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TTレースの走り方 Part2 レース編


昨日に引き続きTTレースの走り方 Part2です。

今日は実際のレースについてです。

(5)レーススタート
スタート台にあがったら精神を集中し深く呼吸をして落ち着きましょう。
TTで大切なのは落ち着いて全てをコントロールすること。興奮してスタート台からロケットみたいに発射してはいけません。スムーズに加速しスタートで脚を使わないようにしましょう。
脚は最高に軽く簡単に時速55kmを超えてしまうかもしれません。しかし、それを落ち着きコントロールしスタートするのが、まず最初に行う事です。
これは4kmのプロローグでも40kmのTTでも同じです。

(6)レース中
単調に見えるTTですが、やるべき事はたくさんあります。
呼吸に気をつけスムーズなペダリングを行い、前方をしっかり見て(意外にTT中の単独落車は多いです。)ペースを刻みます。抑え目にスタートしたら速すぎず遅すぎない最速ペースにスタート1~2分後で乗せます。
ちょうど新幹線が発車後しばらくして高速巡航に入るのに似ています。
リズミカルにスムーズにそして最も速いペースで巡航しましょう!
苦しくなってきたらどうするか?全ての雑念は振り払い今できることに集中します。小さなパワーで最もスピードが出る スムーズなペダリング。呼吸をスムーズに。そして決して足の力を抜かない事。

・ペースの刻み方
`1~2分後に10分以上のTTならFTPゾーン(Power Z4 91-105%, HR Z4, RPE 4-5)、短いTTならVO2max(Power Z5 106-120%)に乗せたらラスト5kmまでそのペースを刻みます。登りや下り、風向きに翻弄されることなく自分の脚に対して一定の負荷がかかるように努力しましょう。時々はギアを1枚重くして使う筋肉を変えたり血流を促す為にダンシングするのも効果があります。

・ラスト5km
ホンの少しずつペースを上げます。ゴールまでギリギリ耐えれる強度まであげましょう。

・ラスト1km
いよいよレースはあと1分と少し!あらゆる苦しみに耐え出来る限りの努力をしましょう。
最後の1kmでホンの少しペースを上げることが順位を変えることもよくあります。
フィニッシュの横断幕を越えれば全ては過去のものになります。
ですからここは苦しみに耐え、痛みに耐え、あらゆる困難に立ち向かってみましょう!

・ゴール後
ゴール後、全身が震え脚は痙攣しシフト操作さえ困難な状態になっているかもしれません。
しかし急に立ち止まってはいけません。ギアを一番軽くして少なくとも10分は軽く走りましょう。近くにローラーがあればセットして負荷を一番軽くしてさらに10分。

暑ければ氷で頭や胸を冷やしながら行います。心身ともに落ち着いたら水分を取りリカバリーフードを食べて涼しいところでリラックスしましょう。

(7)機材

早めに会場内の受付に行き、自転車を降ろしたら空気を入れ、変速を確かめます。レースは練習とは比較にならないぐらい変速機に負荷がかかります。パーフェクトなシフト性能は必ずタイムを縮めてくれます。一旦ウォームアップに入ったらすべての集中力は体に向けるべきです。自転車の調整はアップに入る前に全て完璧にしましょう。クルマのゲートを開けてアップに使うボトル・タオル・レースに使うヘルメット・サングラス・グローブ・ボトルをきちんと並べて置いておくのも良い方法です。またパワーメーターはアップ前に一度キャリブレーションしておきましょう。

また機材は「どの機材を使うか?」も大切ですが、最も大切なのは「どれだけ体にフィットしているか?」です。最速のタイムが出るように特にハンドル回り・シート周りは入念に調整しましょう。

[ライダー募集]

Power Coaching for cyclists

PCG Japanでは、ご要望にお応えしてパワートレーニングによるコーチングを希望される方を募集開始致します!


・FTP・VO2maxを引き上げたい方
・パワートレーニングに興味のある方
・来年に向けてレベルアップを考えられている方
・アンチ・エージングにパワートレーニングを活用したい方
・パワートレーニングの進め方や現在行っているトレーニングの解析を希望される方
・レースに合わせたトレーニングプラン作成を希望される方。

を中心にライダーを募集しております。

コーチング内容により価格は$99/回~$329/月まで、各種ございますのでご要望に合わせてご検討いただけたらと思います。

尚、各サービス定員に達し次第、募集を締め切らせて頂きます。
悪しからずご了承ください。

お問い合わせは担当 中田まで
takashi@peakscoachinggroup.com

http://bit.ly/1vNg8U7

Peaks Coaching Group
中田尚志

中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了


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TTレースの走り方 Part1 準備編

日本でもかなりTTの人気が高まってきました。今回はTTレース当日の準備についてご紹介しましょう。

TTは古くから「真実のレース – The Race of Truth -」と言われるように実力がハッキリと出るレースです。
ではTTに求められる”実力”とは一体なんでしょう? それは以前にもご紹介したとおり、個人TTであればFTP・VO2MAXの高さ、そしてペーシングの技術、ペダリング・ハンドリングの技術、そして何よりも高い集中力と精神力です。

レース当日まで高めてきたFTP・VO2MAXを遺憾なく発揮するための方法を順番に見ていきましょう。

(1)ペーシング
全てのTTにおいてペーシングは、最重要項目です。
TTは自身が設定したペースをどれだけ維持出来るかの戦いと言っても過言ではありません。
しかし、たとえ4㎞のプロローグでも、まるでゴールが目の前にあるかのように飛び出してはいけません。速過ぎるスタートで稼いだ数秒はゴール前の数キロで簡単にひっくり返ってしまいます。
冷静に集中し、出来るだけ足を使わず、かつスムーズに加速し巡航スピードに乗せることが大切です。

左の図はペーシングに成功したライダーのパワーグラフです。黄色がパワー、赤が心拍数、青がスピードを表しています。
スタート直後は加速の為、FTPを大きく超える強度を発揮していますが、FTPを僅かに超えているのも90秒経過頃までで、後は安定した巡航に入っています。

その後、我慢強くペースを維持し最後の10分間で、限界まで力を振り絞っているのが見て取れます(心拍・速度が上がり、パワーは激しく上下動している)。
上記のライダーのようにペーシングに成功したするとVI(variety indexノーマライズドパワーをアベレージパワーで割った数値)は、1.01~1.02程度に収まります(※)。

これが「ロケットスタート」してしまうと、後半は必ず落ちてしまいますし、逆に前半抑え過ぎると後半にいくら上げても取り返しのつかない差が生まれてしまいます。そしてペースの変動からVIは大きくなってしまいます。
TTはスタートからゴールまで自身が保てる限界のペースを探すレースと言い換えることもできます。

(※)平坦~登りのTTの場合

用語説明
・ノーマライズドパワー(Normalized Power)…ペダリングを止めずに一定ペースで走り続けたと仮定した場合の平均ワット数。これにより登り下りの多いコースでも、体にかかった負荷をワット数で表すことが出来る。たとえば下りを含むコースの場合、平均ワット数は減るがその分平坦と登りの負荷は増えるため、平均ワット数の割に体にかかる負荷は大きくなる。

・アベレージパワー(AVG)…単純な平均ワット数

・VI=NP/AVG  値が1.00に近いほど、ライダーが一定出力を発揮し続けたことを示す。
たとえば長い登りと長い下りを含むコースでは1.00よりも大きくなり、平坦コースで上手くペーシングできれば1.00に近くなる。

(2)ペダリング・ハンドリング
ペダリング・ハンドリングは上記のペーシングを支える元となるものです。
滑らかで美しいペダリングは高出力の維持を可能にします。また高いハンドリング技術は、最短ラインを最速で回るコーナーリングを可能にし、加速に使う労力を減らします。

(3)高い精神力と集中力
レースで精神力を発揮するための作業はレース前から始まっています。
・試走…前日試走が出来る場合は、レースでの走りをイメージしながら走りましょう。スピードは抑えつつもレースで行うべきペダリング、レースで取るべきラインをイメージして試走します。
ただ間違ってもレースのペースで全コースを走ってはいけません。イメージを作り、体にペースを覚えこませる程度にしておきましょう。またレース前日はTTの集中力を妨げると思われる行動はとってはいけません。外出は最小限にし大声で騒ぐようなことも慎むべきです。リラックスしながらも
常に次の日のことを考えて行動しましょう。

(4)ウォームアップ

TTにおいてはウォームアップは集中力を高める儀式でもあります。自分の中で「これをやっておけば体が動く」というアップのベースを作っておきましょう。それを元に天候・コース・体調などに合わせて調整していけば、自信を持ってスタートランプに上がれるでしょう。

尚、通常ウォームアップは本番用の機材で行い感触を確かめた方が良いのですが、レース会場が河川敷などで鋭利な石や砂利が落ちている場合、万全を期してアップは本番用のホイールではなく、練習ホイールで行ったほうが無難です。

———
ウォームアップの例
出来れば日陰など涼しいところで。

WU:5分のエンデュランス(Power Z2 56-75%, HR Z2, RPE 2-3)
10分間のランプ(徐々にペースを上げること)、エンデュランス(Power Z2 56-75%, HR Z2, RPE 2-3)からFTP(Power Z4 91-105%, HR Z4, RPE 4-5)まであげて行きましょう。1分ごとに上げて行って9~10分の間はFTPまで持って行きます。
さらに1分TTペースを維持します。

その後、5分イージーで。

次に4 x 1分の高回転走。100rpm以上で。ワットは気にしない。スムーズで軽やかに回すイメージが大切です。筋肉に充分血液が送り込まれるように意識しましょう。高回転走の間のインターバルは1分ゆっくり回します。

5分のエンデュランス(Power Z2 56-75%, HR Z2, RPE 2-3)

5分のVO2Max(Power Z5 106-120%, HR Z5, RPE 6-7)
最後に5-10分のイージー

ローラーでアップした場合は、軽く実走しバイクの調子を確かめておきましょう。暑ければ頭や胸、背中をアイシングして余分な熱を取りましょう。アイスベストを着用するのも効果的です。
———

アップを終了し、気持ちを落ち着け、タイヤに傷や異物が刺さってないかを確かめ、水分を摂ったらいよいよスタートラインに向かいましょう。

少し長くなってきましたので、続きは明日ご紹介します。

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・FTP・VO2maxを引き上げたい方
・パワートレーニングに興味のある方
・来年に向けてレベルアップを考えられている方
・アンチ・エージングにパワートレーニングを活用したい方
・パワートレーニングの進め方や現在行っているトレーニングの解析を希望される方
・レースに合わせたトレーニングプラン作成を希望される方。

を中心にライダーを募集しております。

コーチング内容により価格は$99/回~$329/月まで、各種ございますのでご要望に合わせてご検討いただけたらと思います。

尚、各サービス定員に達し次第、募集を締め切らせて頂きます。
悪しからずご了承ください。

お問い合わせは担当 中田まで
takashi@peakscoachinggroup.com

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Peaks Coaching Group
中田尚志

中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了

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さぁパワートレーニングを始めよう! Part7 実践編②

前回ご紹介したMAXパワーチャレンジを数回こなしたら、次は自分だけのパワープロファイルを作成しましょう。

パワープロファイル作ることで、自身の長所と短所を客観的に測ることが出来ます。また世界基準に対して自分がどの辺りに居るのかを知っておくのも面白いものです。

今後世界を目指そうという若者は、常に自身のパワーをモニタリングし、「1年前と比べてどのくらい世界に近づいたか?」を測っておくことは、特に有効な指標になります。

では実際の方法を例を取って説明して行きましょう。

パワープロファイルの作成方法

1.パワープロファイルをTraining Peaksよりダウンロードします。

下記のリンクを参照し、記事中段にある「Examples of Power Profiles for Common Specific Disciplines」から「All Rounder」をクリックし、MSエクセル・スプレッドシートをダウンロードしましょう。

Power profiling
http://home.trainingpeaks.com/blog/article/power-profiling

尚、競技歴が長く、走りのタイプ(スプリンター・パーシューター・TTスペシャリスト)が固まっている選手はSprinter、Pursuiter、Time Trialistのスプレッドシートをダウンロードしてパワープロファイルの傾向を確認してみて下さい。
パワープロファイル・チャート

2.パワープロファイルを作成
トレーニングの中で実測した5秒、1分、5分、FTPをそれぞれ体重で割った値を入力して行きます。これはw/kgという単位で表します。


例 男性 体重60kg
ベストスコア 5秒1,260watts、1分600watts、 5分360watts 、FTP 300watts
体重1kgあたりのワット数 5秒21.00w/kg、1分10.00w/kg、5分6.00w/kg、FTP5.00w/kg

上記の値をダウンロードしたパワープロファイルに当てはめて行きます。ピッタリの値がない場合は近似値を選びます。

3.パワープロファイルを評価する。

バランスとレベルを知ろう!

出来上がったパワープロファイルを元にパワーを評価して行きましょう。
①パワーのバランスを評価する
出来上がったパワープロファイルを見ると彼は各パワーゾーンでバランス良く出力を発揮していますが、中でも短時間の出力が得意な事が分かります。(5秒・1分のレベルが5分・FTPよりも高い。)

これはスプリント(5秒)、アネロビック(1分)が得意でVO2Max(5分)・FTP(20~)は若干ながら不得手であることを意味しています。タイプで言うとスプリンターと言えます。

②世界レベルと比べる
さらに横にある見出しを参照すると5秒・1分の出力はアメリカ国内プロに匹敵し、5分・FTPはカテゴリー1に該当していることが分かります。

4.戦術を考える
では彼がカテゴリー1および国内プロの中で闘って行くにはどうすれば良いのでしょうか?

脚質に合った戦術を

出来上がったパワープロファイルから彼の持ち味はスプリントおよびアネロビック・パワーであることが分かります。ですから、レースでは若干不得手なVO2Max・FTPをかばいながら、スプリント・アネロビックのパワーで勝負して行くことが必要になります。

例を挙げるとVO2Max・FTPの能力を要求される少人数の逃げは避け、ゴール前で勝負する展開に持ち込めば勝率が高くなります。
レース後半まで集団内に身を隠しゴール前になると一気に出てくるカヴェンディッシュやキッテルのような走りが彼の取るべき戦術です。

チーム監督からすれば「後先考えずに景気良く飛び出せ!」と言いたいところですし、彼のスプリント力を考えれば、一時集団を引き離すのは容易なことでしょう。しかし、「勝利」にこだわった時、彼が取るべき戦術は集団スプリント、もしくはゴール直前での飛び出しです。

5.強化を考える

まずはバランスを!

出来上がったパワープロファイルを活用し、今後どのような強化を行っていけばよいのでしょうか?

上記の彼のように、ある程度バランスが取れていれば、個性を損なうことなく全体的な底上げをするのが適切です。
彼がバランスよく強化をして行ければ、ゴールスプリントに強いだけでなく、集団から飛び出し、少人数のスプリントにも勝てる選手に成長出来ることでしょう!

一方もし、あなたのパワープロファイルの中に、他のレベルと比べて極端に劣っているところがあれば、まずはそこに焦点を当てて強化しバランスを取るべきです。
例:5秒・1分・5分に比べて極端にFTPが低い場合、まずはFTPを強化する。

殆どの選手の特徴として「得意分野は伸びやすく不得意分野は伸びにくい」ということが言えます。そしてセルフ・コーチングを行っている場合、どうしても得意分野に偏ったトレーニングになりがちです。
学生時代を思い出してみて下さい。不得意教科を後回しにして、得意教科の勉強を優先しがちだったのではないでしょうか?
それでは得意分野の点数は伸びますが、全体的な得点は伸びません。

同じようにトレーニングでも、自分にとって得意=気持ちよく走れる領域を優先し、苦手分野をおざなりにすると総合力は伸びません。
そればかりか将来的には、得意分野の進歩を阻害する要因にさえなります。やはりバランスが大切です。
例:スプリントが得意なのにFTPが低すぎる為に、集団でゴールまで行ってもスプリントする力が残っていない。その場合は、まずはFTPを強化することでスプリント力が活きてくる。

実際のレースでは1回の出力の他にリピータビリティ(繰り返しの能力)や レースのメンバー、距離、地形、そして何より勝つための戦略(アタックのタイミング、アシストが居るか?、・・・etc)が複雑に絡んできます。

しかし、自分のタイプ(脚質)を知っておくことは、レース戦略を立てる上で重要なポイントになります。

ではロードでお会いましょう!

Peaks Coaching Group
ハンターアレン、中田尚志(共著)

ハンター・アレン…全米自転車競技連盟Level1認証コーチ。元プロ・ロード選手。1995年よりあらゆる種目のコーチングを手掛け世界チャンピオン、全米チャンピオンを始め1,000以上の勝利に貢献している。全米自転車競技連盟パワートレーニング講座の講師。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)他、著書多数。

中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。
日本ではロード・トラック・シクロクロスの全日本選手権出場経験があり、複数のUCIレースを完走している。
現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。
2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了