PEAKS COACHING GROUP(PCG)コーチの唐見実世子(カラミ ミヨコ)です。

今シーズン、サポートを行っているミネルヴァあさひは、個人総合、チーム総合ともに首位に立ち、ツアーリーダージャージを着用してレースを戦っています。

これまで“挑戦する側”として戦ってきたチームが、“追われる側”としてレースを組み立てる。

今シーズンは、そんな新たなフェーズへと足を踏み入れています。

ツアーリーダージャージと安原大貴選手

今シーズン、MiNERVA asahiサイクリングチームは個人総合、チーム総合ともに首位に立ち、ツアーリーダージャージを着用してレースを戦っています。

その中心にいるのが、リーダージャージを守る安原大貴選手です。

昨年までマトリックスパワータグで走り、数々のハイレベルなレースを経験してきた彼の存在は、今シーズンの安定した結果に大きく貢献しています。

個人総合リーダーの証である「Jエリートリーダージャージ」を着用する安原大貴選手

 

広島三原ロードレースで見えたチームの形

安原選手のミネルヴァあさひとしての初戦は、3月28日に広島中央森林公園で開催されたJBCF広島三原ロードレースでした。

初めて顔を合わせる選手も多い中でのレースでしたが、それでもチーム全体がひとつの方向を向き、一丸となって走っていた姿が非常に印象的でした。

レース中の細かな連携や声掛けだけでなく、「チームとしてどう戦うか」という意識が自然と共有されていたように感じます。それは単なる寄せ集めではなく、それぞれが役割を理解し、支え合おうとする空気感でした。

 

昨年の経験がチームの自信に

一方で、チームとしての土台も着実に築かれてきました。昨年はVC Fukuokaとのチーム総合ランキング争いを制し、その経験が自信としてチーム全体に根付いています。

集団内は緊張感に包まれながらレースを行なっている

 

東西クラシックで見えた課題

広島三原ロードレースでは、レースは最後まで大きく崩れることなく進み、最終的にはゴールスプリント勝負となりました。

その中で、安原選手がしっかりと勝負をまとめ、チームにとって大きなスタートを切ることができました。

しかし、シーズンは常に順調に進むわけではありません。

4月の西日本クラシック、そして東日本クラシックでは、チームとして非常に良いレース内容を展開しながらも、結果には結びつきませんでした。

エリートツアーには、長年経験を積み上げてきたトップ選手たちが数多く存在します。レース終盤にはそうした有力選手が自然と残り、わずかな判断、位置取り、タイミングの差が勝敗を分けます。

西日本クラシックでは、レース中盤からリーダージャージを含むMiNERVA asahiの逃げが決まり、会場全体に大きなインパクトを与えた。

 

リーダージャージを守る難しさ

リーダージャージを守り続けるためには、チーム力が必要不可欠です。

しかし最終的には、限られた選手たちによる高いレベルの駆け引きと、個の力が問われます。

だからこそ、現在の順位には大きな価値があります。

チームとして有利な状況を作りながら、重要な局面で戦える位置に選手を送り込む。今シーズンは、その形が少しずつ作られ始めています。

また、チームにとって「ツアーリーダーを守るレース運び」は初めての経験でもあります。これまでは挑戦する立場でしたが、今はすべてのチームからマークされる側。展開をコントロールし、ミスなくレースを進めていく難しさと向き合っています。

大集団の中で連携しながら動き、レースをコントロールするMiNERVA asahi。

 

レースによって変わる戦い方

一方で、レースのレイティングやメンバー構成によっては、異なる視点でレースを組み立てることもできます。

強豪選手や各チームのエースが不在のレースでは、若手選手が積極的に動いたり、新しい戦術を試したりする機会も生まれます。

守る戦いと、攻めて広げる戦い。

その両方を経験しながら、チームとしての総合力を高めていくことが、今シーズンの大きなテーマです。

社会人チームだからこその難しさ

また、社会人レーサーという特性も、チームの在り方に大きく影響しています。

プロチームとは異なり、それぞれが仕事や生活を持つ中で競技に取り組んでいるため、個々の目標や背景も多様です。

その中で、すべてをチームやエースのために捧げる走りを一律に求めることは現実的ではありません。だからこそチームとしては、個々の成長や挑戦を尊重しながら、チームとしての成果につなげていくバランスを大切にしています。

個の挑戦と、チームの勝利。

その両方が噛み合ったとき、チームはより強く、そして持続的に成長していけると考えています。

選手、GM、スタッフまで含め、チーム全体が株式会社あさひで構成されていることも、MiNERVA asahiの大きな特徴のひとつだ。

 

6月から始まる前半戦の山場

リーダージャージは、結果であると同時に、次の成長への入口でもあります。

5月はUCIレースが多く開催されていたこともあり、国内シリーズのレース活動はやや落ち着いた期間となりました。

そして、いよいよ6月。

JBCFサイクルロードシリーズに加え、全日本自転車競技選手権大会をはじめとする重要レースが続き、シーズン前半のハイライトともいえるレース月間が始まります。

ここから先は、さまざまな条件が交錯し、個人総合・チーム総合ともに、さらに激しい争いが予想されます。

リーダージャージを守る難しさ。

着続ける中で生まれるプレッシャー。たとえ手放したとしても続いていく重圧。

そして、経験豊富なライバルチームとの駆け引き。

シーズン序盤で積み重ねてきたものが、ここからより明確に試されるフェーズへと入っていきます。

 

限られた環境の中で挑み続ける

また、社会人であるミネルヴァあさひの選手たちは、それぞれが仕事や生活を抱えながら競技活動を続けています。

そのため、すべての選手が全レースに出場できるわけではありません。

限られた時間、限られた体制の中で、どのように戦うのか。誰がどのレースで役割を担い、どのようにチームとして力を発揮するのか。

その積み重ねが、シーズンを通した大きな戦いにつながっています。

それでも、チーム力を武器にしながら、個々の力を高め、挑戦を続けていきます。

 

広島三原ロードレースを制した安原大貴選手。シーズン序盤の重要な勝利となった。