(c)Sabumi TADOKORO
「あと1回揉め事があったら出走を止めようと思ってた」
1990年のジロを総合50位で完走した市川さんは夏のイタリアのレースでも好調をキープ。
暑さを避け北海道で調整。
(c) Tetsuo Kobayashi
「宇都宮の世界選もきっと良いんだろうなと思ってた」
この年で欧州から引き上げ引退しようという気持ちがあり、地元日本での世界選は良い区切りになるという気持ちもあった。
しかし、アジア初開催の世界選とあり運営は混迷を極めた。市川さんは何度もレセプションに呼ばれトレーニングに充てるべき時間を挨拶と通訳業務に浪費することになった。
さらには当時ウエアのスポンサーだったミズノからレースにはミズノのレーサーパンツで出て欲しいと依頼があった。プロは所属チームのレーサーパンツで走るのが通例。股擦れを防ぐために普段履き慣れたウエアで走りたい気持ちもあった。
幾度となく"レーサーパンツ会議”がひらかれ、市川さんのストレスは限界に達していた。
「誰一人自転車レースのことなんて分かってない」
そんな孤独感の中、冒頭の言葉が出てきたという。スタート地点に向かう前も"会議"は続いた。
"バカじゃねぇの"と吐き捨て市川さんはスタートに向かったという。
しかし、レースをスタートするとあまりの観客の多さに驚いたという。
「こんなに自分を応援してくれる人が日本にいたのか?」
すっかり調子の落ちた足で走ることになったが、長く活動したスイスの選手たちが「俺達が引っ張ってやるからゴールだけはしよう」と励ましてくれた。
トニー・ロミンガーには「マサ、ここでやめたら観客が暴れるから頑張れ。」と言われたという。
プロのレースでは集団から離れたら止めてしまうことが多いが、市川さんの為にロミンガーやヤールマンといった一流どころも最後まで一緒に走ってくれた。
(c)サイクルスポーツ
この世界選が契機となり現役続行を決意。市川さんは93年二度目のジロに出場することになる。
後日、市川さんに宇都宮の世界選手権について聞いてみた。
「もう一回やらないとダメだよね」
ロードにせよトラックにせよ、いつの日かもう一度世界選手権がやってくる日を私も望んでいる。
Peaks Coaching Group - Japan
中田尚志
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