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シーズン前半のトレーニングについて Part 1

全国各地でレースが始まり既に数レース消化した方も多いかと思います。
レースに出ることで冬のトレーニング結果を確認する事が出来ますし、本格的なシーズンに向けての課題も見えてくると思います。

今回は、レースに向けた春のトレーニングをご紹介したいと思います。


多くの選手にとってロードレースシーズンは3月に始まります。
12月から2月頃までは前回ご紹介した下記の4点にフォーカスしてトレーニングし体力アップを図りますが、一旦レースが始まるとより実戦に即したトレーニングに移行していく必要があります。

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冬のトレーニングのフォーカス

 (1)FTPの向上
 (2)筋力アップ
 (3)弱点強化
 (4)休養
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冬の間に上記の強化を行った後に行うべきはレースに勝つために必要なFTPを超える能力(VO2Max, Anaerobic Capacity, スプリント)の強化です。

まずは1本で出し切る絶対的なパワー(Absolute Power)。そして、FTPを何度も超えるアタックやペースの変化に耐えうる反復能力(Repeatability)の二つを強化する必要があります。

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春のトレーニングのフォーカス
 (1)VO2Maxパワー/反復能力の向上
 (2)ACパワー/反復能力の向上
 (3)レースに応じた能力の向上
 (4)戦術・ライディング技術の向上
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(1)(2)VO2MaxおよびACパワー/反復能力の向上
春先のレースはロードレースでもアマチュアなら通常3時間以内で短く激しいものが多いです。
これはVO2Max(Power Z5 106-120% of FTP, HR Z5, RPE 6-7)、Anaerobic Capacity (Power Z6 121-150% FTP, HR Z6, RPE >7)(以下AC)の能力を多く要求されることを意味しています。

これらの強化法としては最初は3 x 2分(レスト3-5分)程度のインターバルから始めて週ごとに負荷を増やし4 x 4分(レスト3-4分)程度まで延ばして行きます。

レースでは高い強度の能力が必要










(3)レースに応じた能力の向上
春先、足はまだ全ての種類のレースに対応できるほど仕上がっていない場合が多いですから、狙うレースにフォーカスした能力を向上させることが必要です。
まずベーシックなインターバルトレーニングでVO2Max/ACの強化を行った後、次のステップとして狙うレースに合わせたトレーニングを行います。

狙うレースがクリテならACパワーとリピータビリティ、丘陵地のロードレースならVO2Maxトレーニングと各レースに必要とされる能力を中心に強化することでレースに対応できる脚を作ります。
またケイデンスも重要なポイントですから、より実際のコースに近い地形で、実際のレースに近い強度でレースをシュミレーションすることが有効になります。

・クリテに必要な能力・・・(5-20秒の加速)/レストの繰り返し=HIIT(高強度インターバル) + 高い有酸素能力
ケイデンスは高め(90-100rpm)

レースに対応する為のトレーニング(クリテ)

・丘陵地のロードレースに必要な能力・・・(1-5分の登り)/レストの繰り返し=VO2Max or ACインターバル + 高い有酸素能力
ケイデンスは低め(80-90rpm)

レースに対応する為のトレーニング(ロード)






(4)戦術・ライディング技術の向上
プロ・アマに限らず殆どの選手は冬の間一人もしくは二人でトレーニングすることが多く、前年最後のレースからは大集団で走っていないことが多いです。

その為、他の選手の後ろについて休む技術、微妙なペースの変化に対応する能力、そして何より集団全体の空気(この後ペースが上がるのか?下がるのか?アタックがかかるのか?沈静化するのか?落車が起こりそうか?優勝候補は集団のどこで何をしているのか?・・・etc)を読む能力を早く取り戻さなくてはなりません。

また春先のレースは、各選手まだ集団での位置が定まらず、我先に集団の位置取りをする為に落車が多いです。また天候の不安定さやライディング技術が未熟な選手が集団の先頭に上がろうとすることで落車がおきます。
落車を予知する能力、起こった落車を避ける技術、そして冬の間に養った身体能力を活かす戦術を身に着けておくことが春先はより重要になります。

もし可能であれば狙うレースの前に1~2レース走りレース勘を取り戻しておきたいところです。
またグループライドや仲間とのトレーニングでテクニックを磨くのも良いでしょう。グループライドは集団走行を行うにあたってのマナー、グループ走行での交通ルールの遵守の方法が学べるのでお勧めです。

アメリカで行われているグループライド、Wednesday Worlds(水曜日の世界選!)


Wednesday Worldsのルール
・交通ルールを守ろう
・キープ ライト(アメリカは右側通行です)
・ヘルメットをかぶろう
・全力を尽くして楽しく走ろう
・1列または2列のペースラインで走ろう
・ニュートラルセクションではアタック禁止
・もし苦しくて上手くローテーションが回せないと感じたら後ろにつくだけにしよう。

充分なエアロビックベースが構築出来ていれば、上記に挙げたVo2Max、ACは6-8週間あればかなり改善することが出来ます。


次回は、実際のケーススタディをもとにトレーニングの実例をご紹介します。

中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了


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ツール・ド・フランドルとパリ・ルーベのパワーデータについて

先週のツール・ド・フランドルは期待に違わぬ熱いレースが繰り広げられ、今週末のパリ・ルーベが待ちきれない方も多いのではないでしょうか?

今回はハンターが以前行ったパワー解析をもとにこれら2大クラシックに要求されるパワーについてご紹介したいと思います。

どちらも約260㎞を6時間で走破するレースで石畳がキーポイントですが、急坂のフランドル、平坦なパリ・ルーベでは要求されるパワーは少し違います。


2011年この2つのレースを走ったジョージ・ヒンカピー(当時BMC)のパワーデータを見て行きましょう。

データをざっと見るだけでも、いかに厳しいレースかが伝わってきます。
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フランドル / パリ・ルーベ
・レースタイム・・・6h00min / 6h12min
・距離・・・256km / 258km
・順位・・・ 6位 / 42位
・消費エネルギー・・・6,100 / 6,229kj (500mlコーラ約27本分!)
・TSS・・・353 / 319 (1時間の個人TTを3~3.5回連続で走るのと同じストレス)
・ノーマライズド パワー・・・NP342w / 323w (6時間!)

用語解説
TSS(トレーニング ストレス スコア)…1時間のFTP走を100として表わす。
NP(ノーマライズドパワー)…変動なく一定ペースで走ったと仮定した場合のパワー
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そしてこれらは厳しい石畳の上で激しい位置取り争いをしながら記録されたものだということを忘れてはいけません。
1時間のTTを滑らかな舗装路の上で行うだけでも大きなダメージがありますが、それらを石畳の上で3回連続で行うと考えるとどれだけ激しいかがご想像頂けると思います。

この2つのレースは近年ではトム・ボーネン、ファビアン・カンチェラーラなどが両方の優勝者リストに名前を連ねていますが要求されるパワーは、それぞれ少し異なります。

・ツール・ド・フランドル
フランドルは序盤は割と穏やかなペースで、ジョージ・ヒンカピーにとってはアクティブリカバリー(Power Z1, HR Z1, RPE <2)レベル)で進みます。この時間のNPは272w(60% of FTP)

3時間を超えてからは”ベルグ”の連続が始まり一気に強度は上がります。
ここで選手は毎回15秒~2分間、FTPの120%を超えるアネロビック キャパシティ(Power Z6 121-150%, HR Z6, RPE >7)の高さと回復力を試されます。

15~60秒の坂は40回、1~2分の坂は20回を数え、それはさながら石畳の上でポジション争いしながら行うインターバルトレーニングのようです。この時間のNPは一気に上がり404w(90% of FTP)/hに達します。

フランドルで勝つためには、前半は石畳の上でも体力を温存しながら勝負に備えれるハンドリングスキル・エアロビックエンジン、そして後半は繰り返されるアネロビックインターバルをこなす反復能力、ホンの少しの下り区間(5-30秒)で体力を回復させる技術、勝負所で一気にアネロビックパワーを爆発させる集中力が要求されます。

2011 フランドル 全体
2011 フランドル後半





































・パリ・ルーベ
一方、パリ・ルーベはフランドルよりもコースは平坦です。それは決してラクなわけではなく足を止めて休める時間がフランドルより短くなることを意味します。
また最もハードな1時間のNPは353w(78% of FTP)/hとフランドルより50wも低いですが、これはフランドルより前半からペースが速いことが影響しています。

パリ・ルーベの石畳は重要区間のカルフール・ド・ラルブルで3分30秒、最も長い区間で5分を超えます。
石畳に入る前の位置取りでスピードは上がり、石畳に入れば粗い路面をこなす為にパワーが要求されます。更には石畳を出ればポジションを取り戻すために休む間もなく再加速。フランドルは急坂を繋ぐ緩急の激しいインターバルですが、パリ・ルーベは高速巡航する中で、さらに2分~5分の高強度を強いられるクリスクロスのような状態です。

パリ・ルーベをパワーで表すとアネロビック/VO2MaxをFTP付近で繋ぐインターバルと言えます。

パリ・ルーベでは、6時間の長きにわたって高いパワーを維持する能力、石畳区間を抜けダメージを受けた足を高い運動強度の中でも回復させる能力(AC/FTP)が要求されます。そして勝つためには、爆発的パワーを出したアタックの後、すぐに巡航に移れる回復力と耐久力が必要です。

2011 パリ・ルーベ

・二つのレースの共通点

二つのレースに共通するのは、高いアネロビック能力。
フランドルの急坂を登る時、フランス郊外の石畳を走り抜ける時、選手たちはFTPの120%を超える強度を何度も何度も繰り返しながら、勝負に挑んでいると言えます。図中右側がアネロビック領域ですが6位に入ったヒンカピーでさえ6時間のレース中、40分間もこの強度に入っています。

プロロード選手として最後のレースにパリ・ルーベを選んだskyのブラッドリー・ウィギンスは、コーチのティム・ケリソンと共に全ての石畳のタイムを測り、冬の間石畳の長さに合わせたアネロビック/VO2Maxのインターバルをこなしたと言われています。

石畳をこなす選手たちがどんなパワーを要求されながら走っているのかを想像しながら観戦するのも面白いのではないでしょうか。

今週の日曜日が楽しみですね!

二つのクラシックのパワーデータを元にハンター・アレンが考案したトレーニング

ヒルリピート
WU: 15分 エンデュランス(Power Z2 56-75%, HR Z2, RPE 2-3)。
——
クラシックを想定し丘や風に向かってトレーニングを行おう!
MS1: ヒルリピート 20本
30秒ー2分の丘を繰り返し登ろう。
レスト:2-3分
地形:丘もしくは向かい風

同じ丘をリピートする必要はない(もし行いたかったら、もちろんOK。)。
どの坂もアネロビックキャパシティ(Power Z6 121-150%, HR Z6, RPE >7)レベルで。
FTPの150%以上を目指そう!(FTP300wなら、AVG>450w!)
頂上付近では足が焼けつくような感覚が得られるはずだ。
——–
CD: 15分 イージーで。

アネロビック・リピート
WU:20分 
———
MS1:アネロビックキャパシティ(Power Z6 121-150%, HR Z6, RPE >7)
6 x 2分
レスト:1分
地形:丘もしくは向かい風

FTPの135%以上を目指そう!(FTP300wなら、>AVG405w!)
今回はヒルリピートよりもレストを短く。

5分イージー
———
MS2:アネロビックキャパシティ
6 x 1分
レスト:1分
FTPの150%以上を目指そう!(FTP300wなら、>AVG450w!)

5分イージー
———
MS3:アネロビックキャパシティ
6 x 30秒
レスト:1分
オールアウトで!!
——–
CD:15分イージー

家に帰ったらデータをダウンロードして確認しよう。
TSS100は誰にとっても、FTP1時間分のストレス。
6時間のトレーニングでジョージのTSS350は超えれただろうか?
グッド・ラック!!

参考
Training Peaks Blog
Power Numbers From The Spring Classics  Hunter Allen

中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了


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シーズンオフのトレーニングについて part2

前回のブログではシーズンを振り返り来シーズンへの道筋をつける方法をご紹介しました。

今回は実際に冬のトレーニングで何をすべきかを順番にご紹介したいと思います。
冬のトレーニングのフォーカス 4点
(1)FTPの向上
(2)筋力アップ
(3)弱点強化
(4)休養

(1)FTPの向上
一昔前までは、冬のトレーニングと言えばLSD(Long Slow Distance)でした。
エンデュランス(Power Z2 56-75% of FTP)に集中し、じっくり走り込む事で筋持久力・ミトコンドリアの増加を図るという理論です。
この考えは今でも生きていますが、冬の間LSDのみを行うのではなく、テンポ(Power Z3 76-90%)、FTP(Power Z4 91-105%)をメインに走り込む方が短時間で効率良く、よりレースに即した持久力(エアロビックベース)を鍛える事が出来るのが分かっています。

また選手が1年に走れる時間と言うのはある程度決まっていますから、いたずらに多く距離をこなす事なくエアロビックベースを構築できる方が、より長く好調を維持出来ます。たとえば前年1万kmを走った選手が、今年2倍の練習量である2万kmをこなせるようにはなれません。
ですからこの選手が走り込みで6,000km走ったら、本格的なシーズンは残りの4,000-5,000㎞程度で打ち止めで、その後は好調を維持するのが難しくなります。ですから強度を上げて短い距離でエアロビックベースを構築出来た方がレースシーズンの為にも良いのです。

レースに即した持久力
例えばレースの時、勝負所でチギれてしまったのは単純に持久力が無かったからでしょうか?そんな事ばかりではないはずです。
優勝候補が息も切らさず登っていたのに自分は苦しかった(有酸素能力を超えていた)ことや、それまでに足を使っていた(無酸素能力を使っていた。)ことが原因の方が多いはずです。
レースが単純に持久力で決まるなら、毎日10時間走って世界一周をするようなサイクリストがコンタドールに勝てるはずです。

下記の図はFTP 300wと250wの選手が300wで走った場合のイメージ図です。
左の図はFTP 300wの選手と250wの選手の比較です。FTP 300wの選手は1時間300w維持出来るのに対し、FTP 250wの選手は300wではVO2Max領域に入ってしまう為、3-8分しか耐える事が出来ません。

右の図は具体例です。例えばレースで登りに入り、集団について行くには300wが必要だったとします。FTP300wの選手は1時間集団に残れるのに対し、250wの選手は3-8分でチギれてしまいます。高い有酸素能力=高いFTPのパワー。これがレースに即した持久力です。

FTPの絶対値を上げましょう!

FTPを上げるには?
では実際にFTPをあげるにはどうすれば良いのでしょう?
冬の間、FTPを上げるにはエンデュランスの中にテンポ・FTPを組み合わせるのが効果的です。また冬の終わりにはVO2Max(Power Z5 106-120%)も入れる事で更に効率的に鍛える事が出来ます。
FTP増加の為のメニュー

SST(Sweet Spot, Power 88-94% of FTP)トレーニング

WU: 15分 3 x 1分の高回転走を入れて足を目覚めさせよう。
——
MS1: SST 2 x 20分
地形: 緩い登り~登り
ケイデンス: 80-90rpm
——
MS2: テンポ 20-40分(Power Z3 76-90% of FTP)
地形: 平坦~丘陵地
ケイデンス: 90-100rpm(いつもより10rpm速い回転数で。)
——
CD:15分

このトレーニングは典型的なFTP強化の為の週末のメニューです。
テンポは速いケイデンスで行うことで、レース後半でも回転を維持する能力を養います。

2 x 20分の平均値が94%FTP、テンポ40分が問題なく出来るようになったら、次の段階に入りましょう。 次の段階はFTPゾーン、そしてVO2Maxを刺激します。



FTP(91-105% of FTP)トレーニング

WU: 15分 3 x 1分の高回転走を入れて足を目覚めさせよう。
——
MS1: FTP 2 x 20分
地形: 緩い登り~登り
ケイデンス: 80-90rpm
——
MS2: VO2 Max(106-120% of FTP) 3-4分 x (4-6本)
地形: 登り
AVGが3本目から10%落ちたらその時点で終了。落ちないように頑張ろう!
——
MS3: テンポ 20-40分(Power Z3 76-90% of FTP)
地形: 平坦~丘陵地
ケイデンス: 90-100rpm(いつもより10rpm速い回転数で。)
——
CD:15分

(2)筋力アップ
ロードレースはアタック、ゴールスプリント、登りなど持久競技でありながら、高い筋力が要求されます。
同じ持久力の選手が一緒にゴール地点まで来た場合、筋力のある選手がゴールスプリントに勝つ可能性が高いですから筋力は重要です。
またクライマーであっても、登りの低いケイデンスで高いパワーを出すには高いトルク=筋力が必要です。

アメリカのプロ選手はクライマーであっても冬の間8-12週間は筋力トレーニングに費やします。

充分な筋量を確保してFTPトレーニングに入ることで、より高いFTPを獲得できる可能性が高くなります。
またケガの予防にも筋力トレーニングは大変有効です。
特にマスターの選手は加齢により筋量を失うスピードが加速しますから、シーズン最後まで筋量を確保できるようにジムに通いましょう。

(3)弱点強化
冬の間は、エアロビックベースを確保するのが第一のゴールですが、一方で弱点にアクセスするのも大切です。
冬は弱点強化に最も長く時間を費やせる時期です。
シーズンに入るとレースに合わせた総合的なトレーニングがメインになりますから、集中的に強化するには冬が一番です。

例えばレースで集団のペースが上がった時に足を使い切ってしまって、次の動きに対応できない=VO2Max領域がネックだったとします。

その場合は、冬の間、エンデュランス/テンポ/FTPを行うだけでなく、最低2週間に1回はVO2Maxのトレーニングを入れましょう。

エアロビックベースの構築集中するあまり、全く弱点にアクセスすることなく冬を越してしまったら翌シーズンに弱点を持ち越すことになってしまいますし、FTPの成長を阻害する要素(リミッター)にもなりかねません。時間がなければ週末のトレーニング時に1セット弱点強化メニューを追加するだけでも随分変わるはずです。

(4)休養
シーズンに入れば、激しいレース・トレーニングの繰り返しで少しずつ体力は消耗して行きます。
これをパワートレーニング用語で表すとCTLが高い状態でTSBがネガティブ(<0)になる状態と言います。

CTL…過去42日間のトレーニング量
ATL…過去7日間のトレーニング量
TSBCTLATL フレッシュさ。
CTLが高く(=過去42日間のトレーニング量が充分)、ATLが低い(=過去7日間はトレーニングが軽い)状態であれば、TSBはポジティブ(=練習量充分でフレッシュ)になりレースで良いパフォーマンスが発揮できる可能性が高くなります。

一方、高いCTLを維持している上にATLも高い状態になるとTSBはネガティブとなり深い疲労状態に入っていると言えます(ステージレース直後など)。

このような疲労状態を1年維持するのは不可能ですから、しっかりとしたエアロビックベースを構築しながらも、適度に休養をとりフレッシュな状態でシーズンに入ることが大切です。

CTL/ATL/TSBについて詳しくはパワー・トレーニング・バイブルP.189 第8章 パフォーマンスの調整方法をご覧ください。

フレッシュにシーズンに入ろう!





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中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了