年齢を重ねても強くなる方法 ~マスターズ・レーサーの強化 Part1~
- 2015年10月4日
- 中田尚志ブログ
「もう歳だからね」と言いつつも心の中では「来年こそは好成績を!」と思っているマスターズの選手は多いのではないでしょうか?
実際、コーチングやコンサルティングをする中で、「いくつまで強くなれるんですか?」という質問は上位を占めます。
パフォーマンス |
またアメリカでは、40才を超えてもカテゴリー1で走っているどころか優勝に絡む選手が沢山居ることを話すと驚かれることがあります。
(1)パフォーマンスは何で決まるのか?
右の図はパフォーマンスを決める要素を図示したものです。
円が大きいほどパフォーマンスは高くなります。
マスターズに限らず選手のパフォーマンスを決める源はモチベーションです。
モチベーションをベースに 1.パワー 2.バイクスキル 3.メンタルストレングスがパフォーマンスを決定し、それぞれの頂点が高いほど円は大きくなりパフォーマンスは上がります。
またモチベーションが大きいほど三角形の各辺は大きくなり、大きな円が描ける可能性が高まります。
ここから、大きなモチベーションを持ち、パワー、バイクスキル、メンタルストレングスを鍛えて行けば加齢に関わらずパフォーマンスを上げていけることが分かります。
パフォーマンスを上げるために
モチベーション…
人は年を取るほど思慮深くなり常識にとらわれがちになります。しかし、常識と言う物は個人によっても国によっても違います。
スポーツの世界においては、「もう歳だから遅くなるのが当然」と世間の常識(とされている)で考えることは、”歳をとっても勝てる選手”になることを妨げます。
2014年 クロスベガス 38才のスヴェン・ネイスと 41才でキャリア最大の勝利を上げたメレディス・ミラー |
40才を超えてもカテゴリー1で勝ちを狙うような選手は、「今年出来たことは来年も出来るのは当然」と考えていますし、「今年経験を積んだ分、来年はもっと上手くやれる」と考えています。
またアメリカではアンチエイジングに成功することを賞賛する文化があるので、”歳を取らない事は良いことだ。”とする常識があります。
“年寄りの冷や水”なんていう日本の常識は、スポーツをするなら捨てるべきです。
1.パワー…各パワーゾーンに分けて、自身の進捗状況をチェックし、強化すべき能力にフォーカスすることが大切です。詳しくは次回以降のブログでご説明します。
2.バイクスキル…明らかに脚力が劣ると思われるマスターズの選手が、勢いのある若手に勝つことは自転車レースではよく起こります。彼らは優れたハンドリングスキル、ペダリングスキル、追走技術、そして戦術により無駄なエネルギーをセーブし勝利に結びつけるスキルが高いのです。
3.メンタルストレングス…レースに勝つには強い心が必要です。一旦レースが始まれば、「若い選手より経験のある自分が勝つ」と思える強い心を持っていることが必要です。
加齢により白髪は増えシワが増えます。何かと老化を感じる事も増えるでしょう。しかし白髪の本数でレースは決まるわけではないですから、それらを気にしない強い心を持つことは大切なファクターです。
次回は加齢により起こる変化とその対処法について書いてみたいと思います。
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中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了