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小橋勇利コーチのクライアント優勝!

小橋コーチの指導する高山選手が北海道で行われた道新杯 S-3クラスで優勝!

作戦通りにレースを進め、後続に1秒差をつけて優勝されました。

久々の勝利で嬉しさもひとしおでした。

小橋コーチによるコーチングのレポートです。

1.高山選手の近況

2024年シーズン初めにお仕事の事情や、体調不良などもありうまく練習できない日々が続き1〜2月でかなり調子を落としてしまった。
直近の練習では少しずつ上がってきているものの、まだまだ昨年のベストコンディションにはほど遠いため、S-3(中級クラス)には高山選手よりも格上の選手が多いようであった。

2.レース戦略

事前のミーティングでは数名の選手の名前が上がった。レースも短く、コースはハイスピードでコース幅が目まぐるしく変動するため、一度マークしている選手数名にまとまって抜け出せれてしまうと後半にプロトンが追い上げるシナリオは描きにくく、マークする選手を絞って、その対象の抜け出しを絶対に外さない(見落とさない)必要があった。

 

レースに絶対はないが、事前に予想される展開としてはマークする選手を筆頭にアタックが散発的に起こり一度は抜け出すが集団も元気なままのため逃げが出来てはすぐにくっ付いてのシャッフルが絶え間なく起こる展開だった。
話し合いの結果、作戦としては、常に先頭でレースを見ながら後半のスプリントに備える。(高山選手はスプリントのデータが優れているため、スプリンタータイプと判断している)マークしている選手の抜け出しには脚を使ってでも乗るが 前に乗って後ろに引っ張る展開にする 
最終LAPに入る前に前列への位置取りを行うというものだった。

 

3.風を読む

風向きは事前のミーティングではホームストレートが追い風の予想であったが、当日もおおよそ同じ風向きになった。

 

4.小橋コーチによるレースデータ解析

レーススタート後は予想していた展開に近いような展開になり、一時集団の先頭から6〜8名程度で抜け出し(割れた)場面も高山選手は前に残っていた。

図1

データを見るとdFRC(※)を減らしながらもうまく後半にマネジメント出来ていること、FTPを越えている場面が多く決して高山選手が余裕で集団に残っているわけではないことが窺い知れる。他のライバルよりもFTPが低い選手はより精度の高い動きが求められるため、今回のレースは非常に巧みな走りでスプリントへ持ち込んだことが分かる。ファイナルラップの図1では他の選手のアタックのタイミングに合わせてうまく抜け出している。これは適切な位置取りがあったからこそである。
ここは上りから下りに入り、その後タイトコーナーがあるため、一度差が開くと集団は追いにくいポイントであった。

タイトコーナーを抜けると集団が2名から完全に離れていることを確認。

図2

図2では2名でのマッチスプリントになりそうであったが、事前のミーティング通り追い風のため少し早い地点からのスプリント開始。
これが功を奏し、この2名での抜け出しのうち高山選手のみが集団から逃げ切る形でゴールしたようであった。

※dFRC(ダイナミック・ファンクショナル・リザーブ・キャパシティの略)

FTPを超えて使えるエネルギー量(単位kJ)を表したもの。簡単に言うと脚の残り具合を表す。理論上0kJになるとオールアウトしていることを表す。

 

5.高山選手のこれから

目指している目標に到達するには引き続きコンディションとフィットネスレベルは引き上げていく必要はあるが、今回は瞬間的に自身の勝率を高める最善な判断出来たのは大きな成果と自信に繋がったのではないかと思う。
高山選手のこれからの成長も非常に楽しみになる素晴らしい1戦であった!

 

6.小橋コーチについて

小橋コーチはジュニア時代から活躍し、ロード・MTB・シクロクロスを問わず数々の勝利を手にしてきました。

その活躍は国内にとどまらず、アジア、欧州へと繋がって行きました。その中で得た経験を活かし全てのカテゴリーの選手のコーチングが可能です。特にジュニア育成は大成功を収め、昨年は殆どの全国大会を小橋コーチが指導する選手が制覇しました。

現在は、北海道を中心にパワートレーニングのコーチとして、ライドのオーガナイザーとして、そしてチームオーナーとしてマルチに自転車の普及に尽力しています。

 

 

https://x.com/YURI_Kobashi

 

 

 

 

https://espoir-pjt.com/https://www.yurifit.net/

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ステージズ・パワーの没落

 
先日、ステージズ・パワーの事業廃止のニュースが駆け巡りました。
上手く行っている印象があったので衝撃的でした。
更にジャイアントに21億円を超える未払いがあること。複数のステージズの元役員が既にジャイアントに入社している事実を伝えるニュースもあり、衝撃度は増しました。
 
2013年初めてステージズに行ったときは15名ほどで創業していて、いかにもスタートアップ企業といった感じでした。当初はシュインが出資していたか、人員を出しているかだったと思います。(社長のダグがシュイン出身だっただけかも)。
 
その1年後に訪ねたときは驚くほど会社は大きくなっていました。
さらに2年ほどすると隣の敷地に社屋を移し、さらに大きな企業へと成長していました。
 
パワーメーターに夢を感じて渡米した私としては、とても勇気づけられた事を記憶しています。
 
ステージズ訪問時の過去記事はコチラ
 
 
中田尚志
 
参考
https://www.cyclingnews.com/news/stages-cycling-ceases-operations-and-lays-off-entire-staff-report-suggests/
 
https://www.bicycleretailer.com/industry-news/2024/04/24/stages-cycling-executives-join-giant-after-suit-and-apparent-shut-down
 
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ジョー・ドンブロスキーの話

コロラド州ボルダーで出会ったドンブロスキー(左)、右はハンターがコーチしていたイアン・ボズウェル

ジョー・ドンブロスキーはバージニア州の出身。

丁度私がバージニアに住んでいる頃にプロになった。本人とは1回しか会ったことはないけど、友人のジェレマイア・ビショップがコーチをしていたこともあり近い存在だった。

ドンブロスキーとボズウェルのバイク。

 

ジョーはアマチュアのジロでアメリカ人として初めて総合優勝。

最近は珍しい生粋のクライマーながら総合優勝を狙える選手として、当時は大きな期待が寄せられていた。

チームskyから新人としては例外的な3年契約のオファーを得てプロ入り。一年目からツール・ド・スイスであわやステージ優勝のところまで行き、彼の未来は明るく見えた。

しかし、プロ2年目に足の血行障害(イリアック・アテリー)を発症。

片方の足に力が入らなくなる状態に陥り手術。

その後はEF、UAE、アスタナに所属し、米国内のレースではエース、それ以外は山岳で総合を狙う選手の重要なアシスト要員としてグランツールに出場していた。

チームskyの合宿に招かれジェレマイアとハンターはスペインのマヨルカ島でコーチングの引き継ぎを行った。

 

突如潮目が変わったのは昨年。

アスタナはカベンディッシュのツール最多勝を目指すチーム編成に方針転換。 

平坦一本で勝利を狙うチームに山岳アシストの居場所は無くなった。

チーム方針が変化すると突如高給取りの選手は居場所が無くなる。

いくら強い選手とは言え、カベンディッシュのゴールスプリントをお膳立てをする選手に鞍替え出来るわけもない。

 

今季はチームが決まらないまま渡欧。

トレーニングを続けながら就職活動を行うもチームは見つからず引退となった。

どれだけ強くともチームが見つかるわけではない。プロサイクリングの厳しさを再認識した出来事だった。

Peaks Coaching Group – Japan

中田尚志

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