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[Track] トラック界の旋風 フーブ・ワット・バイク・テストチーム

「仲間とチームを結成して世界一になる」

 

普段一緒にトレーニングやレースを走っている仲間とチームを結成しワールド・カップで優勝してしまう。

こんな夢みたいな話を実現したのがフーブ・ワット・バイク・テストチーム(HUUB WATT BIKE TEST TEAM)です。

 

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チーム創設者のダン・ビグハムはイギリス人で空力のスペシャリストです。F1のメルセデスチームで働いていた経験やキャニオン・スラムのTTを改善した実績があります。

彼はイギリスのダービー・ベロドロームで走る仲間たちと4kmチームパーシュート(TP)チームを結成。

彼らはいわばナショナルチームの選考から漏れた選手たちにも関わらず、自国イギリス・ナショナルチームを破り、更にワールドカップで優勝するという快挙を成し遂げました。

 

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この快挙は偶然に生まれたものではありません。
ダンの綿密な計画と実行力によって実現出来たものです。

 

アプローチは全てにおいての「最適化」
問題点を明確にして徹底的に最適化を図ります。

 

時速60km以上に達するTPにおいて、タイム短縮の最も大きな障壁となるのは空気抵抗。
実に走行抵抗の90%以上を占めます。

 

その為、第一に空気抵抗削減に取り組むことがタイム短縮の近道になります。

その手法はDHバーなどの機材を自身で開発したり、先頭交代の最適化を行うこと。更には自身でエアロ対策のシステム構築も行いました。

 

特に先頭交代は徹底的に考え抜かれたものです。

声をかけたチームメートと大学構内に寝泊まりし、寝食を共にしながら改善に取り組む中で各選手の脚質や性格に合わせた先頭交代の方法を考案。

たった1ヶ月で4分20秒だったタイムを4分2秒にまで短縮することに成功しました。

 

 

・先頭交代の方法
先頭交代をすると一車身(約2m)下がる形になるので、先頭交代1回につき概ね0.1秒を失います。

その為ダンはスピードを上げて先頭交代を増やすよりも、先頭交代を少なくしてタイムを稼ぐことを優先するほうがタイムが出ると考えました。

ブリスベンのワールドカップでは2走の選手がいきなり5周引いて離脱するという斬新な方法を採用。
これにより通常15回ほどある先頭交代を7回まで削減。また一番足を使う1走はスタンディングの後、4番手について9周も後ろで休めるので後半に向けて足を温存することが出来ます。これにより(0.1秒 x 7回+長く休んだ1走の頑張り)で1秒程度稼ぎ出そうというわけです。

 

・メンタル
双極性障害を持つチーム員もいることから、メンタルトレーニングの先生にも協力してもらってレースで最高のメンタルが発揮出来るように最適化しました。

彼らがブリスベンで出したタイムは3分52秒。 このタイムはリオ五輪であれば銀メダルがとれたタイムです。

 

明日は彼らのチームの機材についてご紹介します!

 

Peaks Coaching Group Japan
中田尚志

 

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[Track] トラックの修繕

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UCIトラック・ワールドカップが行われたベロドロームは走路が木製のボードトラックです。

材質は松や杉など硬い木なのですが落車でペダルやハンドルが走路にあたると表面が剥がれてしまいます。

剥がれた走路の上を走るとタイヤがパンクしたり落車時に身体を傷つけたりするので、補修を行います。

今回も残念ながらいくつかの落車事故があり、補修する場面が見られました。
走路のカント(角度)は最大44度もあるので、補修時はハシゴを渡して修理します。

こんなところで落車する選手も大変ですが、補修する方も走路から滑り落ちたりと大変です!

Peaks Coaching Group Japan
中田尚志

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100分の1秒を削るために

トラック競技の強化は自転車競技の究極の形です。

改善を図りタイムが短縮できれば正解。
タイムが縮まらなければまた別の方策を練ります。

トラック競技は、ほぼ一定条件下でトライアル&エラーを行えるのでスピードの追求が行いやすいのです。

 

22才にして7度の世界チャンピオンに輝き、個人追い抜きの世界記録保持者でもあるクロエ・ダイガード(Chloé Dygert)

左は初めて団体追い抜きでワールドカップに出た時のもの。

右は団抜きで世界チャンピオンになったときのもの。

違いは頭の位置です。
右の方がほんの少し頭を下げているのが分かると思います。

 

団体追い抜きは平均時速55.5kmの高速で争われる競技です。
この速さでは空気抵抗が走行抵抗の90%を占めると言われています。
さらに空気抵抗の70%は人の体が受けていると言われています。

ですから、ほんの少し頭のポジションを変えるだけでタイムに違いが出てくるのです。

選手・コーチたちは少しでもパワーを上げること、そしてホンの少しでも抵抗を減らすことを日々研究してタイムを削っていきます。

 

Peaks Coaching Group-Japan
中田尚志