に投稿 コメントを残す

成功するための2つのフォーカス クリス・ホーナー

(C)Graham Watson

新年あけましておめでとうございます。

今年の活躍を誓って新年の誓いを立てた方も多いかと思います。新年の誓いを現実のものにするアドバイスとして、今日は2つの集中力についてご紹介したいと思います。

クリス・ホーナー2つのフォーカス(集中力)

1.短期的なフォーカス

その日のトレーニングプラン遂行において発揮される能力です。100%の集中力で各ワークアウトをこなすことがこれに当たります。

ライン取り・ペーシング・パワー・心拍・呼吸・ペダリングなど走行中に注意を払うべきことは沢山あります。これらに気を配り、完璧に各ワークアウトを遂行し怪我なく帰宅するには100%の集中力が必要です。

 

2.長期的なフォーカス

トレーニング以外で発揮される集中力です。長期的なフォーカスが保てる選手は、日常生活でも自身が自転車選手であることを忘れない選手と言い換えることが出来るかもしれません。

下記に挙げるようなことを日々欠かさず行える選手のことを言います。

・長期的なトレーニングプラン(1日、1週間、1ヶ月…)の全体像を見てワークアウトを遂行できる。

・ライド前に体調とその日のライド内容に合わせてストレッチ・フォームローラー・アクティベーションを行う。

・トレーニング後、リカバリーのための栄養補給を行う。

・ストレッチ・フォームローラー・アイシングを行って体をケアする。

・翌日以降のトレーニングプランを確認して必要な準備を行う。 

・必要であればパワーメーター、Di2、LEDフラッシャーの充電をしておく。

・年間レーススケジュールと現在のトレーニングの流れを確認して、予定通りに脚づくりが進んでいるか確認する。

・夕食後は明日のトレーニングに備えて早めに就寝する。

長期的なフォーカスは自転車を降りているときに行うことが多く、1.短期的なフォーカスを最大限発揮するための事前準備とも言えます。

 

ホーナーは多くの選手は1.短期的なフォーカスは得意であり、2.長期的なフォーカスを保てる選手は少ないと言います。

私もコーチとして選手を見ていてそう感じます。1.短期的な集中は一旦自転車に乗れば引き出すことが出来ますが、2.は自転車を降りた状態でも要求されるからです。

トレーニング後の疲労。レースでの成功。家族や仕事。これらが長期的なフォーカスを保つのを難しくします。2.の長期的なフォーカスが保てる選手は、一見不測の事態と思われる事故やトラブルに巻き込まれることが少なく、日々のワークアウトの成功確率も高いと感じます。

 

2013年ブエルタ・ア・エスパーニャで総合優勝者となったホーナーは、最終日の夜、マドリッドで勝利を祝うパーティでさえワインを一口飲むにとどめたと言います。

2週間後に彼が得意とするコースでの世界選手権が控えていたからです。

「プロの世界では一度の成功でフォーカスを失い、二度と勝てなくなる選手も居る。フォーカスを失わず、プロとしてあるべき態度を続ける。これが重要だ」

 

2つの集中力いかがだったでしょうか? 皆様にとって今年一年が良い年になるように願っています。

ー ー ー

上の写真のグラフはホーナーのアングリルでのSRMパワーデータ。 40分390W!!(体重62kg) 最終日前日に記録したものです。この日の集中力、この日のために備えた集中力は常人離れしていることは想像に難くありません。

 

Peaks Coaching Group

中田尚志


ただいまPEAKS COACHING GROUPでは
PCGオンラインコーチングの受講生(受講選手)を募集しております!

PCGオンラインコーチングを活用いただくことで、あなたが目標とする物への最短距離が実現できる!

PCGコーチ陣があなたを全力サポートさせていただきます!

に投稿 コメントを残す

幼少期の思い出と超級山岳

ジロ・デ・イタリアの山岳ステージを走り終えた市川さん

 

クライマーとして活躍した市川雅敏さんだが、現役時代は今ひとつ超級山岳向けのトレーニングを前向きに行えなかったという。

その理由は「苦しい思い出しか残っていないから」。

超級山岳でレースが行われるのは、限られたビッグレースのみ。
これらのレースはグランツールで活躍する選手が仕上げてきており、例外なく速い。
 
「先頭集団の最後の15人に残れるようなっていた自分でもいつも苦しいものだった」
 
ツール・ド・フランスで6度の山岳賞に輝くルシアン・バン・インプと話したときのこと。
「初めてのアルプスは家族でバカンスに訪れた時だった。 自分がこんなにも大きな峠を登れるようになったのだと、感激したよ。」
とバン・インプは話していたという。
 
市川さんにとっては苦しい思い出しか無いアルプスが、バン・インプにとっては楽しい思い出の場所。
 
“限界まで心身を追い込むグランツールでは、思い出が走りに違いを生むのではないか?”
 
そういった思いから、トラウマの残るレースで使われた峠を避けて別の峠でトレーニングすることもしていたという。
 
いつも「俺は登りが強かったからね」と躊躇なく話す市川さんが珍しく登りについて苦しい思い出として話されたお話。
写真は90年ジロ・デ・イタリア。ミラノに凱旋する市川さん。
3週間のレースを終え、体重が50kg切ってたかも?とのことだった。
90年ジロ・デ・イタリア。ミラノに凱旋する市川さん。

クライアント募集中!

ピークス・コーチング・グループでは現在パワーベースでコーチングを受けるクライアントを募集しております。

「パワーメーターを持っているけど、どうやってトレーニングすれば良いか分からない」

「FTPが頭打ちになっている。」

「レースで勝ってみたい」

など、あらゆるトレーニングの課題にお応えします。是非お問い合わせ下さい。

コーチングについて

コーチングについて

 

NAKATA

中田尚志

パワートレーニングを主とした自転車競技専門のコーチ。2014年に渡米しパワートレーニングを学ぶ。帰国後8年間で14人の全日本チャンピオンを生み出し、五輪選手のコーチを2度経験。日本とアメリカの自転車文化に詳しい。

 

 

 

に投稿 コメントを残す

リチャード・カラパスのツール・ド・フランス ステージ優勝のデータ

東京五輪チャンピオン、リチャード・カラパスのヘッドユニット動画から彼のパワーを見てみましょう。

ツール・ド・フランス 第17ステージ 優勝

 

 

 

The numbers it takes to win a stage at the Tour 🤯 A quick scroll through Richie’s Wahoo that saw him soaring towards a Stage 17 victory. 🎥: EF Pro Cycling

Posted by Velo on Wednesday, July 17, 2024

Wahooヘッドユニットに表示されたデータ

走行時間 4h6h45s

距離 176km

平均時速 43km

最高時速 94.7km

NP(ノーマライズドパワー) 323W

TSS304

IF(インテンシティファクター)0.86

エネルギー量 4020kJ

20分Max 398W

30分 360W

 

データから見えるもの

 

NP

カラパスのNPは323W。 これは、この日の彼は4時間6分にわたって、ずっと323Wをキープするのと等しい負荷を身体にかけたという意味です。

 

TSS

304TSS これは4時間6分で1hのTT3本分のストレスを身体にかけたという意味です。

 

IF

0.86 平均してFTPの86%の強度で走り続けたという意味です。プロ選手はFTPも高いですが、FTPに対して高い強度で長時間耐えれる能力もまた高いです。

別の言い方をするとテンポからSSTの強度でアマチュアよりもずっと長く走り続ける能力があると言えます。

 

エネルギー量

1Wで1秒漕ぐと1Jです。4020kJをカロリーになおすと960kcal。人間の身体は1J出すのに4J程度のエネルギーを使うと言われています。

960 x 4=3840kcal。 概ね3840kcalをこの日だけで消費したことになります。3840kcalというとビッグマック7個分、コーラ24本分のカロリーに相当します。これだけカロリーを4時間のレース中に消費したことになります。

 

カラパスのFTPは?

IFはNPをFTPで割って算出しています。ですので逆算するとヘッドユニットに設定したFTPが出てきます。 

カラパスのFTP 323W÷0.86=375W

カラパスの体重がチーム発表の62kgとするとパワーウエイトレシオは6.04kg/W。

ツール期間中はもう少し体重が下がって、もう少しパワーウエイトレシオは高いかも知れません。

 

ツール・ド・フランスは第3週。 16ステージをこなしてこのパフォーマンスは驚異的ですね。

まだまだ続くツール・ド・フランス。 最後まで選手の走りが楽しみです!

 

クライアント募集中!

ピークス・コーチング・グループでは現在パワーベースでコーチングを受けるクライアントを募集しております。

「パワーメーターを持っているけど、どうやってトレーニングすれば良いか分からない」

「FTPが頭打ちになっている。」

「レースで勝ってみたい」

など、あらゆるトレーニングの課題にお応えします。是非お問い合わせ下さい。

コーチングについて

コーチングについて

 

NAKATA

中田尚志

パワートレーニングを主とした自転車競技専門のコーチ。2014年に渡米しパワートレーニングを学ぶ。帰国後8年間で14人の全日本チャンピオンを生み出し、五輪選手のコーチを2度経験。日本とアメリカの自転車文化に詳しい。