[レース] 2017年のベストレース



今年もたくさんのレースが開催されましたが皆様にとっての2017年のベスト・レースは何でしたか?

 

私にとってのベストレースは女子の世界選手権ロードレースです。

 

優勝したシャンタル・ブラーク(Chantal Blaak)の展開を読む力、アタックをかけるタイミングはロードレースのお手本のようでした。彼女の世界選優勝を追っていきましょう!

・展開を読む力

クラシックで優勝経験もあるブラークはエース級の力を持っていますが、世界最強チームのオランダにおいて、この日の役目はアシストでした。

ラスト23kmあたりから逃げを仕掛け、レースの活性化を計ったブラークですが、ラスト11kmのコース最大の登りで、アンナ・ヴァンデブレゲン、アミニエク・ヴァンフルイテンといった同国のエースを含む選手たちに頂上付近で吸収されます。

 

この時点で先頭集団にいる誰もが「彼女の役目は終わった。」と感じたはずです。

かろうじてトップグループで山頂を越えたブラークは先頭グループの後方で回復を待ちます。

 

オランダのエース級がアタックを繰り返し、一瞬動きが止まった瞬間にブラークはアタックをかけます。

ここでもまだ彼女の役目はアシストでレースを活性化する役目だったはずですが、他国の選手が自分をマークしていないこと、自身のアタックがエースのアシストになることを冷静に判断してのアタックだったはずです。

 

・アタックをかけた場所

彼女がアタックをかけた場所は、これ以上ないアタックポイントでした。

アシストであってもアタックはムダ撃ちせず、エースの為に100mでも多く逃げて他国のチームに追走で足を使わせるのがセオリーです。

 

シャンタル・ブラークがアタックをかけた場所

小さな丘を登った直後で勢いが落ちているところ

 他の選手との速度差が大きく差がつきやすい。

 

日陰

 他の選手に後ろからアタックに入る動きが読み取られない。

 

トンネルの手前

 トンネルでは多くの場合、動きが止まる。

また明るいところから暗いところへ入ると遠近感が狂い正確な差が掴みにくくなる。特にオランダジャージのように明るい色だと、暗いところでは実際についている差よりも近くに見えるために追走に入るのが遅れる。

 

トンネル通過後

他国の選手にとってはひと踏みで追いつける距離ではなくなっているし、エース級しか残っていないグループから自身が追うと、そのあとにヴァンデブレゲンやヴァンフルイテンのカウンターを喰らい自滅する可能性があるので、不用意に追えない。

また暗いトンネルから出ると再度遠近感が狂うために距離が測りにくい。

 

 

また他国の選手にとってブラークは、「アシストを終えた選手」という感覚がある為、追走する足が残り少なくなっている終盤で本気で追走すべき選手ではないという意識が追走を躊躇させたのもあると思います。

更には彼女はレース中盤に落車し、レーサーパンツが破れていたのも他国の選手が追走を躊躇する要因になった可能性もあります。

 

最高のタイミングを掴み世界チャンピオンに輝いたシャンタル・ブラーク。

2018年の活躍が楽しみですね。