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シーズン前半のトレーニングについて Part2 ケーススタディ 社会人レーサー編

前回は春のトレーニングのフォーカスについてご紹介しましたが、今回は実際のケーススタディを見ながら実例をご紹介したいと思います。

宇都宮クリテでの西沢選手 撮影 高木秀彰

春のトレーニングフォーカス

(1)VO2Maxパワー/反復能力の向上
(2)ACパワー/反復能力の向上
(3)レースに応じた能力の向上
(4)戦術・ライディング技術の向上

これらのトレーニングフォーカスを個々の練習環境(トレーニング時間・交通事情・選手個々の能力)に合わせてデザインして行くのはコーチの仕事ですが、コーチが居ない場合は、選手は自分自身でレースまでの期間や仕上がり具合を見ながらトレーニングを計画して行きます。

PCGでコーチングさせて頂いているシエルボ奈良所属の西沢倭義(にしざわ いより)選手を例に見て行きましょう。
彼は冬~春のトレーニングを成功させJプロツアー開幕戦「第2回 宇都宮クリテリウム」を12位でフィニッシュ、チャレンジロードの最高峰A-Eクラスも完走し全日本選手権の出場権を獲得しています。

西沢選手は昨年大学を卒業し、まだ社会人2年目の選手です。
彼は学生時代に学生チャンピオンになったほどの選手でしたが、昨年は環境の変化や練習時間確保の難しさから、得意のクリテリウムでも予選落ちを喫するほど低迷してしまいました。

シーズン最終戦であったツール・ド・おきなわもリタイアに終わり沖縄の海を眺めながら「もう二度と同じようなシーズンは過ごしたくない。」と考えた彼は東京に戻ってすぐパワータップを導入し、PCGと契約します。

完全にパワートレーニング初心者だった彼が最初に行ったのは、FTPテストです。

2014/12/25 FTPテスト 20分 264w
264w x 0.97≒FTP256w ←ローラーでは実走よりもパワーは低くなる為、通常の0.95ではなく0.97を掛けます。

こちらをスタート地点として、東京の交通事情、仕事とのバランスを考慮し宇都宮クリテリウムに照準を合わせてトレーニングを行いました。

平日は仕事・東京の交通事情を考慮し、トレーニングは全てローラーです。

(1)VO2Max、(2)ACパワー/反復能力の向上
社会人レーサーにとって難しいのは言うまでもなくトレーニング&リカバー時間の確保です。

彼の場合も同様で平日トレーニングに割ける時間は多くの社会人レーサーと同じ30分から1.5時間(週5-13時間)。

プロ選手は通常毎日2-6時間(週13-25時間)トレーニングしますから、限られた時間でプロ選手に対抗しうるパワーをつける必要があります。

またトレーニングに割ける時間は限られていますから、春先プロ選手が行うような週ごとに少しずつ時間と強度を伸ばす方法を適用するには無理があります。
その為、与えられた時間の中で各パワーゾーン毎の強度の比率を変えて行くのが最も現実的で確実な方法になります(下図参照)。

プロとアマの強度比率イメージ

また時間の無い社会人レーサーにとって自転車に乗ってから「さて今日は何をしようかな?」と考える時間はありません。綿密にワークアウトの計画を立て、一度ローラー台に飛び乗ったら計画どおりにワークアウトを実行する必要があります。
幸いローラー台は天候・時間に左右される事なくトレーニングが出来ますから、計画的に毎週少しずつ負荷を増やして行けます。

実際のワークアウト
1/7
FTP 3 x 10min
VO2Max  3 x 2min
合計 1h24m, TSS 94

2/4
SST(88-94% of FTP) 1 x 20min
VO2Max 4 x 3min
合計 1h06m, TSS 93

2/28
SST w/ バースト 1 x 20min
クリスクロス 1 x 20min
1 x 10min マイクロバースト
合計 1h22min TSS 106











TSS・・・トレーニングの強度と時間を表わす数値。1時間の全力TT=100TSS




(3)レースに応じた能力の向上
クリテリウムは、(5-20秒のダッシュ)/レストの繰り返しで、さながら1時間続くインターバルトレーニングのようです。
激しくケイデンスは変化し、ダッシュ時のケイデンスは(90-105rpm)とかなり速くなります。

その為、一人でトレーニングを行う場合でも、このような(ダッシュ/レスト)の繰り返しをシュミレーションしておく必要があります。下記のトレーニングではクリテリウムの激しいパワーの変動を再現する為に各種のインターバルを行っています。



クリテリウムはダッシュの連続























2/28 SST w/ バースト(短いダッシュ) 、クリスクロス、マイクロバースト
・SST w/ バースト 
スイートスポット(88-94%FTP)での巡航中に2分に1回10秒のバーストを入れて20分


・クリスクロス
SSTで巡航中2分に1回30秒間FTPの120%までペースを上げる。
30秒が経過したら、もとのペースに戻す。(しかし85%以下に下げてはいけない!)  


・マイクロバースト
30秒ON-30秒OFFの繰り返しを10分間!
ON・・・ 150%FTP
OFF ・・・50%FTP


トレーニング時もダッシュの連続を再現





(4)戦術・ライディング技術の向上
レースの戦術を磨くのはレースに出るのが最高ですが、彼の場合2月・3月は休日出勤が多く、週末に仲間とグループライドを行うことさえ難しい状況でした。
その為、今回はローラー台の上でもペダリング技術を磨けるワークアウトを多く入れました。


彼はトラック出身の選手であり、ハンドリングスキルについて心配は要りませんでした。しかしペダリングについてはグループライドが出来ない為、脚に集団走行でのペダリングを思い出させる必要がありました。

彼のSST(88-94% of FTP) w/バーストのパワーファイルを見てみましょう。

SST w/ バーストは、SSTの中にダッシュを繰り返し入れる事で、ダッシュ直後にSSTの強度で足を回復させる=何とか足を貯める能力 を磨く事が出来ます。

パワーデータを見ると1本目はバーストのパワー、レストのパワーともに安定していません。これはSSTの間に上手く足を貯めるペダリングが出来ていない為、回復が間に合わず次のスプリントに準備が出来ていないからです。

しかし2本目はパーフェクトに軌道修正しているのが見て取れます。バーストは回を追うごとに力強くなり、SSTのパワーは高い位置で安定しています。これはSSTの出力の中で、足を回復させるペダリングを掴んだ為、スプリントに備えて高い出力の中でも足を貯めることが出来ているからです。

この方法は成功し、レースでも上手くプロ選手と調和して走ることが出来ました。もちろんローラーで全ての実走テクニックを磨く事は不可能ですが、ペダリングに関してはローラーでのトレーニングであってもライディング技術の向上を図れる一例と言えるでしょう






上記の4点に主眼を置きながらトレーニングを行い2月上旬には20分289w(≒FTP274w +18w, +7%)までパワーアップ、そしてシーズン初戦となった宇都宮クリテリウムでは、12位の成績を収める事が出来ました。

ちなみにレースの週は色々な事情が重なりトレーニング出来たのは、たったの2回。
その内1回は1時間、そしてもう1回は8分(!!)でした。


それでも、好走できたのは彼の才能とモチベーション、そして綿密なトレーニング計画と実行力にあったと言ってよいでしょう。



もちろん簡単なことではないものの、計画を練り、レースに要求される能力に焦点を絞ったトレーニングを遂行すれば、社会人の限られた練習時間でも国内最高峰のクラスでレース活動を行うことは可能だということを彼の走りは示しているといえるでしょう。




12位でフィニッシュ 撮影 高木秀彰

彼のトレーニングを支えるパワータップ



中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了


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シーズン前半のトレーニングについて Part 1

全国各地でレースが始まり既に数レース消化した方も多いかと思います。
レースに出ることで冬のトレーニング結果を確認する事が出来ますし、本格的なシーズンに向けての課題も見えてくると思います。

今回は、レースに向けた春のトレーニングをご紹介したいと思います。


多くの選手にとってロードレースシーズンは3月に始まります。
12月から2月頃までは前回ご紹介した下記の4点にフォーカスしてトレーニングし体力アップを図りますが、一旦レースが始まるとより実戦に即したトレーニングに移行していく必要があります。

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冬のトレーニングのフォーカス

 (1)FTPの向上
 (2)筋力アップ
 (3)弱点強化
 (4)休養
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冬の間に上記の強化を行った後に行うべきはレースに勝つために必要なFTPを超える能力(VO2Max, Anaerobic Capacity, スプリント)の強化です。

まずは1本で出し切る絶対的なパワー(Absolute Power)。そして、FTPを何度も超えるアタックやペースの変化に耐えうる反復能力(Repeatability)の二つを強化する必要があります。

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春のトレーニングのフォーカス
 (1)VO2Maxパワー/反復能力の向上
 (2)ACパワー/反復能力の向上
 (3)レースに応じた能力の向上
 (4)戦術・ライディング技術の向上
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(1)(2)VO2MaxおよびACパワー/反復能力の向上
春先のレースはロードレースでもアマチュアなら通常3時間以内で短く激しいものが多いです。
これはVO2Max(Power Z5 106-120% of FTP, HR Z5, RPE 6-7)、Anaerobic Capacity (Power Z6 121-150% FTP, HR Z6, RPE >7)(以下AC)の能力を多く要求されることを意味しています。

これらの強化法としては最初は3 x 2分(レスト3-5分)程度のインターバルから始めて週ごとに負荷を増やし4 x 4分(レスト3-4分)程度まで延ばして行きます。

レースでは高い強度の能力が必要










(3)レースに応じた能力の向上
春先、足はまだ全ての種類のレースに対応できるほど仕上がっていない場合が多いですから、狙うレースにフォーカスした能力を向上させることが必要です。
まずベーシックなインターバルトレーニングでVO2Max/ACの強化を行った後、次のステップとして狙うレースに合わせたトレーニングを行います。

狙うレースがクリテならACパワーとリピータビリティ、丘陵地のロードレースならVO2Maxトレーニングと各レースに必要とされる能力を中心に強化することでレースに対応できる脚を作ります。
またケイデンスも重要なポイントですから、より実際のコースに近い地形で、実際のレースに近い強度でレースをシュミレーションすることが有効になります。

・クリテに必要な能力・・・(5-20秒の加速)/レストの繰り返し=HIIT(高強度インターバル) + 高い有酸素能力
ケイデンスは高め(90-100rpm)

レースに対応する為のトレーニング(クリテ)

・丘陵地のロードレースに必要な能力・・・(1-5分の登り)/レストの繰り返し=VO2Max or ACインターバル + 高い有酸素能力
ケイデンスは低め(80-90rpm)

レースに対応する為のトレーニング(ロード)






(4)戦術・ライディング技術の向上
プロ・アマに限らず殆どの選手は冬の間一人もしくは二人でトレーニングすることが多く、前年最後のレースからは大集団で走っていないことが多いです。

その為、他の選手の後ろについて休む技術、微妙なペースの変化に対応する能力、そして何より集団全体の空気(この後ペースが上がるのか?下がるのか?アタックがかかるのか?沈静化するのか?落車が起こりそうか?優勝候補は集団のどこで何をしているのか?・・・etc)を読む能力を早く取り戻さなくてはなりません。

また春先のレースは、各選手まだ集団での位置が定まらず、我先に集団の位置取りをする為に落車が多いです。また天候の不安定さやライディング技術が未熟な選手が集団の先頭に上がろうとすることで落車がおきます。
落車を予知する能力、起こった落車を避ける技術、そして冬の間に養った身体能力を活かす戦術を身に着けておくことが春先はより重要になります。

もし可能であれば狙うレースの前に1~2レース走りレース勘を取り戻しておきたいところです。
またグループライドや仲間とのトレーニングでテクニックを磨くのも良いでしょう。グループライドは集団走行を行うにあたってのマナー、グループ走行での交通ルールの遵守の方法が学べるのでお勧めです。

アメリカで行われているグループライド、Wednesday Worlds(水曜日の世界選!)


Wednesday Worldsのルール
・交通ルールを守ろう
・キープ ライト(アメリカは右側通行です)
・ヘルメットをかぶろう
・全力を尽くして楽しく走ろう
・1列または2列のペースラインで走ろう
・ニュートラルセクションではアタック禁止
・もし苦しくて上手くローテーションが回せないと感じたら後ろにつくだけにしよう。

充分なエアロビックベースが構築出来ていれば、上記に挙げたVo2Max、ACは6-8週間あればかなり改善することが出来ます。


次回は、実際のケーススタディをもとにトレーニングの実例をご紹介します。

中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了


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ツール・ド・フランドルとパリ・ルーベのパワーデータについて

先週のツール・ド・フランドルは期待に違わぬ熱いレースが繰り広げられ、今週末のパリ・ルーベが待ちきれない方も多いのではないでしょうか?

今回はハンターが以前行ったパワー解析をもとにこれら2大クラシックに要求されるパワーについてご紹介したいと思います。

どちらも約260㎞を6時間で走破するレースで石畳がキーポイントですが、急坂のフランドル、平坦なパリ・ルーベでは要求されるパワーは少し違います。


2011年この2つのレースを走ったジョージ・ヒンカピー(当時BMC)のパワーデータを見て行きましょう。

データをざっと見るだけでも、いかに厳しいレースかが伝わってきます。
——————————————-
フランドル / パリ・ルーベ
・レースタイム・・・6h00min / 6h12min
・距離・・・256km / 258km
・順位・・・ 6位 / 42位
・消費エネルギー・・・6,100 / 6,229kj (500mlコーラ約27本分!)
・TSS・・・353 / 319 (1時間の個人TTを3~3.5回連続で走るのと同じストレス)
・ノーマライズド パワー・・・NP342w / 323w (6時間!)

用語解説
TSS(トレーニング ストレス スコア)…1時間のFTP走を100として表わす。
NP(ノーマライズドパワー)…変動なく一定ペースで走ったと仮定した場合のパワー
———————————————

そしてこれらは厳しい石畳の上で激しい位置取り争いをしながら記録されたものだということを忘れてはいけません。
1時間のTTを滑らかな舗装路の上で行うだけでも大きなダメージがありますが、それらを石畳の上で3回連続で行うと考えるとどれだけ激しいかがご想像頂けると思います。

この2つのレースは近年ではトム・ボーネン、ファビアン・カンチェラーラなどが両方の優勝者リストに名前を連ねていますが要求されるパワーは、それぞれ少し異なります。

・ツール・ド・フランドル
フランドルは序盤は割と穏やかなペースで、ジョージ・ヒンカピーにとってはアクティブリカバリー(Power Z1, HR Z1, RPE <2)レベル)で進みます。この時間のNPは272w(60% of FTP)

3時間を超えてからは”ベルグ”の連続が始まり一気に強度は上がります。
ここで選手は毎回15秒~2分間、FTPの120%を超えるアネロビック キャパシティ(Power Z6 121-150%, HR Z6, RPE >7)の高さと回復力を試されます。

15~60秒の坂は40回、1~2分の坂は20回を数え、それはさながら石畳の上でポジション争いしながら行うインターバルトレーニングのようです。この時間のNPは一気に上がり404w(90% of FTP)/hに達します。

フランドルで勝つためには、前半は石畳の上でも体力を温存しながら勝負に備えれるハンドリングスキル・エアロビックエンジン、そして後半は繰り返されるアネロビックインターバルをこなす反復能力、ホンの少しの下り区間(5-30秒)で体力を回復させる技術、勝負所で一気にアネロビックパワーを爆発させる集中力が要求されます。

2011 フランドル 全体
2011 フランドル後半





































・パリ・ルーベ
一方、パリ・ルーベはフランドルよりもコースは平坦です。それは決してラクなわけではなく足を止めて休める時間がフランドルより短くなることを意味します。
また最もハードな1時間のNPは353w(78% of FTP)/hとフランドルより50wも低いですが、これはフランドルより前半からペースが速いことが影響しています。

パリ・ルーベの石畳は重要区間のカルフール・ド・ラルブルで3分30秒、最も長い区間で5分を超えます。
石畳に入る前の位置取りでスピードは上がり、石畳に入れば粗い路面をこなす為にパワーが要求されます。更には石畳を出ればポジションを取り戻すために休む間もなく再加速。フランドルは急坂を繋ぐ緩急の激しいインターバルですが、パリ・ルーベは高速巡航する中で、さらに2分~5分の高強度を強いられるクリスクロスのような状態です。

パリ・ルーベをパワーで表すとアネロビック/VO2MaxをFTP付近で繋ぐインターバルと言えます。

パリ・ルーベでは、6時間の長きにわたって高いパワーを維持する能力、石畳区間を抜けダメージを受けた足を高い運動強度の中でも回復させる能力(AC/FTP)が要求されます。そして勝つためには、爆発的パワーを出したアタックの後、すぐに巡航に移れる回復力と耐久力が必要です。

2011 パリ・ルーベ

・二つのレースの共通点

二つのレースに共通するのは、高いアネロビック能力。
フランドルの急坂を登る時、フランス郊外の石畳を走り抜ける時、選手たちはFTPの120%を超える強度を何度も何度も繰り返しながら、勝負に挑んでいると言えます。図中右側がアネロビック領域ですが6位に入ったヒンカピーでさえ6時間のレース中、40分間もこの強度に入っています。

プロロード選手として最後のレースにパリ・ルーベを選んだskyのブラッドリー・ウィギンスは、コーチのティム・ケリソンと共に全ての石畳のタイムを測り、冬の間石畳の長さに合わせたアネロビック/VO2Maxのインターバルをこなしたと言われています。

石畳をこなす選手たちがどんなパワーを要求されながら走っているのかを想像しながら観戦するのも面白いのではないでしょうか。

今週の日曜日が楽しみですね!

二つのクラシックのパワーデータを元にハンター・アレンが考案したトレーニング

ヒルリピート
WU: 15分 エンデュランス(Power Z2 56-75%, HR Z2, RPE 2-3)。
——
クラシックを想定し丘や風に向かってトレーニングを行おう!
MS1: ヒルリピート 20本
30秒ー2分の丘を繰り返し登ろう。
レスト:2-3分
地形:丘もしくは向かい風

同じ丘をリピートする必要はない(もし行いたかったら、もちろんOK。)。
どの坂もアネロビックキャパシティ(Power Z6 121-150%, HR Z6, RPE >7)レベルで。
FTPの150%以上を目指そう!(FTP300wなら、AVG>450w!)
頂上付近では足が焼けつくような感覚が得られるはずだ。
——–
CD: 15分 イージーで。

アネロビック・リピート
WU:20分 
———
MS1:アネロビックキャパシティ(Power Z6 121-150%, HR Z6, RPE >7)
6 x 2分
レスト:1分
地形:丘もしくは向かい風

FTPの135%以上を目指そう!(FTP300wなら、>AVG405w!)
今回はヒルリピートよりもレストを短く。

5分イージー
———
MS2:アネロビックキャパシティ
6 x 1分
レスト:1分
FTPの150%以上を目指そう!(FTP300wなら、>AVG450w!)

5分イージー
———
MS3:アネロビックキャパシティ
6 x 30秒
レスト:1分
オールアウトで!!
——–
CD:15分イージー

家に帰ったらデータをダウンロードして確認しよう。
TSS100は誰にとっても、FTP1時間分のストレス。
6時間のトレーニングでジョージのTSS350は超えれただろうか?
グッド・ラック!!

参考
Training Peaks Blog
Power Numbers From The Spring Classics  Hunter Allen

中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了