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リッチモンド世界選手権データ解析 ジュニア女子

日本の梶原選手が4位に入ったのも記憶に新しいリッチモンド世界選手権女子ジュニア。

独走で優勝したクロエ・ディガート(Chloe Dygert)選手のパワーデータが公開されました。

彼女はITTでも優勝。地元アメリカに2枚のアルカンシェルをもたらしました。

クロエ・ティガート photo by Tommy Cheng

・選手データ
名前:クロエ・ディガート USA
FTP:285w(!)
体重:62-65kg
w/kg=4.5-4.4w/kg

・レース概要
距離:64.9km
タイム:1:42:16
NP 286w (一定パワーで走ったと仮定した場合のAVG)
TSS 174
エネルギー量: 1441kJ
Max :1,040w

1周ごとのNP(ノーマライズド・パワー)
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1st Lap 287w 25:21 集団
2nd Lap 281w 26:04 前半集団、後半逃げにブリッジ
3rd Lap 289w  24:43 4名での逃げ
4th Lap  294w 25:48  独走
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23番通り・ガバナー通りのパワー
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       23rd st 0.25km | ガバナー通り 1.31km
1st Lap   541w 42sec | 241w 3:29
2nd Lap   629w 36sec | 298w 2:52
3rd Lap   520w 42sec | 317w 2:56
4th Lap   556w 40sec | 296w 3:00
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(1)コースの特徴
今回のリッチモンドのコースは、1周16kmのコースの後半4kmに難しい箇所が集中するコースでした。
・舗装路の緩斜面から石畳の急斜面に変わるリビーヒル
・急勾配の石畳 23番通り
・フィニッシュに至るガバナー通り
この3つの坂とそれらを繋ぐダウンヒルがコース最大の特徴です。
 
 
(2)レース展開
ディガートは2周目から先行した3名の逃げに追いつき4名で逃げ続けました。(2周目の23番通り 629w 36sec)
そして、3周目の終わりからはTTで優勝した脚を活かして独走。(ガバナー通り317w 2:56)。
ラスト4周目の23番通りは後続に1分以上の差をつけていたにも関わらず、556w 40秒
まったく脚の疲れを見せない好走でした。
 
男子でもFTP285wあるアマチュアは少ないですが、石畳の23番通りを629wで登れるアマチュアは更に少ないでしょう。

(3)パワーから見た考察
また彼女のFTPは285wですが、レース全体のNPは286w。これは一定ペースで走ると286wで1:42:16巡航出来ることを示します。
FTP285wの選手が1時間以上285wを維持することは考えられませんから、レース当日の彼女のFTPはもっと高かった可能性が高いです。成長著しいジュニアレベルではレースで過去の自身の能力を大幅に上回るパフォーマンスを出せることがある好例でしょう。

(4)Wチャンピオンを生んだ理由
彼女はまだ18歳。自転車を始めて早いうちに頭角を表しましたが、昨年はバスケットボール中に痛めた十字靭帯の損傷の為、シーズンを棒に振ってしまいました。しかし飛びぬけて精神力が強いと言われる彼女は、地道にリハビリを続け今大会で二冠を達成しました。

彼女が通常所属するチームは、五輪2大会連続金メダルのクリスティン・アームストロングが運営に関わる Twenty16 Sho-air。
また婚約者はU23のスター選手ローガン・オーウェン。
更に監督として戦術を指示したのは、元名選手のイナ・トイテンベルグ。
これらの有能な指導者が、2個の金メダルに貢献したことは間違いありません。

またバスケットボールで鍛えたバランス能力がハンドリングスキルに活かされている可能性が十分あります。

更にアメリカでは、トップカテゴリーに所属する彼女は、年齢に関わらずエリート女子と一緒にレースを走れるのも大きいですね。
(ジュニア女子/エリート女子両方に出場可能なので、仕上がり具合や大会規模によって自由にエントリーするレースを選べます。)

ジュニアにも関わらず、来年のリオ五輪を既に視野に入れている彼女。
これから注目の選手ですね!

Training Peaks Data クリックすると開きます。

http://home.trainingpeaks.com/public/workout/L6OCCVYI3HLDK3TBEIUFUCKRTQ

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中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了




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手作りヴェロドロームで開催される州選手権 コロラドサイクリストの熱意に密着

この夏コロラド州ボルダーに取材に行ったときの模様を自転車のポータルサイト シクロワイヤード(cyclowired.jp)に記事を掲載して頂いています。

 シクロワイヤード

第1回目は「手作りヴェロドロームで開催される州選手権 コロラドサイクリストの熱意に密着」です。

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記事
手作りヴェロドロームで開催される州選手権 コロラドサイクリストの熱意に密着

中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了

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シマノ鈴鹿 チームタイムトライアルのパワーデータ

週末は日本各地で沢山のレースが開催されました。


シマノ鈴鹿のチームタイムトライアルに出た選手もいらっしゃるかと思います。TTTは自転車競技に必要なスピード・ペース配分・チームワークの要素が詰まっている種目です。

鈴鹿サーキットは、適度なアップダウンがあるためにスピードの変化があり、ペース配分・チームワークを試されます。

チームTTのパワーデータを見て行きましょう。
個人TTとチームTTの違い
コチラはツール・ド・フランスの個人TTとチームTTのデータです。
・個人TT・・・FTPの勝負
登り下りに関わらず、FTP前後にパワー(黄色)は集中しています。
個人TTではFTPの高さがタイムに大きく影響します。言い換えればどれだけ有酸素能力の上限が高いかにタイムは依存します。
・チームTT・・・AC/VO2Maxの勝負
こちらはチームTTのデータです。先頭交代により激しくパワーは上下し、FTPを大きく超えるAC(無酸素性作業域・・・121-150% of FTP)、VO2Max(106-120% of FTP)が多く出現します。 個人TTより高いスピード域で行われるチームTTは、FTPよりも高い領域での出力そして回復力が問われます。またそれらを支える高いFTPも必須です。
パワーゾーン
上記のデータをパワーゾーン毎に分けてみましょう。
・個人TT・・・運動時間の50%はFTP領域です。ここからもいかにFTPの高さが個人TTに重要かが分かります。

・チームTT・・・運動時間の38%もの時間をACで過ごしています(!)

ケイデンス
ケイデンスは一般的に個人TTの方が低くチームTTの方が高くなります。
・個人TT・・・ケイデンス100-105rpm 34.6%

・チームTT・・・ケイデンス95-100rpm 28.6%

鈴鹿チームTT
では鈴鹿を走ったアマチュア選手のデータを見て行きましょう。

レース時間・距離・コース・選手数(鈴鹿は4人)によって変動があるので、一概にTDFと比較は出来ませんが、AC領域で27.8%、ケイデンス95-100rpmで29.5%は充分な頑張りと適切なケイデンスだったと言えます。

更にラップとパワーを見て行きましょう。

公式ゴールタイムは33:42(AVG Lap 8:25)
平均ペースで回るとすると8:25のラップを刻めば良いことになります。

実際のラップと8:25秒に対する差
1st 7:52    -37sec
2nd 8:35   +10sec
3rd 8:40    +15sec
4th 8:34     +9sec

1周目はゼロ発進にも関わらずハイペースを維持し37秒を稼ぎ出していますが、2周目以降は貯金を失っているのがタイムから分かります。

ではここにパワーを追加して見てみましょう。

3周目、この選手はAVGパワーを大きく落とした割にラップは落ちていません。
これは引けなくなって後ろに回りがちだったことを表わしています。
こうなると他の3選手の負担は増えていますから、4周目にペースを維持するもしくは上げるのは難しくなります。

これらから1周目はチーム全体でもう少しペースを抑え、3周目に全員がしっかり引けるように持って行った方がタイム短縮できる可能性が増えることが分かります。

具体的には1周目は8:25を設定タイムに使い、少なくとも2周目完了地点まではNPはFTPの107%程度あたりを狙った方が良いでしょう。
3周目・4周目以降は8:25を切れるようにペースを上げて行きます。(この時はパワーメーターは気にせず、感覚に従いながら限界に挑戦した方が上手く行きます。)

このようにレース後、タイムとパワーの関係を見直すことで、次回のレース戦略を練ることは大切です。
またトレーニング時はコースを似せることでパワーゾーンの分布、ケイデンスをシュミレーションしておくことも大切です。

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中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了