[ サイクルスポーツ.jp ] プロとアマの違い
サイクルスポーツ7月号 皆様ご覧いただけましたでしょうか?
引き続き誌面に収めきれなかったクライマーについての情報をご紹介したいと思います。
プロとアマのクライマーはどれぐらい違うのか?
1.プロとエリートアマのスピード差
驚かれるかもしれませんが、実はワールドツアーを走るプロとトップアマであるU23の選手の峠一本のクライミング スピードは殆ど変わりません。
言い方を変えるとU23の時代にワールドツアーの選手と同じスピードで山を登れないとプロとしてやっていけないことになります。
2.プロとアマの違い
ではプロとアマの違いは何か?
それは耐疲労(Fatigue resistance)です。
前述のようにアマでも峠一本であればプロと同じぐらいの速さで登る選手は居ます。
しかし、峠をいくつも超えてから山頂ゴールを迎えるようなステージで最後までプロと同じ速さで登れる選手は殆ど居ません。
またツール・ド・フランスの第三週までそれを維持できるのもプロならではです。
更にその能力を2月のシーズンインから10月のシーズン終盤まで維持できるのもプロだけです。
要するに峠一本のスピードはプロとエリートアマに大きな差は見られないですが、その維持能力には大きな差があるわけです。
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3.どれぐらい速いのか?
グラフは2018年ツール・ド・フランスの第11ステージです。
このコース日は近年増えた比較的短い距離で行われる超級山岳ステージでした。
超級山岳2つを超えた後に2級を超え、最後は1級山岳での山頂ゴールを迎えます。
ニエべ選手はこの日ステージ優勝を狙って最初の超級から先頭集団に位置。
超級山岳1 50分 334W 5.59W/kg
超級山岳2 43分 309W 5.17W/kg
2級山岳 16分 297W 4.97W/kg
1級山岳 45分 314W 5.25W/kg
そして最後の登りのラスト7kmでアタック!
ここまでで既に獲得標高は3000mを超えているにも関わらず、独走に持ち込んだ後は22分 328W 5.48W/kgを維持しています。
最後の数百メートルで総合優勝することになるゲラント・トーマスらに抜かれ5位でフィニッシュ。
ニエベ選手の体重は59.8kg FTP373W(6.23W/kg)と考えられますから、アタック後はFTPの88%で登っていることになります。
この時のVAM(1時間に何メートル登れるか)は1,418m/h です。
第11ステージにして超級を含む峠を3つ越え、獲得標高3,000mを稼いだ後も尚このスピードで走れるプロ選手。まさに驚異的ですね!
VAMやプロのクライマーに関してはサイクルスポーツ7月号でご紹介しておりますので、まだの方は是非御覧下さい。