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[レース] レースに向けた調整 -ゲン・コグレ-

前回今季初レースに臨む際の準備を中心にアドバイスを書いてみました。

今回はレース当日に向けた調整について書いてみたいと思います。

 

レース出場のアドバイス

(1)調整方法
レース前は誰しも充分にトレーニングを積んでおきたいものです。

しかし、レース直前にあまりに沢山トレーニングをしてしまうと、疲労によりかえってパフォーマンスが悪くなりかねません。

 

パワーベースのトレーニングでは調整を成功させる為に、パフォーマンス・マネージメント・チャート(PMC)を使います。PMCは毎日のトレーニングの積み重ねをチャートにしたものです。日々のトレーニング・ストレス・スコア(TSS)から調子の波を測るのがコンセプトです。

 

2017GenPMC

青色: CTLフィットネスレベル
ピンク色: ATL疲労
黄色: ピンク 今日の調子

 

※CTL, ATL は過去42日, 7日のTSSの平均値です。日々TSSをどれだけ積み重ねたかでフィットネスレベルや疲労状態を管理しようとしています。ちなみに単純平均ではなく、1日前を一番重く最も遠い日を軽く見る為にエクスポネンシャル関数を使っています。

 

 

レースは充分に休養を取りつつ、刺激が入った状態でレースに臨むのが重要です。

 

PMCを参考にTSBがポジティブ(>0)になるようにレース当日までのトレーニングを調整して行きます。

 

 

特に35歳を過ぎたマスターズの選手はこの調整がレース当日のパフォーマンスに大きく影響します。

年齢が高くなると、調子の波が大きくなりごまかしが効かなくなってくるからです。

 

とはいえ悲観的になる必要はありません。調子を合わせれば若い時と変わらないパフォーマンスは実際に出せますし、競技経験を重ねた分、調整は上手くなっていきます。

PMCを活用して綿密に計画を練り、絶好調でレースにのぞむのがゴール(目標)です。

 

 

私のPMCを詳しく見て行きましょう。

Gen Blog

 

 
レースまでの期間 日付 内容
4週前~2週間前 1/15-29 レースに向けた激しいトレーニングブロック
2週間前 1/30-2/3 トレーニングを質量ともに落とし回復
1週間前 2/3-5 3日間の激しいトレーニングブロックでレースをシミュレーション
レース週 2/6-2/10 刺激を入れつつ調整
レース当日 2/11 ヒンカピー・スプリング・シリーズ

 

自身の感覚・PMCを擦り合わせながら
・どれぐらいのCTL
・どれぐらいのATL
・どれぐらいのTSB
CTL, ATL, CTLをチェックしましょう。 

 

私の場合、昨年と同じレースがシーズン初戦でしたから、昨年のPMCを参照しながら調整を進めました。

多くの選手にとってTSBが-10~+10あたりに来た時に疲労が抜けて調子が良い可能性が高いです。私は初戦の日にTSBがポジティブになるように調整しました。

 

もちろんそれまでに充分CTLを上げておくことが前提です。

 

このPMCを使った調整の精度を上げるには、レース1-2週間前のCTL, TSBの“トレンド”を読むことも重要です。
例えばレースの日に同じTSB +5にするとしても、完全に疲労が抜けた+30から下がってきて+5になったのか?

-50の深い疲労状態から抜け出して+5になったのか?で調子は違うからです。 

 

一般的には高いTSBから下がってきた方が良いパフォーマンスが出る事が多いです。=一旦疲労を完全に抜いてから刺激を入れてレースに向かうのがお勧めです。

 

次回はレース当日のウォームアップについて書いてみたいと思います。

 

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[クライアント募集] 

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(3)ゲン・コグレ氏について
PCGブログ

 

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[レース] 今季初レースを走る選手へのアドバイス -ゲン・コグレ-

3月に入りました。今月今季初レースを迎える方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

 

アメリカでもレースが始まりました!

 

今季初レースを終えたノースカロライナ州アシュビル在住のPCGコーチ、ゲン・コグレ氏からのアドバイスです。

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今季初レースを走る選手へのアドバイス -ゲン・コグレ-

 

シーズン最初のレースは、ベテランでも緊張します。もしかしたらシーズンの中で一番緊張するレースと言っても良いかもしれません。どこまで走れるか不安で予想がつかないからです。

 

一度シーズンが始まってしまえば、集団の中での自分の位置が分かってくるので、「何が起こるか分からない」という不安はなくなってきます。出走するメンバーも開催される地域で似通ってくるので、ある程度予想がつくからです。

 

レース数が多く距離も長いプロ選手は「レースを走りながら脚を作って行く」ことが可能ですが、レース数が少なく距離も短いアマチュア選手は、全てのレースでテーマを持って走り、早めにレースのリズムに慣れておく事がシーズンを進める上で重要です。

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サウスカロライナ州 2017ヒンカピー・スプリング・シリーズ

私は6月のマスターズ全米選手権に向けて、このレースをシーズンインに選びました。
全米選手権で勝負する為に、現在の仕上がりを確認したかったからです。

このレースに出る若手選手に送ったアドバイスや自分自身が行った準備をご紹介します。

 

春先のレース準備のポイント

・トレーニング
冬の乗り込みとレースが大きく違うのは、ペースの変化です。

これはスピードとケイデンスの変化と言い変える事が出来ます。

 

激しいアタック合戦に対応できる能力は登りを一定のペースで走っているだけでは鍛えられません。

レースが近づいたらマイクロバーストやタバタなどのトレーニングを取り入れて激しい変化に耐えれる足を作ります。
これはパワーで表現するとAnaerobic Capacity (Power Z6 121-150%, HR Z6, RPE >7)領域でのリピータビリティを鍛えると言えます(下図参照)。

・落車
 春先は集団の位置取りが安定せず落車が多くなります。集団走行が久しぶりという選手も多いですし無理に割り込む選手も居ます。集団の中に居ても落車回避のスペースを確保しておきましょう。

 

アメリカはレース前に30-40分程度、初心者向けの集団走行を行う大会が多くあります。選手が集団の位置取りやマナーを勉強し、レースの落車を減らせるようにオーガナイザーも努力しています。
日本でもこういった取り組みをしているレースが増えているようですから、春先は特にこういったレースを選んで出場すると良いでしょう。

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・ウォーミングアップ
 トレーニングとレースは別物です。久しぶりのレースは、実際の強度よりも酷く苦しく感じる時があります。アップをしっかり行って万全の状態でスタートラインにつきましょう。

 

・機材
冬の間に新しい機材に変えた場合、バイクのチェックも入念に。よくあるのは後輪をレースホイールに変えた時にトレーニングホイールと微妙にカセットの位置が違い変速が上手く行かない事です。

調整台の上で上手く行っていても、大きな力がかかるレースではスムーズに変速が決まらない事があります。事前に実走で試しておきましょう。

 

その他の確認事項

・チューブラータイヤの場合、接着がしっかり出来ているか。

・カーボンリム用のシューが上手くフィットしているか。

・パワーメーターのキャリブレーション

・パワーメーターの充電/電池の確認

・Di2の充電の確認

 

・ウエア
春先は気温の変化が激しく天候も変わりやすいです。レースに出場するウエア選びは万全に。
特に気温の低い日はウエア選びが勝負を決めることがあります。暖かくそして空気抵抗の少ない組み合わせを考えましょう。
例:上着を増やす場合、スキンスーツの中に着込む方が空気抵抗は少なくなります。

 

・戦術

 春先はピーク時に比べるとやはり若干仕上がりが甘く足に余裕がありません。その中でも戦術を組み立ててベストなリザルトを得なければなりません。 それは賢く脚を使って勝つ練習になります。
また集団で脚を休める能力、勝ち逃げを見極める目を養うのも大切です。

 

・コース
前年に走ったコースでも試走しておきましょう。道路が荒れている箇所があるかもしれないし、沿道に家が建って風向きが変わったりポストが立っているかもしれないからです。(アメリカはロードぎわに各家庭の郵便受けが立っていて、道路際ギリギリを走ると当たることがある。)

・補給
レースは満腹で出ても空腹で出ても上手く行きません。ちょうどレースを走り切った時にお腹がすくぐらいに逆算して食事と補給を摂る必要があります。レースの日の食事を記録して調整して行きましょう。
起床時からレースまでの食事をスマホに録って記録し改善を図るのも良い方法です。

 

レース前のトレーニング例: マイクロバースト 1h5m

(レース週の水曜日あたりに行うのがお勧めです。)

 

Gen Kogure PCG-Japan

 

WU: 10-15分エンデュランスペース(Power Z2,HR Z2,RPE2-3)で行い、間に3 x 1分の高回転走を入れて足を目覚めさせよう。
——
MS1: SST 1 x 20分
20分のスイートスポット(PowerZ4 88-94%FTP)。
集団で脚を貯めるイメージで。スムーズなペダリングを意識し脚を使わずに高いパワーを維持しよう。
5分流し
—–
MS2:マイクロバースト 2 x 10分

15秒ON-15秒OFFの繰り返しを10分間!
ON:150% of FTP(Power Z6,HR Z6,RPE>7)
OFF:50% of FTP(Power Z1,HR Z1,RPE<2)
苦しい練習だがレースでのコースからの立ち上がり、小さなアップダウンに対応する能力を必ず向上させる。

高い集中力を要するので必ずクルマや人の居ないところで行おう。
インターバルタイマーのついた時計やスマホがあれば活用しよう。

地形:次のレースに近い地形。
ケイデンス: 自由

もし150% 以上出せるなら、150%以上で!コーナーの立ち上がり、集団内でのリズムの変化、アタック合戦をイメージしながら行おう!

レストは5分
——
CD:10分アクティブリカバリーレベルで(Power Z1, HR Z1, RPE <2)。

 

次回は実際のレースについて書いてみたいと思います。

 

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[クライアント募集] 

この度、PCG-Japanのコーチ、ゲン・コグレ氏がクライアントを若干名募集することになりました。
 
あなたもアメリカ・ノースカロライナ州からオンラインコーチングを受けてみませんか?
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送信時は■を@に代えて下さい。

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(1)募集内容
募集人数: 若干名
コーチングレベル: シルバー
費用: $260/月≒29,518円/月(JPY113.53で計算)
お支払い方法: クレジットカードにてドル払い
 
(2)コーチング開始までの流れ
・オンラインミーティング(skypeと同様の物です)にて、コーチングについて説明
・2週間の無料トライアルを受けて頂きます。
・本契約もしくはトライアル終了をご判断いただきます。
・本契約後、課金開始。
 
(3)ゲン・コグレ氏について
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[トレーニング] 時間が無い時のトレーニング part2

そろそろ2017年のレースカレンダーも確定しつつあるこの時期、今シーズンの活躍を誓って乗り込みをしている選手も多いと思います。

 

しかし、短い日照時間・不順な天候・期末に向けての仕事など何かとトレーニングを妨げる要因が多く満足に距離を稼げないのがこの時期です。 

 

年末年始に食べ過ぎて太った上に乗り込みが出来ず焦っている選手も居るかもしれません。

アメリカでは、ハロウィン・サンクスギビング(感謝祭)・クリスマスのホリデーシーズンを越えて「ヤバい太った!」とコーチに電話してくる選手が増える時期です。

そこで今日は時間が無い時のトレーニングPart1に続いてPart2を書きたいと思います。

 

(話は逸れますが、日本の選手はダイエットを頑張るあまりパワーを落としている選手が多いと感じます。ダイエットはあくまで実出力(アブソリュートパワー:absolute powerといいます)を落とさず、体重を減らしてパワーウエイト・レシオをあげないと意味がありません。

体重と同時にパワーも落としてしまっては全体的なパフォーマンスの向上は望めません。あくまでパワーを落とさずに体重を減らすのが重要です。また欧米のコーチはよく「痩せろ」と言いますが、それは欧米人は日本人よりカロリー摂取量が多く太りやすい事も忘れてはならないと思います。)

 

乗り込みの時間が取れない場合のトレーニング

乗り込みはFTP以下の強度での走り込みを指します。有酸素運動のパワーを上げ、体調を整え、FTP以上のトレーニングを行う土台になります。これをエアロビックベースの構築と言います。

 

1.無酸素は有酸素に代えられない

時間がない場合はトレーニングの強度を上げて時間当たりのTSS・kJを上げるのが有効です。

要するにトレーニングの密度を上げる訳です。

 

しかし、時間がないからと言って”モガキ倒せば良い”わけではありません。

エネルギー代謝から言って無酸素運動を有酸素運動に代える事は出来ません。あくまでエアロビックベースは有酸素領域で構築しなければなりません。

その為、エンデュランス領域での乗り込みに代わる強度の上限はテンポ~SST(88-94% of FTP)になります。

TTE

 

 

 

 

2.テンポを増やす

プロ選手の場合、2月から始まるシーズンに向けて12月はエンデュランスやテンポをこなし、1月になると更にFTPやVO2Maxのトレーニングも取り入れて行きます。

 

プロはエンデュランスゾーンで6時間も走ってエアロビックベースを作れますが、アマチュアの場合は、プロほどには乗り込む時間と体力がありません。

 

この対策として乗り込みの強度を上げ、短時間で有酸素能力を刺激するのが有効です。

テンポ(Power Z3 76-90%, HR Z3,RPE 3-4)は有酸素の上限に近い為、時間当たりの効果が高いです。

 

ハンター・アレンの言う「パワートレーニング成功の秘訣は各パワーゾーンで過ごす時間の最適化」はここでも当てはまります。

 

時間の無い選手は、テンポを増やし、持ち時間の中でパワーゾーンの割当を最適化するわけです。

 

 

※FTP 300W の選手のテンポの例

Tempo

 

 

3.テンポの方法

時間:最初は20分程度から始めて、回を追うごとに10分程度延ばして行きます。エリートの選手であればMax90分程行います。

 

パワーでの管理方法: 20分以上の実走になると信号や起伏の変化もあります。テンポの管理にはNP※を使うのが有効です。

テンポを行いNPがテンポのレンジに入っていれば、多少信号や起伏の変化があっても体に与える刺激はテンポの強度に入っていると考えて大丈夫です。

 

※NP(Normalized Powerノーマライズド・パワー)=もし一定ペースで走った時にどれぐらいのパワーになるかの想定値。

NPは20分程度だと実際より高く表示されるので、20分程度のテンポであればレンジの上限に入るように頑張りましょう。

 

 

4.テンポのダイエット効果

テンポは乗り込みの代りになると共に副産物として、ダイエット効果があります。

時間当たりの消費エネルギー量が大きく沢山のカロリーを消費出来るからです。

 

強度が高ければ高いほど時間当たりの消費エネルギー量は多くなりますが、FTPを超えると持続時間は急に短くなります。

有酸素運動のテンポは強度を確保しつつ、長く続けることが出来るので結果的に消費エネルギーを増やすことが出来るのです。

 

下のグラフはテンポ(82% of FTP)・エンデュランス(66% / 56% of FTP)の消費エネルギーを比較したものです。

例えばFTP300Wの選手がテンポ(246W)で40分巡航すると600kJほど消費出来ます。

それは低いエンデュランス(56%,168W)の60分のエネルギー消費に匹敵します。

 

エンデュランスで60分のエネルギーをテンポでは40分で消費出来ますから、単純計算で時間を2/3に短縮出来るわけです。

 

寒さの厳しい日が続きますが、テンポを活用して上手く乗り込みを乗り切って頂きたいと思います!

 

Tempo kJ

 

 

 

東京・名古屋・福岡でパワーセミナーを開催します!

 

1/28(土)14:00~16:00

東京・南部博昭コーチのパワーセミナー ヒルトップ様

詳細URL

https://www.facebook.com/peaksjapan/posts/437639576359963

 


2/5(日)13:00~16:00

名古屋・中田尚志・伊藤透コーチ

詳細URL

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2/25(土)13:00~16:00

福岡・中田尚志

詳細URL

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