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クリス・ホーナーの”バタフライ・エフェクト” 2021フランドル- ユンボ・ビズマの自滅 

ユンボは沢山の戦術的ミスを犯した。
残り90kmからイスラエル・スタートアップネーション、ロットなどのアタックにアタックに反応する必要はなかった。

フィニッシュの遥か前のロットの動きに反応して、ワウトを孤立させる意味はどこにあるのか?
アシストの1番の役目は出来る限り最終局面までエースをアシストすること。
早々にいなくなってはならない。

まだ70人も集団に残っているのに集団に残っているユンボはワウト一人。彼はすべての仕事を自分でしなければならなくなった。
ユンボはクイックステップの次に実力のあるチームなのにもかかわらず。

 

 

ワウトもルーキー・ミスをした。アスグリーンのアタックに反応した後、前を引いてしまった。
あそこは追いつくだけで良かった。後ろにクイックステップが付いてきているのだから。

それをクイックステップは見逃さない。血の匂いをかぎとったサメのように。

彼らは波状攻撃を仕掛けワウトに反応させることで彼の足を削った。
さらにアスグリーンが畳みかけアラフィリップとともに先頭集団に2人送り込むことに成功。
さらにアスグリーンがアタックを仕掛け、MVDPを引き出した。

ワウトは追走に捕まった後も1kmほど休んで再度単独で追走に出た。それにより表彰台の最後のスポットも失った。

アスグリーンはアラフィリップのために先頭を引かない選択をして足を温存。
これによりクイックステップはさらに有利になった。
彼らは粒が揃っていて戦術に長けている。

最後にアスグリーンはMVDP相手にスプリントで勝利。クイックステップは見事な戦術で勝利をものにした。—


ホーナーのレース分析いかがだったでしょうか?

ホーナーは25年に渡るプロ生活で得た知見と深い洞察力で深くレースを分析してくれます。

PCG-Japanではクリス・ホーナーにインタビューを行いました!近々公開しますのでお楽しみに!

Peaks Coaching Group – Japan

中田尚志

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さようならサイクリスト・サンスポ その3 

長年に渡りサイクリストの楽しみを伝え続けた Cyclist(サイクリスト) さんが3月31日をもって新規コンテンツの公開を終了されます。
 
私共も何度か記事を掲載頂きました。
再度ご紹介させて頂こうと思います。
 
 
「平成を駆け抜けたプロロード選手 本場欧州で活躍した市川雅敏」
2019/04/26公開
 
平成が終わる2019年4月30日に合わせて連載「Cyclistが駆け抜けた平成」と題してリレー連載頂きました。
 
1987年日本初の欧州プロとしてベルギー・ヒタチからデビューした市川雅敏さん
彼のキャリアを取材し掲載頂きました。
 
インターネットもGPSもスマホも無かった時代に輪行袋ひとつで欧州に渡り、プロ契約を勝ち取った市川雅敏さん。
ナショナルチームによる長期海外遠征もなければ、欧州式のトレーニングメソッドも知り得ない時に、突如として現れ欧州のエリートアマで勝利を量産。
 
その活躍がプロの目に留まり契約。更に伝統のあるヨーロッパのレースで優勝。
 
職人的な働きをするプロとして、そして時には勝ちを狙えるエースとしてのチームに重用された唯一無二の日本人。
 
華やかでありながら時に残酷なプロの世界を目一杯生き抜いた彼の話を聞くことで、世界を股にかけるプロになれる人間性とは? 生きる強さとは? など人生の色々なヒントが得られます。
 
—-
※サイトは2021年6月30日までご覧いただけます。
 
Peaks Coaching Group Japan
中田尚志

 

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[Race] クリス・ホーナーの”バタフライ・エフェクト” ミラノ〜サンレモ

クリス・ホーナーのYoutubeバタフライ・エフェクト。今回はミラノ〜サンレモ解説です。

 

ミラノ〜サンレモについて

自身が考えるモニュメントのひとつ

モニュメントとは…

・ミラノ〜サンレモ

・パリ〜ルーベ

・ツール・ド・フランドル

・リエージュ~バストーニュ~リエージュ

・ジロ・デ・ロンバルディア

・加えて世界選手権

ミラノ〜サンレモは299km。永遠に続くと思えるようなレースもあっという間に残り50kmに来る。

それまで海岸線の道路は時に4車線あり何の障害もない。しかし、勝負どころが始まるチプレッサ手前で1車線になり、ラウンドバウトも続出。突如、難しいコースに変貌する。

(1)補給地点について

補給地点はレース中、最も危険な場所のひとつ。

ここでペダリングを止めてはいけない。補給食を取るまでハンドルから手を離してはいけない。シューズカバーやレッグウォーマーを渡す場合、補給地点に来るまでに脱いでおくこと。

 

(2)チプレッッサ、ポッジオ、ゴール前の優勝候補の動きについて

トム・ピドコック

若く素晴らしい才能だ。ただポッジオ以降の先頭集団でミスをした数少ない選手の一人でもある。

下りを全部引いたのはミス。良いハンドリング・スキルの持ち主なので、下りでスピードを上げたいのは分かる。でも世界屈指のスプリンター(例外なく下りが速い)相手にいくら速く下っても引き離すのは不可能。

自身が足を使ってしまうだけ。

この動きが結果的にポッジオを下り切った後の牽制を引き起こし、スタイヴェンのアタックを成功させる伏線になった。

 

ケイレブ・ユアン

ポッジオでアラフィリップ、ヴァンナート、MVDPのビッグ3の動きに反応したのは良いこと。でもちょっと先頭付近に行き過ぎている。これはちょっとしたミス。

もう少し後ろの5番手ぐらいで動きをフォローしつつ足を貯めた方が良かった。

(スプリンターなので最後まで一緒に行けば勝てるから)

フィニッシュ直前でも前に出過ぎ。彼が前に居てチェックに入ることで追いたいメンバーが前に出れず動きが止まった。もう少し後ろに位置して追いたいメンバーに追わせることで、自身の勝率を高めることが出来たはず。

それらにも関わらず良い脚を持っていて2位に入ったのは素晴らしい。

 

ー優勝者ヤスパー・スタイヴェン

美しいアタックだった!

ヴァンナート、ユアン、サガンのような素晴らしいスプリンターじゃなかったら、残された動きはこれしかない。

ソーレン・クレイグ・アンダーソンが追いついて来た残り1kmでも先頭を引き続け(スプリントに備えて足を貯めたい)、残り700300mで先頭交代を要求。

ここでスプリントに向けて足を少し回復させることに成功した。

そして最後は素晴らしい勝利を手に入れた。

彼はパリ~ニースの時からマッズ・ペデルセンのために他チームを向こうに回して良い働きをしていた。完璧な勝利だ!

 

ー春のクラシックについて

ヴァンナート、ジュリアン・アラフィリップ、マチュー・バンデポールの3人に加えてコロナから復活したピーター・サガン。

今後のモニュメントが楽しみだ!

ー ー ー ー

クリス・ホーナーは現役時代から私が大好きだった選手です。アシスト、エース両方で走った経験からくる深いレースの読みと、25年に及ぶプロ生活を生き抜くのに身に着けた処世術をYoutubeで沢山披露しています。

2013年ヴェルタ・ア・エスパーニャに限らず、バスクカントリー総合優勝、ツアー・オブ・カリフォリニア総合優勝、ツールド・ランカウェイ総合優勝などステージレースでの勝利多数。

またワンデーレースでは同年にリエージュ~バストーニュ~リエージュ、フレッシュ〜ワロンヌ、アムステル・ゴールドレース全てでトップテンに入ったこともあります。

Peaks Coaching Group – Japan

中田尚志