[世界選の思い出] #Richmond2015 ベン・キング エリート男子
今年のヴェルタで区間2勝を遂げたベン・キング(現ディメンションデータ)は、地元バージニア州しかもリッチモンドの出身。
典型的なサイクリング・ファミリー(家族で自転車愛好家)出身で、伯父さんは未だに上のカテゴリーで走るレーサーだそう。
ベンは地元のバージニア工科大学に進学するもプロ選手の夢を優先し退学。その時、彼の母親はずいぶん心配したそうです。
順調に成長して史上最年少で全米プロ選手権で優勝しました。
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当時アメリカは世界選で優勝を狙う実力は無いと言われていました。しかし、開催国として何かをしたいのは当然。
地元バージニア出身のベンは、玉砕覚悟のアーリーバード(最初の逃げ)に乗る事を選択。
4時間以上も逃げて地元のファンに凱旋した姿を見せました。
ベン・キング 2015世界選のパワーデータ
走行時間:6h24m
TSS: 418tss
消費エネルギー: 6,402kJ
アベレージパワー: 276W
NP: 323W(もし一定のパワーで走った場合の想定値)
彼のFTPは400W。その81%で6時間以上走り続けたことになります。
TSSは418に達し、それは1hのタイムトライアルを4本するに等しい負荷を体にかけたことを意味します。
ベン・キングはこの重労働をこなし、逃げたメンバーの中で唯一の完走を遂げました。
この日優勝したピーター・サガンの脇で地元の喝采を浴びるもう一人のヒーローでした。
中田尚志
ハンター・アレンによるベン・キングのパワーデータ解析はコチラ!
http://www.hunterallenpowerblog.com/2016/01/the-world-championships-in-richmond.html
チクリッシモNo.50 2016年4月号に世界選帯同記を掲載しています。
お持ちの方はぜひご覧ください。
[世界選の思い出] #Richmond2015 イヴァン・ステヴィッチ 男子エリート
5月頃ハンターの元に一通のメールが届いた。
「セルビアチームを助けてくれないか?」
差出人は現役時代にアメリカで走り、現在はセルビアチームの監督をしているラディーシャからだった。
セルビアチームはリッチモンド世界選開催中に現地で宿泊を提供してくれる人やトレーニングコース案内、予備機材の手配をしてくれるボランティアを探していた。
PCGコーチのジェームズ・シェーファーは自身の家を宿泊先として提供し、元プロのジョン・ハンブレンはソワニャー兼メカとしてクルマの手配からトレーニングコースの設定までを請け負った。
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こうして出来た即席セルビアチームからエリートのレースに出たのはイヴァン・ステヴィッチ。
アメリカで活動したこともある彼にとってこの世界選はプロ生活の集大成。
「俺にとって6時間のレースは長過ぎる。でも出来る限りのことをやるよ」
地元バージニア出身のベン・キングと逃げるイヴァン
スタート前こう話していたイヴァンは、地元リッチモンド出身のベン・キング(現在ディメンションデータ)が逃げることを察知しマーク。見事に逃げに乗り4時間以上も逃げ続けた。
それはレース前に話していた「出来る限りのことをやる」という言葉の証明だった。
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スタート前にジェームスの家族と記念撮影
彼のアメリカ時代の知り合いは大喜び。もちろん我々即席セルビアチームは皆彼を尊敬し誇りに思った。
現在彼は引退し、地元で若手の指導をしている。
彼が育てた選手が、将来世界選手権で活躍したら嬉しいし、彼と同じファイティングスピリットを持って競技なり人生なりを過ごしていければ素晴らしいと思う。
中田尚志
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セルビアチーム帯同記はチクリッシモNo.50 2016年4月号に掲載しています。
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photo by Tommy Cheng, Takashi Nakata
[世界選の思い出] #Richmond2015 リッツィー・ダイグナン
エリート女子の集団の中で一際光を放っていたのはリッツィー・ダイグナン。
バリバリに絞れた体や余裕のありそうなフォームは際立っていて、すぐに集団の中の彼女を見つけられるほど。
この日も後半のギアのかかり方や周りに注意を払う姿を見ると「ん〜この選手が勝つかな?」と感じるほどでした。
今年は産休でレースから遠ざかっているけど、来年からは新生トレックチームでエースで走るとのこと。
女子レース界は面白い経歴の持ち主やスターも多いので、観戦していて楽しいです。
中田尚志
リッチモンド世界選手権帯同記をチクリッシモ No.50に寄稿しています。
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