Peaks Coaching Group – Japan コーチ、ゲン・コグレ
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今回は私を始めとするアメリカのアマチュア選手たちのレース機材についてご紹介しましょう!
アメリカのレースを簡単に表すと「スピード&パワー」です。
その為、空気抵抗が少なく、かつ剛性が高いパワフルに走れる機材が好まれます。
またレース数が多く道も悪い為に耐久性やコストも重要視されます。
春先のレースはオーガナイザーが地域のレベルアップの為に平坦なコースを設定します。そうする事で集団は簡単に崩壊しない為、誰にとってもトレーニングになるからです。
その為、勝ちたい選手は空気抵抗削減に全力を尽くします。
(1)ゼッケン 空気抵抗削減
ゼッケンは必ず体に密着するようにつける。
安全ピンを4隅だけではなく8つ以上つけて空気抵抗を減らしましょう。
+1本追加しゼッケンの中央を留めると更にバタつきが抑えられます。
紙のゼッケンの場合は一度クシャクシャに潰してから広げると体に密着して空気抵抗が減ります。
この効果をバカにしてはいけません。 時速45kmで10-20W減らすという研究もあります。アメリカには接着剤でゼッケンを貼りつける選手もいるぐらいです。安全ピン9本で20W。何とも安上がりで効果的です。
(2)ホイール 空気抵抗削減
・タイヤ
この2年間で25Cがスタンダードになりました。25Cはエアボリュームが多く路面の粗さをいなしてくれるので路面抵抗が減ります。
ただ空気抵抗は23Cの方がやや少ないと言われていますし、より路面が悪い場合は28Cが有利と言われているので、この辺りはコースや好みによります。また体のサイズも影響するように思います。
また同じタイヤ幅でもメーカーによって路面抵抗が変わることも分かっています。
それは練習タイヤと決戦タイヤの差と同じぐらい大きい為、皆最も路面抵抗の少ないタイヤを探しています。
これはスポンサーに縛られずにタイヤが選べるアマチュアの特権と言えるでしょう。
Bicycle Rolling Resistance
http://www.bicyclerollingresistance.com/
・ディープリム
空気抵抗が大きいパーツですが、抵抗を計測するのが難しい分野です。
風向きは一定の方向とは限りませんし、スピードによっても空気抵抗が一番少ない機材は変わるからです(例えば時速45kmあたりまではディープリムが最も空気抵抗が少なく、45kmを超えるとバトンの方が空気抵抗が減ると言われている)。また空気抵抗が少なくても操作性が犠牲になるような機材は集団に居る時に気を使う為に敬遠されます。その為、空気抵抗の少なさだけが選択の基準にはなり得ません。
空気抵抗・操作性・耐久性のバランスが取れたホイールを選ぶべきです。
もし万能に使えるカーボンホイールが欲しければ40-50mmあたりを選べば良いでしょう。
クリテ専門なら50-60mm、悪天候やロードレース全般で使えるものが欲しければ40mm以下が無難です。 ホイールはスピードを変えるファクターになりますが落車で壊れる事も多いパーツです。レース活動を行う上であまり過剰な投資は避けるべきでしょう。
年間のレース資金を考えて、もし落車で壊してもスペアを購入できる位の価格帯を選ぶのが安全だと思います。
ところで決戦ホイール(レースホイール)を昨年から使用しているのなら、タイヤのチェックは充分に。
キズや劣化、チューブラーであれば接着をチェックしましょう。
(3)チェーン 駆動抵抗削減
最も大きな駆動抵抗を生むのはチェーンです。汚れたチェーンは20W以上抵抗を増やします。セラミックベアリングプーリーは数ワット抵抗を減らしてくれるかもしれませんが、チェーンが汚れて+20Wになったのでは意味がありません。
いつもキレイにしておきましょう。
最近アメリカで流行っているのはチェーンを超音波洗浄機(眼鏡や宝石をクリーンニングする機器)で洗浄してワックスでコーティングしたものです。
しかしコーティングチェーンは高価ですし、手間もかかります。
最近のチェーンは雨のロードレースを1回走っただけでダメになるので、いつも使うにはコストがかかり過ぎます。
そこで考え出されたのが、晴れた日に限り使えるようにコネックスのミッシングリングでチェーンを繋ぐ方法です。
コネックスは工具不要で数回繋げますから、レース前日の天気予報を見て”決戦チェーン”に付け替えることが出来ます。
これらの使用法をする選手が増えたのが、KMCやSRAMのチェーンがシェアを伸ばした理由のひとつです。
遂にシマノも同様のクイックリンクをだしたようですので、試してみるのも良いのではないでしょうか?
(※ミッシングリンクはメーカーによって1回使いきりの物、複数回使用可能な物、専用工具不要/必要などあるので確認が必要です。)
チェーンオイル
使用するチェーンオイルでも駆動抵抗は変わります。
こちらもスポンサーに左右されないアマチュアは最も抵抗が減るオイルを常に探しています。
チェーンオイルの基本的な選び方は2種類です。
ドライタイプ: 晴れの日に使う。駆動抵抗は減るが若干耐久性が低い。
ウェットタイプ: 雨の日に使う。ドライルーブより若干駆動抵抗は増えるが、耐久性が高い。
晴れのクリテならドライ、途中で天候が変わりそうなロードレースではウェットを使うのが無難です。
先述のように汚れたチェーンは抵抗を20Wも増やすので、天候が悪化しても潤滑を保てるウェットタイプの方が遥かに有利だからです。
最も”軽い”チェーンオイルを調べる会社まであります。
https://www.friction-facts.com/
皆様のレースバイクのチューニングのご参考になれば幸いです。
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