[Race] 親切にしよう
2008年、アメリカのステージレース「カスケード・クラシック」でのひとコマ。
クリス・ホーナー(当時アスタナ)はアシストを終えフィニッシュに向かう登りで、血を流し壊れた自転車を押す少年を発見しました。
不憫に思った彼は少年に「ヘイ!乗っていけよ」と声をかけて、二人乗りでゴールしました。
自転車レースは不思議なスポーツで、勝つにはライバルを蹴落とさなければならないですが、勝負と関係のないところでは助け合う必要があります。
それにレースから離れれば同じ自転車を愛する仲間ですから、困った人が居たら助けるのは当然です。
ついついギスギスしがちなレースの現場ですが、こういった気持ちは忘れないでいたいですね。
先日、クリス・ホーナーをインタビューしました。
近日中に公開予定ですのでお楽しみに!
アメリカは割とコーチや監督が「親切にしなさい。」「助けてあげなさい」と言います。
日本で私の少年時代のコーチ(部活の顧問)は「トラブル(落車)に遭うのは彼が間抜けだからだ」と困っている人を嘲笑し、私も含めて周囲は同調していました。彼は武士に情けは無用とでも教えたかったのでしょう。ですから最初にこの言葉を聞いた時は衝撃的でした。
どちらが人間的に正しいかは言わずもがなですが、レースの緊張が選手にこういった判断力を失わせることは、ままあります。
選手に気合を入れるため、また競争心をあおるためにこういったことを言うコーチも多く見てきました。安全面への意識が低い選手に緊張感をもたせる為に落車した選手をバカにするコーチも居ました。「自分が落車したらあんな目に遭わされる」と教えたかったのでしょう(もっと別の方法があるはずですが)。
若い時にこういった先輩選手に出会っていたら・・・とは今更ながら思いますね。
Peaks Coaching Group Japan
中田尚志
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[Race] バイク・スロウ
昨日のアムステル・ゴールドレースはエキサイティングでしたね!
最後のスプリントは判定に長い時間がかかるぐらいの僅差でした。両者、見事なバイク・スロウでした。
High(er) resolution image of the finish #AGR21 pic.twitter.com/hdxZf2eNLI
— La Flamme Rouge (@laflammerouge16) April 18, 2021
(1)バイク・スロウとは
バイク・スロウ(Bike throw)とはフィニッシュラインでバイクを前に投げ出すことです。
自転車レースの順位判定は前輪でおこなうので、バイクスロウで順位が変わることもしばしばあります。
ちょうど陸上競技のフィニッシュで胸を突き出すのと同じです。
WVA’s front wheel was in air at finish line. #AGR21 pic.twitter.com/046033Oz9H
— ammattipyöräily (@ammattipyoraily) April 18, 2021
(2)バイク・スロウのやり方
ペダルを踏み込む瞬間にハンドルをグッと前に突き出すことで、バイクのスピードが速くなります。
コツは腕を曲げた態勢から思い切ってバイクを前に投げ出すことです。体の下のバイクを一気に前に滑らせて胸をサドルにつける感覚で行います。
フィニッシュライン上でペダルがどの位置にあるかは予測が難しいですが、トップ選手はペダルを踏み込んだ位置でラインを越えます。
固定ギアのトラックでも不思議と合います。
(3)練習
フィニッシュラインを決めてスプリントし、ラインを超える瞬間に合わせて投げるようにします。
・ラインを越える瞬間に投げること
・踏み込む瞬間に投げること。
この2つが一致するように繰り返し練習します。
トラックのポイントレースなどに出場して、相手がいる状態で何度も経験すると上達が早いです。
スプリンターはもちろん、クライマーやTTの選手でもこれは行っておいたほうが良いです。
バイクを扱うのが上手くなりますし、いつ2人でフィニッシュラインを争う日が来るか分からないですからね。
4日前のブラバンツ・ペイルでも似た光景が…。
Peaks Coaching Group Japan
中田尚志
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