年齢を重ねても強くなる方法 ~マスターズレーサーの強化 Part2~



前回は選手のパフォーマンスを決める要素から、マスターズ強化のアプローチを考えました。今回はマスターズに起こる肉体の変化と対策について考えてみます。

マスターズ40歳以上の部

何がパフォーマンスを下げるのか?

(1)筋量低下

40歳以上になると筋量は自然に毎年0.5~1.0%減ると言われています。

忙しさによってトレーニング量が減ることや睡眠不足も筋量低下を加速させます。

マスターズで強い選手は、たいていしっかりと筋肉のついた脚を持っています。

→ストレングストレーニング・ビッグギアトレーニングで筋量を維持すれば加齢による低下をカバー出来ます。

(2)ホルモン分泌量の減少
加齢により20代の時に比べて男性ホルモン・ヒト成長ホルモンの分泌量は減ります。これらの減少は回復を遅らせ新たな成長を遅くします。またストレスや睡眠不足はホルモン分泌量の減少を更に加速させます。

→ストレングストレーニング、ハイ・インテンシティ(高強度)トレーニングはホルモン分泌を促進することが分かっています。トレーニングに取り入れて行きましょう。

(3)回復力の低下
回復力が低下するのも加齢の特徴です。それだけにマスターズは早く回復できるように努めるのが大切になってきます。
忙しいとどうしても睡眠時間が短くなりがちですが、睡眠不足は回復を遅らせます。
毎日睡眠を2時間減らしたサイクリストはFTPが平均20watts減ったと言う研究もあるぐらいですから、睡眠時間を確保し質を向上させましょう。
また加齢により筋肉・関節は硬くなりますからストレッチやマッサージを行い回復の促進に努めるべきです。

→ストレッチ・マッサージなどケア。睡眠時間の確保。

(4)飲酒
マスターズは仕事上の付き合いで飲酒の機会も多いかと思いますが、過度な飲酒は成長ホルモンの分泌を止め、肝臓内のグリコーゲンを消費し、睡眠を浅くします。
ですから各ホルモンが分泌される練習直後と就寝前は特に飲酒は控えるべきです。
(もちろん禁酒が一番良いですが、自転車以外の楽しみを全て奪うのはストレスの多いマスターズにとって精神衛生上良くないと思います。)

20年以上にわたりプロのトップで
活躍したフレディ・ロドリゲス

加齢による変化は肉体的な変化もありますが、
仕事の忙しさや付き合いなど生活環境の変化から起こっていることも沢山あります。

現在持っている回復力を100%引き出す努力をすれば、少なくとも何もしないよりは早く回復出来るようになりますから、相対的に回復が早くなったことになります。

循環器系の能力はトレーニングを行っていれば、維持出来る事が分かっていますから、上記の点に気をつけてトレーニングすれば加齢によるパフォーマンスダウンは避けれるはずです。

次回はこれらをベースに行ったマスターズのパワートレーニングをご紹介したいと思います。

上げるべき要素
・モチベーション
・パワー
・バイクスキル
・メンタルストレングス

減らすべき要素
・筋量低下
・ホルモン分泌量の低下
・回復力の低下

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中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了