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クロエ・ダイガードの落車から学ぶこと

コロナウイルス感染拡大の影響を受け、当初予定されていたスイスから急遽イタリアに場所を移して開催されているUCI世界選手権。
エリート女子の個人TTから大会が始まりました。
 
優勝候補は何と言ってもクロエ・ダイガード(アメリカ)。
 
(1)クロエ・ダイガード選手
まだ23歳ですが、既にトラックで7回、ロードで3回世界選手権に勝っているスーパースターです。
 
彼女は2月にベルリンで行われたトラック世界選手権で個人パーシュートとチームパーシュートの2冠に輝いて以来、アメリカ国内でトレーニングに励んできました。
トラック世界選手権でのクロエ・ダイガード
 
個人TTで五輪を3連覇したクリスティン・アームストロングやニコラ・クラマー(チームのGM)、数々の金メダリストを育てたゲーリー・サットンらが彼女のコーチです。
 
「国際大会を全く走らずに世界選に勝てるのか?」という周囲の疑問をよそに中間地点では2位に26秒もの差をつけて1位通過。クロエの連覇は間違いないと思われました。
しかしその直後、下りの高速コーナーでコントロールを失って落車、ガードレールの上を滑ってコース外に投げ出されてしまいました。
 
映像を見た誰もが最悪の状況を予想しましたが、不幸中の幸いで手術が必要ながらも左足の裂傷他の怪我で済んだようです。
 
 
(2)TTマシンは落車のダメージが大きい
TTマシンは下記の理由から落車時のダメージが大きくなりがちです。
  • DHバーを持っているとノーブレーキで落車することになり衝撃を和らげることが出来ない。
  • 上半身が固定されるために落車のダメージが大きくなりやすい。
  • ガードレールの上を滑っていくのは大怪我に繋がりやすい。
  • 下を向くことが多いので危険物の発見が遅くなりがち。
TTバイクは空気抵抗が少なく、同じワット数で走っていてもノーマルバイクより大幅に速くなります。
その為、自身の感覚よりもスピードが出ているのも落車時のダメージが大きくなる要因です。
 
(3)TTバイクでのレース / トレーニングの注意点
TTバイクでのレース / トレーニングはいつもにも増して注意深く走るのが大切です。
 
トレーニングは、脇道がなく、人やクルマが通らない道で行いましょう。
 
トレーニング時の注意点
 
  • 河川敷のサイクリングロードなどでTTバイクに乗るのはお勧めしません。人もクルマも来ない道でトレーニングしましょう。
  • 市街地の走行もお勧めしません。TTバイクのブレーキはスピードコントロールの為にあり、ストッピングパワーが低いからです。すぐに止まれません。
    出来ればクルマに積んで郊外まで行ってからTTバイクで走りましょう。
  • ホイールは空気抵抗の多いノーマルホイールを履くことをお勧めします。
  • ヘルメットは万一に備えて衝撃吸収の良いノーマルヘルメットの方が良いです。エアロヘルメットはノーマルのヘルメットよりも周囲の音が聞こえにくいのも理由です。
  • ノーマルバイクに比べてハンドルの自由度が低いため急な進路変更が難しいことを頭に入れてコースを設定しましょう。
レース時
  • ウォームアップ時の事故は案外多いです。マシンは決戦仕様でもヘルメットはノーマルヘルメットにしておいたほうが良いです。
     
絶対に控えて頂きたいのは夜間にTTバイク+エアロヘルメットでトレーニングすること。
いくら明るいライトをつけていてもTTバイク+DHバーで夜間に走るのは危険でしかありません。
 
見ていて背筋が凍るような落車でしたが、完全に治る怪我で済んで本当に良かったです。
皆様も安全には細心の注意を払ってトレーニングに励んでいただきたいと思います。
 
中田尚志
 

UPDATED: Chloé Dygert is expected to make a full recovery from her crash at ITT worlds. Dygert suffered a laceration and…

VeloNewsさんの投稿 2020年9月24日木曜日

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[レース] 1992年 ジロ・デッラ・トスカーナ

昨日、市川雅敏さんのお話を書いたので今日ももう少し。
写真は1992年のジロ・デッラ・トスカーナ。市川さんは6位に入っています。
 
 
優勝 ジョルジオ・フルラン(同年ジロ区間優勝)
2位 レオナルド・シエラ(前年ジロ総合7位)
3位 ジャンニ・ファラジン(同年ジロ総合13位)
 

6位 市川雅敏

 
7位 ロベルト・コンティ(同年ジロ総合9位)

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誰でも最初は初心者

写真は自転車レースを始めたばかりのプリモシュ・ログリッチ。
 
この時、8年後に彼がツール・ド・フランスで総合優勝を争える選手になれると誰が予測したでしょう?
 

 

Don’t ever judge a cyclist by his kit.

Soigneurさんの投稿 2020年9月11日金曜日

 
もう一つの映像はエガン・ベルナルの進化の歴史です。
ジュニア時代からMTBで注目された選手ではありましたが、彼もたった6年でツールに勝てる選手になれるとは誰も思っていなかったと思います。
 
ジュニアの選手は特に選手生活をスタートした最初の3年間が後の競技生活に大きな影響を与えます。
 
アメリカの場合は、ジュニアはまずは競技人口を増やすことに重きを置いて、その中でバイク・ハンドリング、レースでのマナー、トレーニング方法の基礎を叩き込みます。
その中で、才能のある選手はU23になった時に世界を狙えるように欧州遠征に行ったり、国内で上のカテゴリーを走って上位を狙っていきます。
 
プロに入ってレーススケジュールやレース展開、レースを覚えて走れるようになるには3年程度かかることが多いですから、逆算するとジュニア時代が大変重要です。
 
この二人は規格外とも言えますが、良い強化に触れて実力を伸ばしてきたと例と言えるでしょう。
 
 

 

Peaks Coaching Group – Japan

中田尚志