トレーニングデータに見るプロとアマの違い
- 2014年06月3日
- 中田尚志ブログ
プロサイクリストとアマチュアサイクリストの違いは、色々な所にあります。
バイクコントロール、パワー、レースの距離、戦術・・・etc.。
彼らが類稀なる才能の持ち主であるのは疑いようがないですが、トレーニングの解析をしていて感心するのはプロ選手のパワーコントロールの上手さです。
設定した練習強度に照準を合わせ、ターゲット領域にピタリとパワーをコントロールする能力は、驚くべきものです。
今回はVO2Max領域の練習を例にとって見て行きましょう。
画像の上半分がMTBワールドカップを転戦しているプロサイクリストのパワーデータで、下半分がパワートレーニング歴5年のアマチュアサイクリストです。
両者ともにVO2Max強化のインターバル(106-120%FTP)を行っています。
図中黄色の線がパワーです。
図をご覧いただくとプロ選手は各インターバル中、スタートからフィニッシュまでパワーが、ほぼ横ばいの線を描きVO2Max領域を安定して維持している事がわかります。
さらに彼は最後の4本目(hill4)まで安定したパワーを発揮しているのがお分かり頂けると思います。対してアマチュア選手は出だしに大きなパワー(VO2Max領域以上)を発揮していますが、少しづつパワーを落とし最後はターゲットのVO2Max領域を切ってしまっています。
結果、このプロ選手は、合計11分間のVO2Max練習中に10分45秒間(97.7%)VO2Maxレンジを刺激する事に成功しています。(ちなみにアマチュア選手は10分間中、7分3秒(70.5%))
これにより両者とも同じVO2Maxのトレーニングながら、実際にVO2Max領域を刺激している時間は27%も違う事が分かります。
プロ選手がパワーのコントロールを上手に行った結果、より練習を効果的なものにしているのが、ここからお分かり頂けるかと思います。
では上手くパワーをコントロールするには、どうすれば良いのでしょうか?
パワーメーターを活用するのです。これをペーシング(pacing) と言います。
感覚的には一定のペースでも、前半は疲労していないので、つい力んでパワーを加え過ぎてしまいます。
反対に後半は疲労しているためにパワーを落としがちになります。
これをメーターを見ながらコントロールします。
1・2本目は感覚的に少し抑え目に感じると思いますが、パワーメーターを”手綱”として使い、飛ばし過ぎを防ぎます。
そして疲労し始めた3本目あたりから、ターゲットを下回らないようにパワーメーターを”ニンジン”として使うのです。
メーターを使っても最初からプロ選手のように上手にコントロールする事は難しいですが、何セットもこなすうちに狙ったターゲットを上手に刺激出来るようになります。
その時にはVO2Maxだけでなく、ペダリング技術も向上していることでしょう!
VO2Maxの強化練習例
非常に高い強度で集中力を要する練習です。必ず車や人の居ない場所で実行してください。
下記のメニューをコピーし携帯に転送してお使いください。
Bike : 3分,2分, Vo2max! 1時間25分
今日はVo2maxにフォーカスした練習だ。モガく時間が2分しかないって?
OK!練習後に話をしよう!
1.WU:15分 ウォームアップ
メインセット:
2. 5分(105%FTP).5分イージー
3.Vo2max 1セット目
4 x 3分, 3分間維持できる最高の出力で。(106-113%FTP)かそれ以上を目標にしよう。
インターバルは3分。
4.10分流し
5.Vo2max 2セット目
4 x 2分, インターバルは4分。(110-115%FTP)は可能なはずだ。
「自分は今Vo2maxを伸ばしているんだ!」と意識しながらやる事。
6.CD: クールダウン 10 -15分
この練習は春先からシーズン中にかけて行う練習です。レースの少ない地方に住む選手は特に力を入れて行ってください。
帰宅したらデータの平均値を調べて、次回はそれを上回るように。
練習はテスト、テストは練習です!
では良いライドを!
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