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年齢を重ねても強くなる方法 ~マスターズ・レーサーの強化 Part1~


「もう歳だからね」と言いつつも心の中では「来年こそは好成績を!」と思っているマスターズの選手は多いのではないでしょうか?

実際、コーチングやコンサルティングをする中で、「いくつまで強くなれるんですか?」という質問は上位を占めます。

パフォーマンス

またアメリカでは、40才を超えてもカテゴリー1で走っているどころか優勝に絡む選手が沢山居ることを話すと驚かれることがあります。

そこで今日はマスターズの強化方法をご紹介しましょう。

(1)パフォーマンスは何で決まるのか?
右の図はパフォーマンスを決める要素を図示したものです。
円が大きいほどパフォーマンスは高くなります。

マスターズに限らず選手のパフォーマンスを決める源はモチベーションです。

モチベーションをベースに 1.パワー 2.バイクスキル 3.メンタルストレングスがパフォーマンスを決定し、それぞれの頂点が高いほど円は大きくなりパフォーマンスは上がります。

またモチベーションが大きいほど三角形の各辺は大きくなり、大きな円が描ける可能性が高まります。

ここから、大きなモチベーションを持ち、パワー、バイクスキル、メンタルストレングスを鍛えて行けば加齢に関わらずパフォーマンスを上げていけることが分かります。

パフォーマンスを上げるために
モチベーション…
人は年を取るほど思慮深くなり常識にとらわれがちになります。しかし、常識と言う物は個人によっても国によっても違います。
スポーツの世界においては、「もう歳だから遅くなるのが当然」と世間の常識(とされている)で考えることは、”歳をとっても勝てる選手”になることを妨げます。

2014年 クロスベガス 38才のスヴェン・ネイスと
41才でキャリア最大の勝利を上げたメレディス・ミラー

40才を超えてもカテゴリー1で勝ちを狙うような選手は、「今年出来たことは来年も出来るのは当然」と考えていますし、「今年経験を積んだ分、来年はもっと上手くやれる」と考えています。

またアメリカではアンチエイジングに成功することを賞賛する文化があるので、”歳を取らない事は良いことだ。”とする常識があります。

“年寄りの冷や水”なんていう日本の常識は、スポーツをするなら捨てるべきです。

1.パワー…各パワーゾーンに分けて、自身の進捗状況をチェックし、強化すべき能力にフォーカスすることが大切です。詳しくは次回以降のブログでご説明します。

2.バイクスキル…明らかに脚力が劣ると思われるマスターズの選手が、勢いのある若手に勝つことは自転車レースではよく起こります。彼らは優れたハンドリングスキル、ペダリングスキル、追走技術、そして戦術により無駄なエネルギーをセーブし勝利に結びつけるスキルが高いのです。

3.メンタルストレングス…レースに勝つには強い心が必要です。一旦レースが始まれば、「若い選手より経験のある自分が勝つ」と思える強い心を持っていることが必要です。
加齢により白髪は増えシワが増えます。何かと老化を感じる事も増えるでしょう。しかし白髪の本数でレースは決まるわけではないですから、それらを気にしない強い心を持つことは大切なファクターです。

次回は加齢により起こる変化とその対処法について書いてみたいと思います。

Peaks Coaching Group パワーセミナー開催決定!

12/13パワーセミナー開催

「実践!パワートレーニング ~プロのコーチングの実際とアマチュアへの活用法~」


・日時: 2015.12.13(日) 
 午前の部 9:45~12:45,             
 午後の部 13:30~16:30           
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・場所:   CROSSCOOP新宿 セミナールーム
・時間:   3時間                  
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・申込: 下記じてトレサイトよりお申し込みください。
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中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了




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レーサーがシーズン終盤にやっておくべきこと

シーズンも最終盤に来て、既に来季のトレーニング計画を練り始めている方も多いのではないでしょうか?

この時期にお勧めしたいのは、昨年と今年のパワーデータを比較し「昨年に比べて今年はどれぐらい進歩したか?」を数値化しておくことです。

こうすることで「全体的に強くなった。弱くなった」と漠然と捉えるよりも明確に数字で課題を浮き上がらせることが出来ます。

(1)ケース・スタディ
京都市にお住いのTさんは、45才。学生時代に競技に取り組んだ後、30代後半になってレース活動を再開したカムバック・サイクリストです。最近多いタイプの選手ですね。

カムバック直後、70kgあった体重は主にMTBマラソンなどに出場しているうちに60kgにまで減り、地元のカテゴリー1のクリテリウムでは2位に入れるまでに脚力は戻りました。

そんな彼が来年更に能力を伸ばすために必要な条件をパワーデータから見て行きましょう。

彼のパワーを昨年と今年で比較したところ、赤色のアネロビックキャパシティ(121-151% of FTP), オレンジ色のVO2Max(106-120% of FTP)は顕著な伸びを見せています。

一方で茶色のスプリントについては昨年よりも劣っていて、黄色のFTPに関しては現状維持だったことが分かります。
ここから、この冬彼が取り組むべきトレーニングはスプリントとFTPであることが見えてきます。

————
(2)冬の課題と強化方法
・スプリント・・・筋力強化
・FTP・・・SST&FTPワーク

スプリント・・・彼の場合、学生時代にロードからトラックまでこなしていたため、ペダリング技術はかなり高いレベルにあります。
ですからスプリント力の低下に関してはテクニックよりも、加齢による筋量&筋力低下によるものが大きいと思われます。

その為、筋力強化を行えば昨年を上回る可能性があります。
また今まで特にストレングストレーニングや重いギアでのトレーニングに注力していたわけではないので、これらを行えば大幅に過去を上回る能力が獲得できる可能性もあります。

FTP・・・彼の場合、週末のロングライドによって持久力は高い為、エンデュランス(56-75%)能力は既に高いレベルにあります。

その為、FTPを増やすにはSSTやテンポ(76-90%)、さらにはFTP(91-105%)のトレーニングを冬の間から増やす必要があります。

また筋力低下がFTPの向上を妨げている可能性がある為、
1.SSTやFTPのトレーニング時に一枚ギアをかける。
2.SSTのトレーニングにスプリントを挟むなどの方法がFTP向上に効果的だと思われます。

———–

(3)強化をしていくために

一定レベル以上のマスターズレーサーにとって「乗り倒して強くなる」時期は過ぎている為、いかに弱点やレースで必要とされる能力にフォーカスしてトレーニングするかが成功のカギになります。

上記のように各パワーゾーンの変遷を確認することで、冬のトレーニングでフォーカスすべき課題がクリアになります。

そうすれば来年は今年以上のパフォーマンスを獲得することが出来、年齢を重ねても向上していくことが可能になります。

マスターズの年齢になり多くのレース経験・トレーニング経験がある上にパワーを向上させることが出来れば、若い時よりもパフォーマンスを向上させることが出来ます。
そうすれば加齢は減退ではなく向上の要因と捉えることが出来ます。

皆様も一年の総決算をこの時期しておかれることをお勧めします。

Peaks Coaching Group パワーセミナー開催決定!
「実践!パワートレーニング ~プロのコーチングの実際とアマチュアへの活用法~」


・日時: 2015.12.12(土) 
 午前の部 9:45~12:45,             
 午後の部 13:30~16:30           
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パワートレーニング・コーチから見たコロラド自転車事情vol.2

シクロワイヤード様に記事を掲載させて頂きました。
コロラド自転車事情の第二弾は、トレーニングピークスでの講義とエンデュランス コーチング サミットの模様です。

「心理学やビッグデータまで 多彩なコーチングを学ぶトレーニングピークスセミナー」

記事を気に入って頂けたら、ツイート & [いいね!]をよろしくお願いします。

記事

パワートレーニング・コーチから見たコロラド自転車事情vol..2
心理学やビッグデータまで 多彩なコーチングを学ぶトレーニングピークスセミナー

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パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
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