[世界選]クロエ・ダイガートはどれぐらい凄いのか?


 
今年の世界選手権個人TTで優勝したクロエ・ダイガート。
 
(1)パワー
TrainingPeaks が投稿したデータでは、驚異的なパワーを記録しています。
タイム: 46分59秒
平均時速: 46.229km/h
平均パワー: 322W
20分マックス: 337W
多くの選手にとって45分程度のエフォートはFTPより5%ほど低いワット数になります。 仮に彼女のFTPを338Wととすると5.1W/kgほどのパワーウエイトレシオがあることになります。
女子で世界のトップなのは間違いないですが、アメリカの男子国内プロと同程度のFTPがあることになります。
 
 
(2)男子選手とのタイム比較
今回は、体調不良により本調子では無かったと言います。
それを裏付けるのは過去のタイムです。
今回は2位と6秒差で優勝しましたが、彼女が絶好調だった2019年の世界選では2位のアンナ・ファンデブレヘンに1分32秒差をつけて優勝しています。
またこの年は同じコースで行われた男子U23の12位に相当するタイムで走っています。
このタイムは当時U23だったベン・ヘイリー、マーク・ヒルシ、ジャオ・アルメイダよりも速いタイムです。
彼らがワールドツアー入りした後の活躍は周知の通り。
ここからも彼女の驚異的な強さがおわかり頂けると思います。
 
 
(3)メンタル
2020年世界選手権で落車しガードレールの上を滑ったことで大腿の2/3の筋肉を断裂してしまいました。
しかし、長期のリハビリを続け今回の復活優勝を果たしました。
何度か会ったことがあるのですが、いつも堂々としていて、いかにも女王といった雰囲気のある選手です。
「東京五輪での私は本調子の50%」「もしもう一度(事故をした)あのコーナーを走れと言われたら同じスピードで突っ込む。何故なら勝つにはそのスピードが必要だから」と言葉からも勝ち気ですね。
今回の世界選手権ではトラックと合わせて2個の金メダルを獲得しました。
 

[世界選手権] アンバー・ニーベン


 

 
48歳で世界選8位!
 
昨日のクロエ・ダイガートの走りも素晴らしかったですが、48才アンバー・ニーベンの走りも凄かったです。
今年のツール・ド・フランス総合優勝者から24秒しか遅れていないです。
 
東京五輪の時にインタビューさせて頂いた記事をどうぞ!
 

[市川雅敏] 身体的な疲労とメンタルの疲労


早くもツール・ド・フランスを見据えて激しいバトルが続いているパリ〜ニース。

第4ステージの山頂ゴールではビンゲゴーとポガチャルのアタック合戦を見ることが出来ました。

コチラのステージから市川雅敏さんにお聞きした「身体的な疲労とメンタルの疲労」の話を思い出したのでご紹介したいと思います。

“ステージレースでは身体疲労だけでなく精神疲労が響いてくる。例えば山岳ステージ。好調で引ける選手は気持ちが良い苦しさ。前を引いているから足は使うのだけど、それほど苦しさは感じない。 

 

一方で付いて行くのでイッパイの選手は身体的にキツい上に「攻められている」という気持ちがあるから余計にキツい。フィニッシュした後は「今日はやられたな〜」と感じる。

 

翌日になると好調だった選手は「今日もやるぞ〜!」とやる気満々でスタートする。引きずり回された選手は「また今日もやられるのか〜」と既に気持ちは塞ぎがち。こうやって生まれた心理的な疲労感の差はステージを追うごとに大きくなる。”

 

山の中腹でアタックしたということはビンゲゴーも調子が良い。にも関わらず返す刀でポガチャルにやられたという事実は、少なからず精神的ショックを受けているはずです。

土曜日の山頂ゴールで今年のパリ〜ニースは、ほぼ決まる可能性が高いです。ステージを重ねて二人の疲労感はどの程度差が出ているのか?戦いが楽しみですね!

個人的には無駄足を使わず総合2位につけているダビ・ゴデューがどう動いてくるかにも注目しています。

1990年ジロ・デ・イタリア 山岳ステージを終えた市川雅敏さん

 

Peaks Coaching Group – Japan

中田尚志