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さぁパワートレーニングを始めよう!Part4 FTP計測編①

さていよいよFTPの計測です。

FTP=1時間の最大平均パワー。 ということをご紹介しましたが、だからと言って毎回テストで1時間全力疾走する必要はありません。
計測は精神的・肉体的負荷を考慮し、20分のテストを行います。20分であれば普段のスケジュールにも取り込みやすいですし、定期的に測ることも簡単です。


FTPの計測に必要な物は下記の4点です。
(1)機材
信頼性の高いパワーメーターとヘッドユニット&データをダウンロードするソフトウエア。
(2)ロード
20分以上、車や人が来ない登りもしくは平坦。下りは含まない方が良い。
日本の場合、勾配が一定な峠の登りがよいでしょう。
近くにない場合はローラーか信号や交差点がない周回コースなどで代用します。
(3)良い体調
今後のパワーゾーンを設定する大切なテストです。レースと同じように体調を整えて挑みましょう。
(4)集中力
繰り返しになりますが、レースと同じ集中力が必要です。痛みに耐え限界まで自分をプッシュするには集中力が必要です。

・パワーメーターによっては気温の変化が精度に大きく影響するものもあります。なるべく気温の変化が少ない日を選ぶ方が無難です。

パワーメーター

テストの準備は整いましたか?
ではスタート!っと言う前にもう一点!走行前に必ずキャリブレーション(校正)を行ってください。これを行わないとせっかくのテストデータはゴミ箱行きになってしまいます。
キャリブレーションの方法については次回詳しくご説明します。

さぁいよいよスタートです!

下記の手順にならってテストを行ってみましょう。
 

FTPテストの例
WU: 10-20 分 エンデュランスゾーンで。 3 x 1分のファーストペダル(高回転走)を入れて足を目覚めさせよう。
——-
MS1: 5分全開。この5分は限界で行うこと。スタートしてすぐにスピードに乗せる。しかしゴール前に失速してしまうほどには上げないこと。ゴールまでしっかりとキープできるペースをつかむことが重要。
最後の45秒は、限界まで追い込むこと。
この5分間の目的は 1.VO2Max領域の能力を測ること 2.続くFTPテストに向けて予備疲労させておくこと。それによりFTPテストの精度が上がる。

終了したらZ2エンデュランスレベルに戻し15分回復させてからMS2に進もう。
——-
MS2: 20分のタイムトライアル

TEST!

スタートして20分間限界を維持する。静かにスタートし最初に飛ばし過ぎないこと! ペースに乗せるまで2分ほどかける。終盤は限界まで追い込む。
終了したら10分間イージースピニングを行って回復。

帰ったらデータをダウンロードしてチェックしよう。
20分のアベレージパワーから3-5%除いた値があなたのFTP値です。
——-
CD: 10-15 分のイージースピニング

お疲れ様でした!良い走りは出来ましたか?

もしMS1の5分走の疲労があまりにも大きくMS2でパワーを維持できなかったのなら、次回は5分走を今回出したFTPの110%程度で行ってみましょう。

今回出した20分の平均パワーを下記の表に当てはめて自分だけのパワートレーニングチャートを作りましょう。

このテストは数か月に1回行い、現在の調子を確認すると共に最適なパワーゾーンを適宜見直して行きましょう。

パワートレーニングチャート

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パワー・トレーニング・ゾーン計算ツール Powered by じてトレ

(テスト結果から3-5%除いた値を入力して下さい。)

FTP W  

レベル %:FTP比 パワー(W)
L1 回復走 ~55% W
L2 耐久走 56~75% W
L3 テンポ走 76~90% W
SST・スイートスポット 88~94% W
L4 LT(乳酸閾値) 91~105% W
L5 VO2max 106~120% W
L6 無酸素運動容量 121~150% W
L7 神経筋パワー  

協力:じてトレ  http://www.jitetore.jp/

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ダウンロードはコチラ

https://files.secureserver.net/0seLpJPsQbFPXW

尚、Anaerobic capacityをじてトレでは無酸素運動容量、PCGではアネロビック(AC無酸素性運動)と表してしますが、内容は同じです。混乱を避けるために今後用語は統一して行く予定です。

次回はテストについての詳しいガイドラインをご紹介します。


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ハンターアレン、中田尚志(共著)

ハンター・アレン…全米自転車競技連盟Level1認証コーチ。元プロ・ロード選手。1995年よりあらゆる種目のコーチングを手掛け世界チャンピオン、全米チャンピオンを始め1,000以上の勝利に貢献している。全米自転車競技連盟パワートレーニング講座の講師。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)他、著書多数。

 

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さぁパワートレーニングを始めよう!Part3 理論編③

さぁパワートレーニングを始めよう!Part3はパワートレーニングによるトレーニングの効率化と精神的アドバンテージ、そしてデメリットについてです。

(5)効率的にトレーニングが出来る。
自転車に夢中になり、乗れば乗るほど強くなる時期(1-2年)が過ぎ、レースでも頭打ちになる時期は必ず訪れます。その時、選手がハマりやすい落とし穴は「もっとたくさん乗ればもっと強くなる。」症候群です。
しかし一定期間乗り込み、持久的運動を行う心肺機能・筋持久力の基礎が出来たら(これをエアロビックベースと言います。)、次に行うべき強化はエアロビックパワーを上げる事です。言い換えれば、もっと遠くに行ける能力ではなく、もっと速く走れる能力を強化すべきなのです。
パワーメーターがあれば、レースで必要な能力を的確に知りその強化を行う事が出来ます。

(6)精神的負荷が減らせる。

Ian Boswell

間違えてはいけないのは効率的なトレーニング=楽なトレーニングではない!という事です。
自分の弱点を把握しそこを責めるのは、精神的にも肉体的にもキツい作業です。しかしパワーメーターをある時は“手綱”として使い、ある時は“ニンジン”として使うことで精神的負荷を減らすことが出来ます。
たとえばコーチに「死ぬ気で頂上まで走れ!」と言われて無我夢中で走るのと「AVG300wを頂上まで維持してみよう!ベストタイムが更新できるはずだ。」と言われるのでは同じ努力であっても、精神的負荷は随分違います。

選手は常に自分のコンディションがどこにあるのか?自分のトレーニングが上手く行っているのか?次のレースでどの辺まで行けるのか?など常に多くの「?」を抱えながら戦っています。

しかし、パワートレーニングで進捗状況をつねに振り返ることで、正確に自分の位置を知る事ができ精神的な安心感を得ることが出来ます。

(7)パワーメーターを使うデメリット

パワーデータは財産です。

・初期投資が必要 
パワートレーニングを始めるのにパワーメーター + ヘッドユニット + PCは必ず必要です。PCは既にお持ちだとしても最低10~15万円の投資は必要です。誰にとっても10~15万円の投資は大きな金額です。
しかし、パワーメーターを使う事により、1年後には今よりずっと強く、健康になれると考えると投資の価値は充分あります。また記録される日々のデーターは今後の競技活動に価格では表せない価値を生む財産と言えます。

・使い方が難しい 
機械が苦手な方にはヘッドユニットの使い方やデータダウンロードが、やや難解かもしれません。しかし、最近の機器はよく考えられており一旦慣れてしまえば直観的に操作が出来るようになると思います。

・解析が難しい 
パワートレーニングに関する知識がないと、解析が難しいのは事実です。また中途半端な知識で解析すると自分自身で自分をミスリード(mislead誤った方向に導く事)してしまう可能性があります。しかし基礎的な知識を身に着ければ簡単な解析はどなたでも出来るようになります。

・修理が難しい 
パワーメーターはバイクパーツの中でも複雑な部類に入ります。壊れたら自分で修理するのは、ほぼ不可能です。海外通販などで購入すると、国内でメンテナンスが受けれない事もありますのでお近くのプロショップで購入された方が無難です。

・時に残酷である。 
パワーをダイレクトに測るということは現実を突きつけられます。目標のパワーに全く達していなければ、「気合で何とかなる」レベルではない事がレース前に分かってしまいます

・設定の間違いが悲劇を生む 
自分の長所・弱点にフォーカスしトレーニングが行えるのはパワートレーニングの大きな利点です。
しかし、肝心のFTPの設定が間違っていたり、設定が合っていても処方するトレーニングがアンバランスであったりすると、「見当はずれのトレーニングにフォーカスする。」という悲劇を生みます。
①FTPトレーニングをしているつもりが設定値が低すぎてテンポ走になっていた。
②あまりにFTPにフォーカスした練習を行いスプリントの強化を怠った為、完走率は上がったが勝てないスプリンターが出来上がった。
などというのは、間違ったパワートレーニングが生む悲劇です。

随分と前置きが長くなってしまいましたが、いよいよ次回は実際ロードに出てFTPを測定してみましょう!

Peaks Coaching Group
ハンターアレン、中田尚志(共著)

ハンター・アレン…全米自転車競技連盟Level1認証コーチ。元プロ・ロード選手。1995年よりあらゆる種目のコーチングを手掛け世界チャンピオン、全米チャンピオンを始め1,000以上の勝利に貢献している。全米自転車競技連盟パワートレーニング講座の講師。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)他、著書多数。


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さぁパワートレーニングを始めよう!Part1 理論編①

ここ数年プロの世界ではパワーメーターの装着率が飛躍的に増え、アマチュア愛好家にもかなり普及してきました。

それに伴いレース会場でも「パワトレ」や「FTP」といった言葉が頻繁に聞かれるようになってきました。

しかし「パワートレーニングって最近よく聞くけど実際なに?」「FTPが高かったら何がいいの?」「そもそもパワートレーニングのメリットって何?」という疑問も多く聞かれます。

そこで「さぁパワートレーニングを始めよう!」と題して、パワートレーニングの定義・メリット・実際のやり方などをシリーズで詳しくご説明していきたいと思います。

1.パワートレーニングって何?
パワートレーニングはパワーメーターを用いワット数を基準にトレーニングをすすめるトレーニングです。
自身が「現在持っているパワー」と「目標達成に必要とされるパワー」を測り、その数値に向かって努力するトレーニングと言えます。
簡単に言うと

「ワット数に挑戦していくトレーニング」
と言えます。

まずはロードに出て自身のパワーを測るところから始めましょう!

まずはロードに出てみましょう!

2.何が良いの?
パワーメーターにより走行中に発揮した力=ワット数をダイレクトに計測する事ができます。その為、強度と時間を正確に測り走行後に「現在持っているパワー」をどれだけ発揮したか?また「どれだけ伸ばす努力が出来たか?」を正確に測ることが出来ます。その為、強化が必要なポイントを正確な強度でトレーニングする事が可能になります。

3.FTPってなに?
1時間全力疾走した時の最大平均パワーがFTPです。

Functional Threshold Power(ファンクショナル・スレッシュホールド・パワー)の略で、1時間に発揮できる最大パワーです。

これは有酸素能力の限界を測る良い指標になります。またOBLA・ATと言われる有酸素能力の指標と概ね一致します。
※OBLAは血中乳酸が4ミリモルに達する地点、LTは2ミリモルに達する地点を指すことが多い。自転車の世界ではLT=OBLAと混同されていることが多いですが正しくは別の基準(LT≠OBLA)です。

4.有酸素能力の限界って?
皆さんも仲間と登りを上っている時、ある一定の強度までは結構余裕があったのに、そこから少しペースが上がると突然苦しくなったご経験があるかと思います。
その地点がまさに有酸素能力の限界です。有酸素能力とは産出される乳酸を処理できる範囲と言えます。その範囲を超えると処理しきれなくなった乳酸が筋肉に溜まりペースが維持できなくなってしまいます。
ですから有酸素能力の高い選手と低い選手が一緒に登りを上った場合、有酸素能力の高い選手がハイペースを維持出来るのに対し、低い選手は乳酸が一杯になってチギれてしまうのです。
ですから有酸素能力(エアロビック キャパシティ)を引き上げて行くトレーニングが重要なのです。

5.なぜFTPを使うの?
FTPが登場するまでは研究所のトレッドミルやエルゴメーターでOBLA(血中乳酸値)を計測し有酸素能力を測る方法が主流でした。しかし血中乳酸値を使ったテストには個人差があり、必ずしも実際の走力を反映しているとは言えませんでした。
たとえばOBLAに使われる乳酸値4ミリモルは”一般的に”乳酸が急激に溜まり始める地点です。しかし5ミリモルでも長時間運動を続けれる選手は居ますし3ミリモルで動けなくなる選手も居ます。
しかしFTPは1時間の全力疾走の実測値ですから絶対的な指標になります。

またこの方法であれば研究所に行くよりも手軽に計測が行えますし、何より実走で使ったデータを元にトレーニングを組み立てる事が出来ます。その為、FTPを使うのです。
パワーメーターが別名「走るエルゴメーター」と言われるゆえんです。

6.FTPを使って何が出来るの?
FTPを基準に各パワーゾーンの設定を行えます。
これにより自身の長所・短所を明確に知ることができ、強化すべきポイントが明確に理解できます。
下記の図はFTPを用いて作成した各パワーゾーンの表です。

Power Base Training Levels(FTP300wの例)

FTPを引き上げるのが重要な事は書きましたが、実際の自転車レースではFTP以外にも繰り返されるアタック、登り、ゴールスプリントに耐えうる能力が必要です。

皆さんも実際レースやトレーニングで「彼より登りは強いのにスプリントでいつも負かされる。」「いつもトレーニングでは勝てるのにレースの最終局面に残れない。」といったような悔しい思いをされたことがあると思います。

それはパワーゾーンに置き換えると「FTPは高いのにアネロビックが弱い。」「FTPは高いが繰り返されるVO2MAXの強度に弱い。」ということかもしれません。

それならばFTPの他に前者はアネロビックゾーンを中心に強化すれば勝てる可能性が高くなりますし、後者はVO2MAXを鍛えればライバルに勝てるようになる可能性が高くなります。

このように自分の長所・短所をピンポイントで狙い撃ちし完全な選手を目指すのがパワートレーニングのアプローチです。

次回はパワートレーニングを行う事による実際のメリットをご紹介して行きます。

Peaks Coaching Group
ハンターアレン、中田尚志(共著)

ハンター・アレン…全米自転車競技連盟Level1認証コーチ。元プロ・ロード選手。1995年よりあらゆる種目のコーチングを手掛け世界チャンピオン、全米チャンピオンを始め1,000以上の勝利に貢献している。全米自転車競技連盟パワートレーニング講座の講師。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)他、著書多数。