どうすればバイクは速く進むのか? Part1 理論編
- 2015年06月1日
- 中田尚志ブログ
「バイクを速く走らせたい」「もっと楽にバイクを進ませたい」と思うのは自転車に乗っている方なら誰しも同じなのではないでしょうか?
雑誌やインターネットには速くなれそうな情報が溢れていて、何から手をつければ良いか分からない方もいらっしゃるかと思います。
そこで、今日は「バイクを速く走らせるために必要な条件」について考えてみたいと思います。
バイクのスピードを決めるファクターは、大きく分けるとたったの二つです。
ひとつはバイクを前に進ませる力、もうひとつはバイクを止める力です。
バイクを前に進ませる力の総称をエフェクティブ フォースと呼び、バイクを止める力の総称をネガティブ フォースと呼びます。
バイクのスピードは、このエフェクティブフォースとネガティブフォースの差で決まると言えます。
”Effective Force - Negative Force = バイクのスピード”
ここからエフェクティブ フォースを増やし、ネガティブ フォースを減らすことがスピードアップに繋がることが分かります。
Effective Force(エフェクティブ フォース)・・・バイクを前に進ませる力
私たちがバイクに跨ってペダルを漕げば踏力が発生し、自転車は前に進んで行きます。レースの世界では自身のエフェクティブ フォースを増やし、ライバルのエフェクティブ フォースを削ることが勝つ条件になります。
エフェクティブ フォースを増やす方法
・トレーニングによって、踏力を増やす。…脚力強化
・トレーニングによって、効率を上げる。…ペダリングの改善・減量
・ポジションによって、効率を上げる…クリート・シート高・ハンドル高などの最適化
・ペダリング環境の改善…ハンドル・サドル・シューズ・ウエアなどを最適化
・戦術によりライバルに足を使わせる…相対的に自身のフォースが増える。
Negative Force(ネガティブ フォース)・・・バイクを止める力
バイクが進みだした瞬間からバイクを止めようとする力(ネガティブ フォース)が発生します。
レースの世界ではライバルよりもネガティブフォースを減らす(時にはライバルにネガティブ フォースを与える)ことが勝負を有利に進めることに繋がります。
ネガティブフォースを減らす方法
・空気抵抗の削減…エアロポジションの研究、ホイール・フレームなど機材の変更、またロードレースで空気抵抗が最も少ない場所にポジション取りする。もしくはライバルを風上に置く。
・重力…ライダーの減量、バイク重量の削減、雨で重くならないウエアの採用、MTBレースでは泥が付着しにくいコーティング剤の採用
・路面抵抗の低減…タイヤの変更・空気圧の最適化。
・路面のギャップ…路面の段差は、失速の要因です。その為、ギャップをいなしてくれるホイール・フレームはネガティブフォースを減らし結果的に速くなります。ライダーが体重移動でうまく段差を超える技術もこれにあたります。
・機械抵抗の低減…踏力はシューズ、ペダル、チェーン、ホイールを経て初めて路面に伝わります。この過程の損失を減らすことにより、ネガティブフォースが減ります。バイククリーニング(実際に効果がある!)、セラミックベアリングの採用。
改善内容を上記の項目に分けて考えると、レースに向けて最も効率的な改善方法が見えやすいのではないかと思います。
次回は、「バイクをより速く進める為の投資」について考えてみたいと思います。
中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了