Interbike パワーメーター情報③ PowerTap
- 2014年11月1日
- 中田尚志ブログ
前回までは新規参入メーカーを見て来ましたが、今回はパワーメーターの老舗パワータップについてご紹介しましょう。
(1)パワータップの特徴
パワーメーターに求められられる信頼性とは、精度と耐久性です。
各メーカーがパワータップを開発のベンチマークに使用していることからも精度の良さがうかがい知れます。
今回のインターバイクでもwatteamのデモバイクにはパワータップが装着されており、「パワータップと表示される値が同じ=高精度」とアピールしていました。
パワータップは雨やホコリといった自転車レースでは避けては通れない自然環境に対する耐久性が高いのも魅力です。
パワータップがパワーメーター市場で世界シェアNO.1を獲得しているのは、これらの精度と耐久性がユーザーに評価されている証明と言えるでしょう。
パワータップの歴史
(2)マーケットリーダーとしての役割
2011年のG3登場によって現在の軽量化と低価格化のトレンドを作り出したのもパワータップと言えます。
またパワートレーニングに必要な知識の教育に力を入れている事もマーケットリーダーとしての大きな特徴でしょう。
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(3)シンプル イズ ベスト!
パワートレーニングに求められるパワーメーターの性能は、精度と耐久性です。
下記のPMCチャート(選手のトレーニング量・疲労度・コンディションを測るチャート)などは、間断なくデータを撮り続ける事で初めて完成します。
最新のパワートレーニングではパワーメーターが精度を失うことなく動作し続ける事が、コンディションを正確に把握する鍵になります。
私は、安価なパワーメーターを2台用意する事を勧めています。
そうすればデータを絶え間なく取る事が出来、尚且つお互いに精度を確かめる事が出来るからです。
万一パワーメーターが壊れてしまっても、後輪を取り換えるだけですぐにトレーニングを再開できるのもヘビーユーザーには大きなメリットです。
(4)日本での保守体制
国内キャリブレーション設備 |
どんなパワーメーターでも保守は必要です。パワーメーターは自転車の構成パーツの中でも最も繊細で高度な電子部品を使用していますので、精度を保つためには定期的なメンテナンスは欠かせません(私はこれを声を大にして訴えたい!)。
日本国内は、株式会社キルシュベルクがパワーメーター専業企業ならではの万全の保守体制を敷いているのもメリットと言えるでしょう。
(5)軽量
パワーメーターの重量を語る時、センサー自体の重量ではなく「ノーマルパーツからの重量増」に注目するべきです。
パワータップはG3へのモデルチェンジにより約90gの軽量化に成功し、D/A9000のリアハブと比較しても+78gと、パワーメーターの中ではかなり軽量な部類に入ります(一般的なパワーメーターは120-200gの重量増)。
G3 325g
D/A9000 247g
——————-
重量差 78g
※以前のモデル SL+は412g
スペック(メーカー公称)
PowerTap G3
・精度 ±1.5%(第三者機関が証明)
・バッテリー寿命 200時間
・防水防塵レベル トルクチューブ水没テストクリア
・重量 325g
・通信 ANT+ , BLE(Bluetooth Low Energy、Bluetooth SMART)
・バッテリー交換 ユーザーで可能
・ヘッドユニット パワータップ・ジュール パワータップモバイル 他社製ANT+およびBLE対応ヘッドユニット
・バンドルソフト パワーエージェント
・取付方法 後輪にセット。センサー類の調整不要
・サンプリングレート 不明
(3)新製品
今回のインターバイクでは、開発中のプロトタイプが展示されていました。
新規参入企業が相次ぎ、激化するマーケットにどのような製品を投入してくるか今後が楽しみです。
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中田尚志
中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了
8weeks CXコーチング with Powertap
- 2014年10月4日
- 中田尚志ブログ
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中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了
シクロクロスに向けたトレーニングについて Part3
- 2014年10月3日
- 中田尚志ブログ
前回までは、シクロクロス(CX)のパワー特性とトレーニングについてご説明しました。
今回は更にシーズン直前の準備についてご紹介します。
準備期間でFTP付近のエアロビックベースを作った後、いよいよレースが近くなってくるとCXに似せた実戦トレーニングを増やし、CXに特化したパワーとテクニックを磨いて行く必要があります。
(1)マイクロインターバル
Part1でご説明したようにCXレースはON/OFFの落差が激しいインターバルの繰り返しです。
スタートループで猛ダッシュし、最初のコーナーに突っ込んでからは、延々ゴールまでこの”マイクロインターバル”の繰り返しです。
図A.レースのパワー特性 |
CXレースでの”ON”のパワー特性は、トルクが高く、ケイデンスが遅い状態です。(図Aの赤いドットがONの状態でのパワー。QAⅡのトルクが強くケイデンスが低い状態に集中している。)
ですからトレーニングでの”ON”もトルクが高くケイデンスが低い状態を再現してモガく事が必要です。
図を使って順に説明しましょう。
図①・・・ローラーで行った通常のトレーニングデータ
図①ローラー エンデュランス/Vo2Max |
図①はエンデュランスでの巡航中にVO2MAXを入れる、ロードレースの集団の伸び縮みをシュミレーションするトレーニングです。楽なトレーニングではありませんが、図②のCXのパワーデータとは似ても似つかない波形です。またケイデンスもロードレース用のトレーニングの為、90-100rpmが中心です。これではCXに特化したトレーニングとは言えません。
図②・・・CXレースでのパワーデータ
図②は実際CXレースのパワーデータです。パワーは激しく上下し、ON/OFFの落差が激しい状態がレース中ずっと続いています。またパワーと同じくケイデンスも激しく変化しています。
図③・・・マイクロインターバル
図③はCXレースがいよいよ近くなってきた時期に行う、30秒ON – 30秒OFFを10分間繰り返すマイクロインターバルです。
レースでのコーナーの立ち上がり、前走者の追走、ギャップ越えなどをイメージしながら限界までモガキ(倒し)ます。
図①と比較してパワーの波形はかなり図②
CXに近いのが見て取れます。
図B マイクロインターバルのパワー特性 |
こちらの図はマイクロインターバルのトルク特性です。
赤と青のドットがインターバル中のパワーです(黄色はトレーニング全体)。
Y軸より左は90rpm以下、曲線より上はFTP以上の出力を示しています。
図Aのレースのパワー特性と比較すると実際のCXに近い低いケイデンスと高いトルクでトレーニングが出来ている事が分かります。(インターバル中の54%がQAⅡ)
バリエーションとしてコーナーが多くインターバルが短いレースに備えて15秒ON/15秒OFFなど時間を変えるのも有効です。Cat1の選手はこれらの10分間のトレーニングを5分のイージーライドを挟んで5本、劇的にパワーが落ちてしまわない程度までコンディションを高めておけば、間違いなくレースは走れます。
(2)スキル練習
Part1でご紹介した通り、CXのレース中、約24%はペダリングをしていません。
これは楽に休んでいるわけではなくシケイン、階段、コーナー、下り区間です。カテゴリー1のレース60分に対して24%にあたる15分を費やしているわけですから、ここを練習しない手はありません。
また各セクションへの進入速度と脱出速度は、タイムに影響します。特に脱出速度は再乗した時の加速に影響します。ですからオフロードでトレーニング出来る日は、必ずスキルの練習を入れるべきです。
最近は、CXレースの主催者や経験豊富なコーチがスクールを開催していますので、参加される事を是非お勧めします。
スクール情報
関西シクロクロス
http://www.kyoto-cf.com/cross/
スクールに参加しよう! |
三船雅彦氏シクロクロス ライディング スクール「虎の穴」
http://masahikomifune.com/
スクールに参加しよう! |
またお仕事や学校で平日はスキルのトレーニングが難しい方も多いでしょう。
そんな時でも諦める必要はありません。
DVDやYouTubeで空き時間を利用してトップ選手のテクニックを研究する事が出来ます!
レースは毎年同じ場所で行われる事が多いですから、前年の映像を予習として、またレース後トップ選手の走りを確認してライン取りなどを復習する事が出来ます。
モチベーションアップにも良いですし、こちらも是非お勧めです。
2013年 全日本選手権ダイジェスト
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中田尚志
中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
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