シクロクロスに向けたトレーニングについて Part2
- 2014年10月1日
- 中田尚志ブログ
前回はシクロクロス(CX)のパワー特性をご説明しましたが、今日はシクロクロスに合わせた実際のトレーニングをご紹介して行きましょう。
・レース中、激しいインターバルが続く→高いFTPとVO2Maxに支えられたアネロビック能力が必要。
・ON/OFFの差が激しい。→パワーの変化が大きい中でのリピータビリティ(反復能力)が要求される。
・ケイデンス特性→ロードよりもケイデンスが遅い為、トルクフルな走りが求められる。
(2)シーズンの組み立て
上記のパワー特性を念頭に置いて、本格的なシーズン開始に向けて段階的に強化をすすめて行く事が必要です。
シクロクロスのシーズンは11月中旬~2月中旬の約3ヶ月です。
この間シクロクロスのレースに明け暮れる為には、しっかりとしたエアロビックベースを築いておくことが必要です。
③レース フォーム(コンディション)
シクロクロスでは、シーズンがロード/MTBに比較して短い為、開幕までにしっかりとコンディションを上げておかなければなりません。
シーズンが短いですから、春先のロードレースのように「1ヶ月ほどレースに出ながら調子を上げる」という手法は取れません。シーズン序盤から「レースを走れる体」に仕上げておく必要があります。
上記3項目をふまえたシーズンのプランニングがこちらです。
11月中旬にレースシーズンに入る場合の強化例
・8月 ロード/MTBシーズン終了後、1-2週間程度のリフレッシュ期間を取る。
・9月 エンデュランス(Power Z2 56-75%, HR Z2, RPE 2-3)領域から始めて、徐々にテンポ/FTP領域のトレーニングを増やす。
・10月 オフロードを含めた場所でアネロビック/VO2Maxの強化を行い仕上げて行く。
・11月 シーズンイン!!
(3)トレーニングのデザイン
レースに似せたトレーニングを! |
レースが行われる路面は土・砂地・芝生・舗装路まで多岐に渡ります。さらにそれらの路面状況は天気によって大きく変化します。
ですからトレーニングでも、あらゆるオフロードの路面状況を経験しておくことが有効です。
とはいえ現実的に毎日オフロードでトレーニング出来る人は少ないでしょう。 そこでパワー特性をレースに似せてシュミレーショントレーニングを行います。
(4)実際のトレーニング
CXの為のエアロビック能力強化トレーニング
・テンポトレーニング①前半用(9-10月)
まずロード/MTB用に鍛えた足からCX用の足にトランジションするトレーニングから始めましょう。
前回ご紹介したようにCXレースの平均ケイデンスはロードより10rpmほど低い80rpm前後です。ですからトレーニングも低いケイデンスで出力を出すワークアウトが必要です。
FTPより少し低いテンポ(Power Z3 76-90%, HR Z3,RPE 3-4)領域で慣らして行きます。
・メニュー1 The Grind
WU: 10-15分 エンデュランスZ2で。
3 x 1分のファーストペダルを足を目覚めさせるために入れよう。
——–
MS1:テンポ(Power Z3 76-90%, HR Z3,RPE 3-4)
筋持久力と有酸素のフィットネスを高めるトレーニング。
今日はそれにケイデンスの要素を加えよう。これにより力強くスムーズなペダリングが出来るようになる。
45分のテンポを3つのパートに分けて異なるケイデンスで行おう。
最初の15分ケイデンス(65-75rpm)になる重めのギアで。
次の15分はケイデンス(80-95rom)になる通常のギアで。
最後の15分はケイデンス(90-105rpm)になる軽めのギアで。
出力は同じに保とう!
地形:自由
——-
CD: 10-15分イージースピニング
・CXの為のFTPトレーニング②後半用(10-11月)
シクロクロスの開幕が近づいて来たら、いよいよレースをシュミレーションするトレーニングに入ります。可能であればオフロードを含む周回コースで行いましょう。
・メニュー2 Tempo with Jumps
3 x 1分のファーストペダルを足を目覚めさせるために入れよう。
——-
MS1: 5分110%FTP。クロスレースのスタートだと思って走ろう!スタートでホールショット(先頭)を取らないまでも、徐々にポジションを上げて行くイメージ。
3-5分リカバー リカバーはレースが近づくにつれて短くして行こう。
——–
MS2: テンポ(Power Z3 76-90%, HR Z3,RPE 3-4)60分
時間は自身のカテゴリーに合わせよう。
テンポで巡航中に5分に1回10-12秒の全力スプリントを入れよう!!
CXレースのコーナー、シケイン、ギャップ越えなどでのスプリントの連続をイメージしながら行おう!
スプリントの後はすぐにテンポにペースを戻すこと。
5分に1回で始めたスプリントの本数は、レースが近づくにつれて増やそう。
レースでは1時間のレースに60-100回のスパイク(数秒のダッシュ)がある。レースに合わせたトレーニングをしよう!
[ウェビナー開催]
「さぁ、パワートレーニングを始めよう!」 |
Peaks Coaching Group Japanでは10/11(土)日本時間PM9:00からウェビナーを開催します。
第一回目は「さぁ、パワートレーニングを始めよう!」と題して、パワートレーニングの理論と実践方法についてのセミナーを行います。
2014シーズンも終了に近づき、「今年の冬はパワートレーニングを始めよう!」
「パワーメーターで行う強化について調べてみよう。」と考えておられる方も多いかと思います。
ご自宅でも出先でもインターネット環境があれば、どこでも受講可能ですので、是非ふるってご参加ください。
・日時 2014年10月11日 日本時間 PM9:00~10:00
・受講料 $16.46≒JPY1,800
Peaks Coaching Group
中田尚志
中田尚志…Peaks Coaching Group プラチナム認定コーチ。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了