条件が結果に影響してくるからです。
平均パワーだけでなく坂の勾配や風などの自然条件、ライバルとの駆け引き、心理状態が大きくレース結果に影響します。
日本人初の欧州プロ・市川雅敏さんの言葉を借りれば、このあたりが「自転車レースはドッグレースとは違う。」ところです。
乗鞍ヒルクライムの結果を決めるファクター
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(3)ペーシング
ヒルクライムレースではスタートからゴールまで高いパワーを維持する能力が求められます。
1.有酸素能力(FTP / VO2Max), 2.パワーウエイトレシオはレース当日までに決まっているわけですから、レース当日はその能力をどれだけ引き出せるかが勝敗を決めます。
そのためにはペーシングが必要です。
ペーシングとは、最大限の仕事量を引き出すためのスピード・コントロールと言い換えることが来ます。
スタート直後は熱くなり過ぎてオーバーペース陥らないこと。それでいて遅すぎないペースに乗せること、中盤以降は出来る限りペースを落とさず最後の一滴まで絞り切る精神力が求められます。
特に乗鞍ヒルクライムは最初にオーバーペースに陥ると、標高により酸素が薄くなる後半でペースを取り戻すのは難しくなります。
更に後半の方が勾配はキツく、森林限界に達した後は吹きさらしの道が続きますから、完全に足が止まる可能性さえあります。
その為、前半はライバルの動きを見つつ、ある程度動きに対応できる余裕を残しておき、後半勝負を決めにかかるのが定石です。
牧瀬選手はライバルの動向をみつつレースをすすめ、後半勾配のキツくなる位ヶ原山荘付近でアタック!
独走に持ち込み大会レコードに20秒に迫る1時間8分34秒でフィニッシュラインを越えました。
データを見返すと前半のAVGパワーは241W, 後半は225W, 全体の平均ワット数は233W。
ほぼ事前に予想されたワット数と同じでした。
またレース後半でアタックした時のパワーは13秒 343W 時速は28km! その後もペースを落とさずに走りきっています。
タイムは狙わずに勝ちを意識した走りをしたという彼女ですが、その走りはパワーデータにも表れています。
次回は標高がパワーに与える影響と今後のタイム予想をすることで更に詳しく見ていきたいと思います。
Peaks Coaching Group – Japan
中田尚志