山岳リーダーを着用して ツアー・オブ・ジャパン をスタートする小石祐馬選手( TeamUKYO )のバイクはリーダージャージに合わせたカラーリングなっています。
こういった職人技は選手のやる気を上げてくれますよね!
#toj2018
山岳リーダーを着用して ツアー・オブ・ジャパン をスタートする小石祐馬選手( TeamUKYO )のバイクはリーダージャージに合わせたカラーリングなっています。
こういった職人技は選手のやる気を上げてくれますよね!
#toj2018
大阪で強化した日々
前年スイスでのレースに手応えを掴んだ市川さんはエリートアマチュアの強豪マビックチームに入団を希望するも叶わず1985年は大阪にあるスギノチームに加入する。
当時の大阪はシマノ、サンツアー、スギノなど、強豪チームの拠点が集中しており毎週水曜日に関西サイクルスポーツセンターに行けばライバルチームと鎬を削るバトルが出来たという。
市川さんはスイスでの経験を元に大阪で強化に励んだ。
スイスで市川さんの課題となったのは、意外にも下りと平坦。
スイスでは皆が登りに強い為に、登りきった直後の下り、下り切った後の平坦、さらに登りの前でペースが上がり集団を壊そうとする。
何とか登りで集団の最後尾についても、その後の下りと平坦のペースアップで振り落とされてしまう。
また単に登りが強いだけでは坂に入る前に後方に置かれてしまう為に肝心の登りで前に出れない。
「下りが終わった後の平坦の速さは半端じゃないからね。 関西CSCでのトラック練習、トラック練習前後のロード練習、城本量徳さんや八代正さんのバイクペーサー。あれで俺は強くなったよね。
トラック競技は世界のスピードをタイムで知ることが出来るから、同じスピードで走れれば日本に居ても世界に追いつくことが出来るよね。大阪での練習環境は本当に良かったよ。 翌年”一年空いちゃったからな〜”っと思ってスイスに行ったけど、大丈夫だったね。」
市川さんは回想する。
日本で走ったこのシーズンは、ほとんどのレースで逃げ切り優勝。走ればコースレコードのおまけがついた。
当時日本のロードレースは短く伊豆修善寺のCSCでの全日本実業団は60km。
世界のレースが120-160kmであった為にハンデを感じなかったのか?
「ん〜。それが逆に良かったのかもしれないね。 短期決戦だからスピードが速い分、良い強化になったよね。」
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翌1986年スイスを拠点にプロ入りを決定づけた実力の基礎は大阪で作られた。
この事実は国内でも研鑽を積めば、欧州で活躍することを前提としたトレーニングが可能なことを示しています。
当時に比べ身近になったとはいえ、まだまだ欧州を拠点に活動するのは誰にでも出来ることではありません。
1985年当時に欧州遠征を前提にした強化が出来た事実は現在国内で走る選手たちにとって希望になると思います。
日本で勝利を重ねた日々 (c)市川雅敏
セミナーまで2週間を切りました!セミナーでお会いできるのを楽しみにしています。
市川雅敏 x Peaks Coaching Group Japan セミナー
プロ入りからクラシック参戦までを追う
日時: 2018/4/14(土) 13:00~16:00
場所: TKP上野ビジネスセンター カンファレンスルーム2E
参加費: 7,500円(先着割引あり)
イベント申し込みページ:
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01cnwnzfjn0c.html
UCI2.1に格付けされる日本最大のステージレース、ツアー・オブ・ジャパン。
主催者発表で今年の観客数は351,200人。中でも東京ステージは112,000人を集めました。
最終ステージ東京で優勝争いを演じ2位に入った阿部嵩之選手(宇都宮ブリッツェン)のパワーデータを見て行きましょう!
・アベレージパワーは絶対的な評価基準ではない。
東京ステージはパレードを経て更に15km程度走行した後に大井ふ頭の7km周回を14周します。
パレード後、各チームの思惑が交錯しアタックが頻発することで激しくペースは変化しました。
阿部選手も700Wを超えるようなアタック・追走を行って対応します。
この時、31分間のアベレージ(AVG)パワーは218W。
激しいON / OFFの繰り返しの為、AVGは意外に低いです。しかし、この数値がレースのキツさをあらわしているかというと、そうではありません。
AVG218Wで巡航するのはアマチュアでも十分可能な数値ですが、実際は700Wを超えるアタック・追走を13本行っており、肉体的にはプロでもキツイ状態です。
このようにロードレースのパワーデータを評価する時、アベレージは意味がありません。
こういった状況を分析するにはNP(ノーマライズド・パワー)を使います。
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・NPとは?
NPはハンター・アレンとアンディ・コーガン博士が考案したメトリクスで「もし一定ペースでペダルを漕いだら何ワットになるかの想定値」です。
例えば東京ステージ前半のアベレージは218Wですが、NPは246W。
これは「もし一定ペースで走っていたら246Wの負荷で走るのと同じぐらいの負荷がかかっていた」と言えます。
このようにNPはAVGパワーよりも体にかかった負荷を現実的な数値で表すことが出来ます。
ロードレースではパワーのON / OFFが肉体的な負担となるのでアベレージだけでは不十分です。
一方、ヒルクライムや短時間の走行で概ね一定の負荷がかかった場合はアベレージパワーで頑張りを評価出来ます。
ちなみにNPは短い時間(20分以下)では実際よりも数値が高く出過ぎるので注意が必要です。
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・NPで見るレースデータ
前半のアタック合戦に阿部選手自身加わりながらも決定的な動きには至らず、勝機を伺う走りが続きます。
その後、13名の逃げが決まり最終的には11名に。
ウイニングブレークとなった逃げのNPは276W。「もし一定ペースで走ったら276Wで巡航する強度の走りだった」と言えます。
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・VI
NPを更に深く理解するにはVI(Variability Index)を使います。
VI=NP / AVGパワー
VIが大きくなればなるほどAVGパワーに対してNPが大きいことになり、ペースの変化が大きいことを示します。
VIの目安
>1.2 変化の激しいクリテ
<1.05 トライアスロンなどの一定走
TOJ東京ステージのVI と NP
前半 1.13 246W
中盤 1.14 240W
後半 1.10 276W
ここから前半~中盤はペースの変化の激しいアタック合戦。 後半は逃げが決まりペースが速いながらも安定していたことが分かります。
実際700Wを超える加速は前半30分で14本、中盤34分で13本に対し後半は1時間で16本です。
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最終局面
レースがラスト2kmに入った時、ヨン・イラストルサ・インサウスティ(バーレーン・メリダ)が単独アタック。
阿部選手も間隙を突いて逃げ集団からアタック。イラストルサを追走します。
阿部選手の追走 |
イラストルサに追いつき勝負は2人に絞られます。
優勝以外に興味の無いイラストルサ、UCIポイント獲得も意識する阿部選手とのスプリントはイラストルサに軍配が上がりました。
優勝できなかったのは残念ですが、春先故障・ケガに悩まされシーズンインが大幅に遅れた阿部選手が着実にコンディションを上げている事は結果とパワーデータが示しています。
また国際レースで勝負する為に必要な身体能力をパワーデータは示してくれます。
パワーデータを振り返ることで、肉体にかかったコストを知り、強化のポイントを明らかにしていくことが出来ます。
阿部嵩之選手 TOJパワーデータ (メーター実測) 時間:2h 14m 47s 距離:112km 平均時速:46kph AVGパワー:239W NP:271W MAX:1,223W エネルギー:1977kJ TSS:172 |
まとめ 阿部選手の体格でTOJ東京ステージで勝負するには? ・2h NP271W程度で走る能力が必要 ・700Wを超えるアタック・追走を40本程度繰り返す能力。 ・ウイニングブレークは1h NP276W程度。 ・インサウスティを追走する時に行った加速は42.4kph → 59.4kph ・同じく追走は37秒 591W Max1,198W |
参考資料:
http://www.toj.co.jp/2017/tokyo/#result
http://www.toj.co.jp/2017/?tid=100201