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シクロクロスに向けたトレーニングについて Part2

前回はシクロクロス(CX)のパワー特性をご説明しましたが、今日はシクロクロスに合わせた実際のトレーニングをご紹介して行きましょう。

(1)シクロクロスのパワー特性
・レース中、激しいインターバルが続く→高いFTPとVO2Maxに支えられたアネロビック能力が必要。

・ON/OFFの差が激しい。→パワーの変化が大きい中でのリピータビリティ(反復能力)が要求される。


・ケイデンス特性→ロードよりもケイデンスが遅い為、トルクフルな走りが求められる。

(2)シーズンの組み立て
上記のパワー特性を念頭に置いて、本格的なシーズン開始に向けて段階的に強化をすすめて行く事が必要です。

本格的なレース開幕までに行っておくべきフィジカル強化の柱は下記の3つです。
①フレッシュな体
多くの選手は春~秋の間にロード/MTBシーズンを闘った後にCXシーズンに入ります。近年CXシーズンは長くなりレース数も増えていますから、ロード/MTBシーズンの疲労を抱えたままCXシーズンに入ってしまうとCXシーズンを闘い抜けないばかりか、翌年のロード/MTBシーズンにも影響が出てしまいます。
ロード/MTBシーズンが終わった時点で疲労を感じていたら、1~4週間エアロビック領域を中心にした軽いトレーニング期間を設け心身共にリフレッシュしてからCXのトレーニングを開始しましょう。
②エアロビックベースの強化

シクロクロスのシーズンは11月中旬~2月中旬の約3ヶ月です。
この間シクロクロスのレースに明け暮れる為には、しっかりとしたエアロビックベースを築いておくことが必要です。

③レース フォーム(コンディション)
シクロクロスでは、シーズンがロード/MTBに比較して短い為、開幕までにしっかりとコンディションを上げておかなければなりません。
シーズンが短いですから、春先のロードレースのように「1ヶ月ほどレースに出ながら調子を上げる」という手法は取れません。シーズン序盤から「レースを走れる体」に仕上げておく必要があります。

上記3項目をふまえたシーズンのプランニングがこちらです。

11月中旬にレースシーズンに入る場合の強化例
・8月 ロード/MTBシーズン終了後、1-2週間程度のリフレッシュ期間を取る。
・9月 エンデュランス(Power Z2 56-75%, HR Z2, RPE 2-3)領域から始めて、徐々にテンポ/FTP領域のトレーニングを増やす。
・10月 オフロードを含めた場所でアネロビック/VO2Maxの強化を行い仕上げて行く。
・11月 シーズンイン!!

(3)トレーニングのデザイン

レースに似せたトレーニングを!

レースが行われる路面は土・砂地・芝生・舗装路まで多岐に渡ります。さらにそれらの路面状況は天気によって大きく変化します。

ですからトレーニングでも、あらゆるオフロードの路面状況を経験しておくことが有効です。
とはいえ現実的に毎日オフロードでトレーニング出来る人は少ないでしょう。 そこでパワー特性をレースに似せてシュミレーショントレーニングを行います。

(4)実際のトレーニング
CXの為のエアロビック能力強化トレーニング

・テンポトレーニング①前半用(9-10月)

まずロード/MTB用に鍛えた足からCX用の足にトランジションするトレーニングから始めましょう。
前回ご紹介したようにCXレースの平均ケイデンスはロードより10rpmほど低い80rpm前後です。ですからトレーニングも低いケイデンスで出力を出すワークアウトが必要です。

FTPより少し低いテンポ(Power Z3 76-90%, HR Z3,RPE 3-4)領域で慣らして行きます。

・メニュー1 The Grind

WU: 10-15分 エンデュランスZ2で。
3 x 1分のファーストペダルを足を目覚めさせるために入れよう。
——–
MS1:テンポ(Power Z3 76-90%, HR Z3,RPE 3-4)
筋持久力と有酸素のフィットネスを高めるトレーニング。
今日はそれにケイデンスの要素を加えよう。これにより力強くスムーズなペダリングが出来るようになる。

45分のテンポを3つのパートに分けて異なるケイデンスで行おう。
最初の15分ケイデンス(65-75rpm)になる重めのギアで。
次の15分はケイデンス(80-95rom)になる通常のギアで。
最後の15分はケイデンス(90-105rpm)になる軽めのギアで。

出力は同じに保とう!

地形:自由
——-
CD: 10-15分イージースピニング

・CXの為のFTPトレーニング②後半用(10-11月)
シクロクロスの開幕が近づいて来たら、いよいよレースをシュミレーションするトレーニングに入ります。可能であればオフロードを含む周回コースで行いましょう。

・メニュー2 Tempo with Jumps

WU: 10-15分 エンデュランスZ2で。

3 x 1分のファーストペダルを足を目覚めさせるために入れよう。
——-
MS1: 5分110%FTP。クロスレースのスタートだと思って走ろう!スタートでホールショット(先頭)を取らないまでも、徐々にポジションを上げて行くイメージ。
3-5分リカバー リカバーはレースが近づくにつれて短くして行こう。
——–
MS2: テンポ(Power Z3 76-90%, HR Z3,RPE 3-4)60分
時間は自身のカテゴリーに合わせよう。
テンポで巡航中に5分に1回10-12秒の全力スプリントを入れよう!!
CXレースのコーナー、シケイン、ギャップ越えなどでのスプリントの連続をイメージしながら行おう!
スプリントの後はすぐにテンポにペースを戻すこと。

5分に1回で始めたスプリントの本数は、レースが近づくにつれて増やそう。
レースでは1時間のレースに60-100回のスパイク(数秒のダッシュ)がある。レースに合わせたトレーニングをしよう!

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Peaks Coaching Group
中田尚志

中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了


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シクロクロスに要求されるパワーについて Part1

パワーメーターの紹介は一旦お休みして、今日はInterbikeの期間中に開催されたクロス・ベガスの写真と共にシクロクロスに要求されるパワーについてご紹介しましょう。

シクロクロスは、急速に人気を上げている冬に行われる自転車競技です。

以前はロード/MTB選手のオフトレという位置付だったシクロクロスですが、シクロクロスを専門にする選手も世界的に増えてきています。

それに伴い近年は、シクロクロス向けのパワートレーニングの研究も盛んに行われるようになってきました。

他の自転車競技とシクロクロスを比較した時、大きな特徴して挙げられるのは「レースの間、常に繰り返されるインターバル」「不安定な路面による負荷の変化」そして「担ぎ・階段などがある特殊性」です。それらをパワーデータで説明していきましょう。

(1)シクロクロスのパワーデータ

CX Cat Pro/1/2 FTP340w

左のグラフは、カテゴリー1の選手のシクロクロスレースのデータです。

ご覧のように1時間のレース中めまぐるしくパワーは変化しています。この変化は激しい順位争い、連続するコーナー、路面の変化(舗装路から芝生、泥、細かなギャップなど)から起こっています。

こういった要因から、レース中パワーが30秒以上安定して発揮されることは無く、ON/OFFが両極端なパワー変動を繰り返しています。

スタート直後の位置取り争いによって900wを超えるスプリント、FTPの120%を超える30秒以内のON、その直後には0wattまで下がるOFFがゴールまで延々と繰り返されるデータは、まさにシクロクロスレースを表しています!

(2)パワー分布

上記のレースデータをパワーゾーンに分けてみましょう。
最初に目を引くのは一番左の0-20wattsが15分(23.7%)ある事です。この時間はシケイン・階段・下り、そしてコーナーで一瞬足を止めている時間などの合計です。
シクロクロスの場合、ペダリングしていないと言っても、決して楽に休んでいるわけではありません。

上のデータをパワーゾーンごとに分けたのがこちらです。
右から
・AC(>120%FTP)  17.4分(27.6%)
・VO2Max(106-120%FTP) 6.8分(10.9%)
・FTP(91-105%FTP) 5.3分(8.4%)
・テンポ(76-90%FTP) 5.2.分(8.2%) 
・エンデュランス(56-75%FTP) 4.1分(6.6%)
・リカバリー(<55%FTP) 24.2分(38.4%)です。

この図からシクロクロスがいかにON/OFFの差が激しい両極端のパワーゾーンで行われているか分かります。

(3)シクロクロスのケイデンス

左の図はケイデンスの分布です。

ここでも最初に目につくのは一番左のバー(0-5rpm)です。
時間にして15分(23.7%)、図1.のパワーデータと同じく、ここでもレース中15分間ペダリングしていない(シケイン・階段・下りなど)事が見て取れます。

またレース中のケイデンスで一番多い領域は80-90rpmで10.4分(16.6%)に上っています。この回転数は同じ時間で行われるクリテの平均ケイデンス90-100rpmに対して10rpmほど低い=トルク重視であることを示しています。

(4)シクロクロスのペダリングトルク

4分割分析

こちらはレース中のペダリングトルクを分析したグラフです。このグラフはパワーの成り立ちを表します。
例えば400wのパワーが発揮された場合、ケイデンスが早い状態で400wが発揮されたのか?ケイデンスは遅いけれどもトルクが高い状態で400wが発揮されたのか?を知ることが出来ます。

左の図ではレース全体を黄色と赤のドットで表してあります。赤色はレース全体の中でFTPを超えた時のデータです。4分割されたグラフの中で赤色のドットは左上の部分に集中しているのが分かります。これはシクロクロスのレースで高いパワーを発揮するとき、トルクが高く、ケイデンスが遅い状態が多いことを示しています。

(5)データからわかるシクロクロスのパワー特性
・レースの間中、激しいインターバルが続く→高いFTPとVO2Maxに支えられたアネロビック能力が必要。

・ON/OFFの差が激しい。→パワーの変化が大きい中でのリピータビリティ(反復能力)が要求される。

・ケイデンス特性→ロードよりもケイデンスが遅い為、トルクフルな走りが求められる。

・レースの1/4(15分)は、ペダリングしていない時間=シケイン・階段・下り、そしてコーナーで一瞬足を止めている時間などに費やされている為、それらをこなす高度なテクニックが必要。

これらを念頭に置いてトレーニングをすすめる事が必要になってきます。
次回は実際のトレーニングのメニューについてご紹介していきましょう。

[ウェビナー開催]

「さぁ、パワートレーニングを始めよう!」

Peaks Coaching Group Japanでは10/11(土)日本時間PM9:00からウェビナーを開催します。

第一回目は「さぁ、パワートレーニングを始めよう!」と題して、パワートレーニングの理論と実践方法についてのセミナーを行います。

2014シーズンも終了に近づき、「今年の冬はパワートレーニングを始めよう!」
「パワーメーターで行う強化について調べてみよう。」と考えておられる方も多いかと思います。

ご自宅でも出先でもインターネット環境があれば、どこでも受講可能ですので、是非ふるってご参加ください。

・日時  2014年10月11日 日本時間 PM9:00~10:00
・受講料 $16.46≒JPY1,800

Peaks Coaching Group
中田尚志

中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了


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Interbike 2014 パワーメーター情報② BRIM BROTHERS

② BRIM BROTHERS ZONE D・P・M・X

アイルランド・ダブリンに拠点を置く企業BRIM BROTHERS(ブリムブラザーズ)の製品ZONE D・P・M・Xです。

開発開始から5年、発表から4年を費やし、遂に今年プレオーダーを開始した新規参入メーカーです。
ある日のバイクライド中の会話をキッカケに「パワーメーターを作ろう!」と決心してから、自身の私財を投入し、開発に5年の歳月を費やし、「遂にココまで来た。」としみじみ語る創業者のバリー・レッドモンド氏は感慨深げな表情を浮かべていました。

このメーター最大の特徴は「ウエラブル(身に着けれる)」ということ。シューズのクリートにパワーメーターを仕込んであります。

このシステムのメリットは、スピードプレーのペダルがついていれば、ロードバイク・ローラー用バイク・TTバイク…。バイクを何台持っていても1台のパワーメーターで対応できる事です。
また常に同じパワーメーターを使用することで、同じ精度でパワーを測定出来る点もメリットと言えます。

加えてクランクを介さずパワーを測定しているお蔭で、左クランク・右クランクの硬さ=ひずみ量を考慮する必要がない為、より均等に左右のパワーを測れるのも長所と言えるでしょう。

現在プレオーダーを受け付けているとの事。
インターネットでのプレオーダーも出来るようなので、興味のある方は問い合わせてみられてはいかがでしょうか?

市場価格は$999≒JPY106,972の予定

メーカー公称スペック
・精度 ±2%
・動作温度 -9.4~60℃
・バッテリー寿命 15時間(充電式) 
・防水・防塵レベル IP67
・重量 片側35g
・通信 ANT+

BRIM BROTHERS
http://www.brimbrothers.com/

BRIM BROTHERS Pre order
http://www.brimbrothers.com/preorder/

※写真はクリックすると拡大します。

[ライダー募集]

Power Coaching for cyclists

PCG Japanでは、ご要望にお応えしてパワートレーニングによるコーチングを希望される方を募集開始致します!


・FTP・VO2maxを引き上げたい方
・パワートレーニングに興味のある方
・来年に向けてレベルアップを考えられている方
・アンチ・エージングにパワートレーニングを活用したい方
・パワートレーニングの進め方や現在行っているトレーニングの解析を希望される方
・レースに合わせたトレーニングプラン作成を希望される方。

を中心にライダーを募集しております。

コーチング内容により価格は$99/回~$329/月まで、各種ございますのでご要望に合わせてご検討いただけたらと思います。

尚、各サービス定員に達し次第、募集を締め切らせて頂きます。
悪しからずご了承ください。

お問い合わせは担当 中田まで
takashi@peakscoachinggroup.com

http://bit.ly/1vNg8U7

Peaks Coaching Group
中田尚志

中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了