[SRM] SRM Training System 販売開始!


元祖パワーメーター「SRM」を販売開始することになりました。
 
昨秋、SRM本社を訪問した時に”ジャーマン・エンジニアリング”のモノづくりに感銘を受け、販売に向けた準備を行ってきました。
 
パワーメーターに必要なのは、精度と耐久性。
 
この2つを兼ね備えた製品を取り扱えることに喜びを感じます。
消費税・送料を含めると本国サイトで購入するよりお安くご購入いただけます。
 
ご購入済みの製品修理も承りますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
 
SRM POWER SHOP
 
@peaksjapan
中田尚志

デレック・ジーの2023 ジロ・デ・イタリア


今年のジロ・デ・イタリアで大活躍したデレク・ジー(イスラエル・プレミアテック)が彼のパワーデータをインスタグラムで公開していました。彼の走りをデータで見ていきましょう!

 

ジロ3週間

走行時間 92h

距離 3410km(トンネル含まず)

TSS 5,376

消費エネルギー 84,000kcal

獲得標高 45,725m

解説

一週間の平均走行時間は約30時間 , TSSは1,800tss, 消費エネルギーは28,000kcalにもなります。

多くのアマチュアサイクリストのトレーニング時間は6-10時間、TSSは300-500前後です。ジロではアマチュアの3倍の仕事を3週間に渡って続けることになります。

TSS ジーの1時間あたりのTSSは5,376÷92=58tss/h 

1時間FTPで走るとTSSは100になります。ですから全工程を通しておおむね全開の60%の強度で走り続けたことになります。トップレベルのサイクリストで世界のトップ選手と変わらないFTPを持つ選手は意外に多く居ます。しかし、60%の強度で21日間走れる能力を持っているのは世界でも限られたワールド・ツアーの選手だけです。

 

クイーン・ステージ(第16ステージ)

https://www.procyclingstats.com/race/giro-d-italia/2023/stage-16/today/profiles

時間 6時間20分

距離 196km

TSS 423

消費カロリー 6,666kcal

獲得標高 5076m

平均ワット数 293W

NP 339W

解説

ジロ・ツール・ブエルタ、いづれのグランツールでもクイーンステージは獲得標高5,000mあたりに設定されることが多いです。アップダウンを繰り返しつつ富士山の1.3倍の高さを6時間で稼いでしまうのですから驚異的です。

 

クイーンステージは多くの選手にとって400TSSを超えます。400tssの意味するところは、この日彼は6時間かけて1時間のタイムトライアル4本分のストレスを体にかけたという意味です。

平均ワット数からエネルギー量を計算すると7,750kJ。1時間あたりのエネルギー量は1,220kJに達します。エネルギー量は体のサイズに大きく左右されますが、春のクラシックで活躍する選手の1時間あたりのエネルギー量は1,000kJ/hが目安です。グランツールの3週目に来て春のクラシック並の負荷のステージが登場していることが分かります。

翌々日からは2日連続の獲得標高4,000m超、さらに最終日前日の個人TTと繋がっていきます。例えるならクラシックの翌々日にさらにクラシックを1レース走るようなものですから、超人的な回復力が要求されます。

 

 

最もキツかったステージ(第13ステージ)

https://www.procyclingstats.com/race/giro-d-italia/2023/stage-16/today/profiles

時間 2時間18分

距離 73km

TSS 207

消費カロリー 2,922kcal

獲得標高 2,350m

平均ワット数 354W

NP 395W

解説

この日、ジーは4位に入っています。短いステージになるとその分、スピードは上がりレースは難しくなります。距離が短いからラクということは無いわけです。

また距離が短い分、タイムカットの時間も短くなります。その為、短距離の山岳ステージは、スプリンターにとってミスが許されません。

 

この日のジーの1hあたりのTSSは90tss/h。 1時間の全開走が100tss/hになりますから、90%で2時間以上走ったことになります。

2時間18分の平均ワット数が354Wからエネルギー量は3,313kJ。 1時間あたりのエネルギー量は1,410kJにも達します。

 

デレック・ジーのデータから、グランツールがいかに厳しいものかが伝わってきます。データを見ることで、より彼らの超人的な能力をうかがい知ることが出来ますね!

ピークス・コーチング・グループ

中田尚志

パワーコーチングを受けてみませんか?

ピークス・コーチング・グループ・ジャパンでは、コーチングを募集しています。

「自身のパワーを増やしてみたい」

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など、コーチングにご興味のある方は是非ご検討下さい。

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コーチングについて

 

トレーニング・データを解析する


 

昨日のデータを元にトレーニング・データを解析する方法をお伝えします。

(1)各エフォートを確認する

昨日のメニューは 3 x 30分のテンポ(76-90% of FTP)。 走行中にラップボタンを押し、走行後に各エフォートを見れるようにしておきます。

 

走行データを各パワーゾーンごとに色分けしたのが上記の写真です。ざっと見てテンポ(緑色)の面積が多く、ターゲットを刺激できていることが分かります。

よく見るとテンポを超えている時間も多く、最大限の効果を狙うならもう少し負荷を落とし、更にもう一本行ったほうが良かったかもしれない。という次回へのヒントも得られます。

トレーニングの刺激は強度と量で決まります。ですから、必ずしも強度を上げるばかりがトレーニングの刺激を高めるわけではありません。強度をコントロールし、量を増やすことが最適なトレーニング刺激になることも多いです。

 

(2)データの見方

更に詳しく見ていきましょう。テンポの場合、最初に見るべきは下記の3点です。説明を簡単にするためにグラフはWKO(パワー解析ソフト)のものですが、トレーニング・ピークスで同じようにデータを確認することが出来ます。

  1. FTPに対する強度
  2. ラップ 平均パワー
  3. ラップ平均心拍
  4. EF(Efficiency Factor)…心拍1bpmあたりのパワー

1.FTPに対する強度

80〜82%でテンポを刺激できていることが分かります。

 

2.ラップ平均パワー

この数字を上げていく。もしくはこのワット数で維持できる時間を延ばす。のが今後のトレーニング管理になります。

 

3.ラップ平均心拍

トレーニングが進むと血液の拍出量は増え、同じパワーを出しても少ない心拍数で走れるようになります。

今回は146-154bpmでしたが、トレーニングを重ねることで、同じ200-206Wでも例えば140-150bpmといった少ない心拍数で走れるようになってきます。

 

4.EF

こちらも3.に似ています。 EFは心拍1bpmあたりのパワーです。 EF=平均NP ÷ 平均心拍 で算出されます。

現在は1.35~1.44bpm/W こちらが例えば1.40-1.50bpm/Wになれば、パワーアップしていると評価できるわけです。

 

(3)ゴールの立て方

パワートレーニングの世界はいつも “トレーニングはテスト”です。

今回のトレーニングデータから、上記の情報を得ました。これらをベースにトレーニングのゴールを立てることが出来ます。

トレーニング効果が見込める8-12週間後に同じトレーニングを行ってみて、下記の変化があればトレーニングは成功したことになります。

1.ラップ平均心拍は同じで、ラップ平均パワーが上がっている。

2.EFが向上している

3.ラップ平均パワーは同じで、ラップ平均心拍が下がっている。

 

データを解析することで更に効果的にパワーアップ出来ることを願っています!

 

Peaks Coaching Group – Japan

中田尚志