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[CX] 区間タイムから見るトップ選手の戦術

シクロクロスは路面状況が刻々と変わるためにパワーに対してタイムは比例しません。
 
例えば全日本のように一周ごとに泥が深くなっていくような状況だと、かけたパワーは上がっても、ぬかるみに足を取られているためにタイムは落ちていきます。
このような場合はシンプルに区間タイムを測る方が比較がしやすいです。
 
 
動画はトップの二人
 
(1)乗車できる泥区間
 

トップの二人は乗車できる泥の区間で他の選手より2−3秒速い周回が多かったです。
 
 
(2)担ぎのキャンバー区間
 

一方で担ぎのキャンバー区間は後続の選手の方が速いことが多かったです。
 
 
ここから見えることは….
(1)乗車できる泥区間
踏んでいくことで後続とのリードを広げる。もしくは二人の勝負をしている区間
 
(2)担ぎのキャンバー区間
度胸勝負で突っ込んでミスをしてしまいレースを落とすリスクよりも、確実に走って勝負どころに備える区間
 
トップの二人は後続との差を広げるとともに二人での勝負も考えて走っています。
その為、差を広げれる区間では踏んでいく。リスクのある区間は確実にやり過ごす。と走り方をクレバーに使い分けていたことが予想されます。
特に今回の担ぎのキャンバー区間は酷くぬかるんでいて、一度足を滑らすとコース外まで滑って行くリスクがありました。
ここで引き離す or 追い抜くというのはあまり良い作戦ではありません。リスクが高すぎますし、もし抜いたとしてもついて来られる可能性が高いからです。
 
後続の選手はリスク覚悟で追いつかない限りレースで勝ちは見えないので、担ぎのキャンバー区間でも出来るだけ乗って追いかけていたとも言えます。
 
泥区間・舗装路区間・担ぎ区間などに区切って、ストップウォッチ片手に観戦するとより深くレースを楽しむことが出来るのでお勧めです。
 
Peaks Coaching Group Japan
中田尚志
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[CX] ピットスタッフの戦い

シクロクロスはロードレースと比較してチームプレーは少なくなります。
空気抵抗が占める割合が少なく、ダートでの個々の走力がモノを言うからです。
しかし完全に個人戦かというとそうではなく、チームスタッフが外から選手を支えます。
 
たった1回のミスでレースを落としかねない1時間の短期決戦では、スタッフとの”チームプレー”が欠かせません。
 
スタッフのチームプレー
・スタート直前まで選手が温かい服を着れるようにサポート
・泥で重くなったバイクをピットで交換
・周回中に代車を洗浄し次の交換に備える
 
CXレースではバイクには信じられないほど多くの泥が付着します。
時に泥は1kg以上の重量増を招き、ドライブトレインは回転のスムーズさを失います。酷い時は手でクランクを回しても回転が重くなっているのがハッキリと分かるぐらいです。
またタイヤを覆う泥はグリップを失わせます。
 
優勝を狙うチームはジェット・ウォッシャーを持っていて、あっという間にバイクから泥を落とし、ピカピカにして次の交換に備えます。
軽く汚れのないバイクを受け取れることは選手に精神的・肉体的なアドバンテージを与えてくれます。
 
Peaks Coaching Group Japan
中田尚志
 
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クロエ・ダイガードの落車から学ぶこと

コロナウイルス感染拡大の影響を受け、当初予定されていたスイスから急遽イタリアに場所を移して開催されているUCI世界選手権。
エリート女子の個人TTから大会が始まりました。
 
優勝候補は何と言ってもクロエ・ダイガード(アメリカ)。
 
(1)クロエ・ダイガード選手
まだ23歳ですが、既にトラックで7回、ロードで3回世界選手権に勝っているスーパースターです。
 
彼女は2月にベルリンで行われたトラック世界選手権で個人パーシュートとチームパーシュートの2冠に輝いて以来、アメリカ国内でトレーニングに励んできました。
トラック世界選手権でのクロエ・ダイガード
 
個人TTで五輪を3連覇したクリスティン・アームストロングやニコラ・クラマー(チームのGM)、数々の金メダリストを育てたゲーリー・サットンらが彼女のコーチです。
 
「国際大会を全く走らずに世界選に勝てるのか?」という周囲の疑問をよそに中間地点では2位に26秒もの差をつけて1位通過。クロエの連覇は間違いないと思われました。
しかしその直後、下りの高速コーナーでコントロールを失って落車、ガードレールの上を滑ってコース外に投げ出されてしまいました。
 
映像を見た誰もが最悪の状況を予想しましたが、不幸中の幸いで手術が必要ながらも左足の裂傷他の怪我で済んだようです。
 
 
(2)TTマシンは落車のダメージが大きい
TTマシンは下記の理由から落車時のダメージが大きくなりがちです。
  • DHバーを持っているとノーブレーキで落車することになり衝撃を和らげることが出来ない。
  • 上半身が固定されるために落車のダメージが大きくなりやすい。
  • ガードレールの上を滑っていくのは大怪我に繋がりやすい。
  • 下を向くことが多いので危険物の発見が遅くなりがち。
TTバイクは空気抵抗が少なく、同じワット数で走っていてもノーマルバイクより大幅に速くなります。
その為、自身の感覚よりもスピードが出ているのも落車時のダメージが大きくなる要因です。
 
(3)TTバイクでのレース / トレーニングの注意点
TTバイクでのレース / トレーニングはいつもにも増して注意深く走るのが大切です。
 
トレーニングは、脇道がなく、人やクルマが通らない道で行いましょう。
 
トレーニング時の注意点
 
  • 河川敷のサイクリングロードなどでTTバイクに乗るのはお勧めしません。人もクルマも来ない道でトレーニングしましょう。
  • 市街地の走行もお勧めしません。TTバイクのブレーキはスピードコントロールの為にあり、ストッピングパワーが低いからです。すぐに止まれません。
    出来ればクルマに積んで郊外まで行ってからTTバイクで走りましょう。
  • ホイールは空気抵抗の多いノーマルホイールを履くことをお勧めします。
  • ヘルメットは万一に備えて衝撃吸収の良いノーマルヘルメットの方が良いです。エアロヘルメットはノーマルのヘルメットよりも周囲の音が聞こえにくいのも理由です。
  • ノーマルバイクに比べてハンドルの自由度が低いため急な進路変更が難しいことを頭に入れてコースを設定しましょう。
レース時
  • ウォームアップ時の事故は案外多いです。マシンは決戦仕様でもヘルメットはノーマルヘルメットにしておいたほうが良いです。
     
絶対に控えて頂きたいのは夜間にTTバイク+エアロヘルメットでトレーニングすること。
いくら明るいライトをつけていてもTTバイク+DHバーで夜間に走るのは危険でしかありません。
 
見ていて背筋が凍るような落車でしたが、完全に治る怪我で済んで本当に良かったです。
皆様も安全には細心の注意を払ってトレーニングに励んでいただきたいと思います。
 
中田尚志
 

UPDATED: Chloé Dygert is expected to make a full recovery from her crash at ITT worlds. Dygert suffered a laceration and…

VeloNewsさんの投稿 2020年9月24日木曜日