[Track] 持ちタイム


 どんなレベルの選手にとっても「持ちタイムを上げる」というのは大切です。
それはTTやトラックに限らずロードでもMTBでもCXでさえ同じです。
 
「一人で走って速い選手は、人と走っても強い」
 
というのは古くから言われていることです。
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決められた区間を速く走れるということは、人と走った時に相対的に楽に走ることが出来、勝てる可能性は高くなります。
チームパーシュートでは特にそれが求められ、1kmとIP(男子4km, 女子3km)が速い選手はチームパーシュートを走っても速いです。
先頭交代の上手さやメンバー間の足の差を上手く調整できる能力も求められますが、まずは持ちタイムが重要です。
今回の世界選手権でアメリカチームはチームパーシュートで優勝しましたが、メンバーのクロエ・ダイガートはIPでも世界記録を出して優勝、エマ・ホワイトはトラックに転向して間もないにも関わらずIPで6位に入っています。
 
 
世界選は当然、世界最高峰を決める大会ですが、今年の場合は同時に五輪の結果を占う大会でもありました。
各国はメンバーを入れ替えながらワールドカップを戦い、一番タイムの出る布陣で世界選を走り五輪に向けた最終確認を行っていました。
このような状況を鑑みながら、チームパーシュートを見ると五輪でUSチームのライバルになりそうなチームが見えてきます。
私が東京でUSチームのライバルになりそうだと思ったチームはリオ五輪のチャンピオンで予選を0.6秒遅れの2位で上がったイギリスでも、3位のカナダでもありません。
4秒も遅れ予選7位に終わったドイツです。
 
理由はメンバーの3km IPの持ちタイムが良いからです。
WTでも活躍するリザ・ブラナウアーを筆頭にリザ・クライン、フランシスカ・ブラウザというメンバーがIPで2位、3位、4位に入って居ます。
しかもブラナウアーは2500mまでクロエに勝っていますし、クライン、ブラウザの二人はラストの1kmでクロエとの差を詰めています(写真)。
また彼女たちは予選のラスト1kmで先頭交代の失敗から崩壊するまではUSチームに0.27秒遅れの2位に居ました。
五輪までに大きくパワーアップするのはこのレベルでは難しくとも、戦術を修正することで大幅にタイムを上げてくる可能性は充分あります。
それだけに完璧な走りをしたチームよりも、ドイツのよう各自の持ちタイムが速く大幅なタイムアップの可能性を残しているチームの方が怖いと言えます。
 
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持ちタイムが速いことはそれだけレースで強い選手になれるポテンシャルが高いということです。もしトラックに入れるのであれば200m、1km、4kmは測っておく価値があります。
トラック選手でなくともトップ選手の多くはトレーニングコースの中でタイムアタックする場所を決めています。
パワートレーニングの観点から言うと 5秒、1分、5分、20分のタイムアタックが出来る場所が設定できれば完璧です。
そこでパワーと共にタイムを測っておくと(5分程度の坂のタイムもしくは5分でどこまで進めるかで測定)、自身の強化の進捗をみることが出来ます。
そのタイムをSTRAVAなどにアップロードしておいて、ライバルよりも持ちタイムが良ければレースで勝てる可能性は高くなります。
またもし自分の方が大幅に持ちタイムが良いにも関わらず、常に負けてしまう場合は戦術や足を貯める技術に問題があることが分かり、強化の方向性を考えることも出来ます。
皆様も是非一度「持ちタイム」という意識を持ってトレーニングして頂ければと思います。
写真はWCブリスベンでのTPと世界選出走前のドイツチーム
 
中田尚志