[トレーニング] ローラーで飽きない方法 Part2

今回はワークアウトを行う中で飽きない方法を書いてみます。

1.プランを用意する
ただ何となくローラーにまたがって漕ぎ始めるのは”飽きに行っている”みたいなものです。
ウエイトトレーニングと同じく「今日は10分300wを3セット完遂する!」といったモチベーションを持って乗ることで飽きることを防げます。
プランを立ててメニューを完遂しましょう。

2.異なるパワーゾーンを刺激する。
あまりに長く一定のペースで走ると飽きてしまいますから、1回のワークアウトで少なくとも2つ以上のパワーゾーンを刺激するのがお勧めです。
パワーゾーンが変わると体にかかるストレスも変わり、時間の流れる速さも変わったように感じます。

快調に時間が過ぎるテンポ(Power Z3 76-90%, HR Z3,RPE 3-4)、1秒でも早く終わりが来てほしいAnaerobic Capacity (Power Z6 121-150%, HR Z6, RPE >7)を組み合わせることで、身体的な刺激と共に精神的にも緩急がつきます。

3. ケイデンスを変える
ローラーが飽きるもう一つの要因として、ケイデンスの変化が乏しいことがあります。
同じパワーゾーン内に居る時でもケイデンスを変えればリズムが変わり飽きを防げます。
これは自身が快適だと感じるケイデンスばかりで走るのを防ぎパワーバンドを広げる効果もあります。
パワーバンドを広げることは、実走とローラーの差を埋めてくれます。
ご紹介した方法をミックスしたのが、下記のワークアウトです。

上記の方法を参考に皆様も独自のローラーで飽きない方法を編み出して楽しくトレーニングして頂ければと思います。

 

ワークアウト例: FTP + ピラミッド・インターバル 1h35min1509891_324494134341175_5527715824351324611_n
WU: 15分 エンデュランスペースで。 3 x 1分の高回転を入れよう。
——–
MS1: FTP 3 x 10分
レスト5分
1本目: <90rpm(1枚重いギアで)
2本目: >90rpm(1枚軽いギアで)
3本目: 自由なギア比で
FTP(Power Z4 91-105%, HR Z4, RPE 4-5)
5-10分流し
——–
MS2: ピラミッド・インターバル 4,3,2,1分
レスト 3-4分(なるべく短く)
VO2Max(Power Z5 106-120%, HR Z5, RPE 6-7)
Anaerobic Capacity (Power Z6 121-150%, HR Z6, RPE >7)
4→3→2→1分と進むにつれてAVGは上がって行くように。ラストの2分と1分は特に余力を残さず限界まで!
———
CD:15分

 

 

 

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・開催日時: 11月23日(水・祝)午前の部 9:45~12:45

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冬のトレーニングをパワーアップしよう

 

 

[トレーニング] ローラーで飽きない方法 Part1

~Setting Up Your Training Dungeon~

 

これから年末年始は何かと忙しくスケジュールが読めない事も多いものです。このような時、ローラーはすぐに乗れて交通事情にも左右されない為、時間の節約に有効です。

 

英語でローラー部屋と言うとPain Cave(苦しみの洞窟)やTraining Dungeon(地下牢)といった何だか苦しげな表現が多いですが、自分だけの「トレーニング・ラボ」を作ることで、前向きに飽きずにトレーニングする環境を作ることが出来ます。

 

 

Part 1 環境編

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1.ファンを置いてクーリングする。
暑さはストレスを増やしトレーニングを長く苦しく感じさせます。冷却することでストレスを減らしましょう。
人間は出力の約3倍エネルギーを消費します。 冷却することで熱消費を減らしトレーニングの効率を上げましょう。

2.音楽を選ぶ
それぞれの運動強度に合わせてプレイリストを作るのも良いアイデアです。インターバルの時は激しい曲、回復走の時はリラックスできる曲など、気持ちが乗るように工夫しましょう。

3.映像を見る
レース映像、Zwiftの集団走行など、実走の感覚や相手が居れば飽きることを防げます。
グループライドで仲間と走っているとアッという間に時間は過ぎた経験は皆さんにもあると思います。あの感覚をローラーにも活かしましょう。

4.パワーメーターを使う
目標とする数値があれば、より集中することが出来ます。
目標とするパワーに到達しようと頑張ることで時間は早く過ぎます。

5.フォームを研究する
ショーウインドーに映る一瞬の姿でフォームチェックをしなくともローラーの前に鏡を置けばペダリングをしっかり見ることが出来ます。またカメラで真横から録画してペダリングを見るのも良い方法です。
http://zwift.com/jp/

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さぁパワートレーニングを始めよう! Part7 実践編②

前回ご紹介したMAXパワーチャレンジを数回こなしたら、次は自分だけのパワープロファイルを作成しましょう。

パワープロファイル作ることで、自身の長所と短所を客観的に測ることが出来ます。また世界基準に対して自分がどの辺りに居るのかを知っておくのも面白いものです。

今後世界を目指そうという若者は、常に自身のパワーをモニタリングし、「1年前と比べてどのくらい世界に近づいたか?」を測っておくことは、特に有効な指標になります。

では実際の方法を例を取って説明して行きましょう。

パワープロファイルの作成方法

1.パワープロファイルをTraining Peaksよりダウンロードします。

下記のリンクを参照し、記事中段にある「Examples of Power Profiles for Common Specific Disciplines」から「All Rounder」をクリックし、MSエクセル・スプレッドシートをダウンロードしましょう。

Power profiling
http://home.trainingpeaks.com/blog/article/power-profiling

尚、競技歴が長く、走りのタイプ(スプリンター・パーシューター・TTスペシャリスト)が固まっている選手はSprinter、Pursuiter、Time Trialistのスプレッドシートをダウンロードしてパワープロファイルの傾向を確認してみて下さい。
パワープロファイル・チャート

2.パワープロファイルを作成
トレーニングの中で実測した5秒、1分、5分、FTPをそれぞれ体重で割った値を入力して行きます。これはw/kgという単位で表します。


例 男性 体重60kg
ベストスコア 5秒1,260watts、1分600watts、 5分360watts 、FTP 300watts
体重1kgあたりのワット数 5秒21.00w/kg、1分10.00w/kg、5分6.00w/kg、FTP5.00w/kg

上記の値をダウンロードしたパワープロファイルに当てはめて行きます。ピッタリの値がない場合は近似値を選びます。

3.パワープロファイルを評価する。

バランスとレベルを知ろう!

出来上がったパワープロファイルを元にパワーを評価して行きましょう。
①パワーのバランスを評価する
出来上がったパワープロファイルを見ると彼は各パワーゾーンでバランス良く出力を発揮していますが、中でも短時間の出力が得意な事が分かります。(5秒・1分のレベルが5分・FTPよりも高い。)

これはスプリント(5秒)、アネロビック(1分)が得意でVO2Max(5分)・FTP(20~)は若干ながら不得手であることを意味しています。タイプで言うとスプリンターと言えます。

②世界レベルと比べる
さらに横にある見出しを参照すると5秒・1分の出力はアメリカ国内プロに匹敵し、5分・FTPはカテゴリー1に該当していることが分かります。

4.戦術を考える
では彼がカテゴリー1および国内プロの中で闘って行くにはどうすれば良いのでしょうか?

脚質に合った戦術を

出来上がったパワープロファイルから彼の持ち味はスプリントおよびアネロビック・パワーであることが分かります。ですから、レースでは若干不得手なVO2Max・FTPをかばいながら、スプリント・アネロビックのパワーで勝負して行くことが必要になります。

例を挙げるとVO2Max・FTPの能力を要求される少人数の逃げは避け、ゴール前で勝負する展開に持ち込めば勝率が高くなります。
レース後半まで集団内に身を隠しゴール前になると一気に出てくるカヴェンディッシュやキッテルのような走りが彼の取るべき戦術です。

チーム監督からすれば「後先考えずに景気良く飛び出せ!」と言いたいところですし、彼のスプリント力を考えれば、一時集団を引き離すのは容易なことでしょう。しかし、「勝利」にこだわった時、彼が取るべき戦術は集団スプリント、もしくはゴール直前での飛び出しです。

5.強化を考える

まずはバランスを!

出来上がったパワープロファイルを活用し、今後どのような強化を行っていけばよいのでしょうか?

上記の彼のように、ある程度バランスが取れていれば、個性を損なうことなく全体的な底上げをするのが適切です。
彼がバランスよく強化をして行ければ、ゴールスプリントに強いだけでなく、集団から飛び出し、少人数のスプリントにも勝てる選手に成長出来ることでしょう!

一方もし、あなたのパワープロファイルの中に、他のレベルと比べて極端に劣っているところがあれば、まずはそこに焦点を当てて強化しバランスを取るべきです。
例:5秒・1分・5分に比べて極端にFTPが低い場合、まずはFTPを強化する。

殆どの選手の特徴として「得意分野は伸びやすく不得意分野は伸びにくい」ということが言えます。そしてセルフ・コーチングを行っている場合、どうしても得意分野に偏ったトレーニングになりがちです。
学生時代を思い出してみて下さい。不得意教科を後回しにして、得意教科の勉強を優先しがちだったのではないでしょうか?
それでは得意分野の点数は伸びますが、全体的な得点は伸びません。

同じようにトレーニングでも、自分にとって得意=気持ちよく走れる領域を優先し、苦手分野をおざなりにすると総合力は伸びません。
そればかりか将来的には、得意分野の進歩を阻害する要因にさえなります。やはりバランスが大切です。
例:スプリントが得意なのにFTPが低すぎる為に、集団でゴールまで行ってもスプリントする力が残っていない。その場合は、まずはFTPを強化することでスプリント力が活きてくる。

実際のレースでは1回の出力の他にリピータビリティ(繰り返しの能力)や レースのメンバー、距離、地形、そして何より勝つための戦略(アタックのタイミング、アシストが居るか?、・・・etc)が複雑に絡んできます。

しかし、自分のタイプ(脚質)を知っておくことは、レース戦略を立てる上で重要なポイントになります。

ではロードでお会いましょう!

Peaks Coaching Group
ハンターアレン、中田尚志(共著)

ハンター・アレン…全米自転車競技連盟Level1認証コーチ。元プロ・ロード選手。1995年よりあらゆる種目のコーチングを手掛け世界チャンピオン、全米チャンピオンを始め1,000以上の勝利に貢献している。全米自転車競技連盟パワートレーニング講座の講師。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)他、著書多数。

中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。
日本ではロード・トラック・シクロクロスの全日本選手権出場経験があり、複数のUCIレースを完走している。
現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。
2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了