パワーコーチへの道 パワートレーニングとの出会い
初めての海外
初めて海外に行ったのは1994年。 アメリカ カリフォルニア州バークレー
そこで何やらコーチにつくと早く上達できるらしい。ことを知ったのが私がコーチングに興味を持ったキッカケだった。
私が滞在したバークレー(Berkeley)は、自転車が盛んで、少なくとも週に5回はレースが開催されていた。
「レースに出すぎると疲労困憊するからトレーニングも大事だよ」と言われ、おぼろげながらトレーニングプログラムを立ててレースに出ていた。
町にはレネー・ウェンゼルというコーチが居て、ケンドラ・ニーランドという女子選手を指導していた。ケンドラは日本の前橋で行われた世界選手権で7位に入った選手。
彼女は女子のクリテリウムで優勝した直後に男子のプロカテゴリーの集団でも走ることでテクニックと体力を磨いていた。かと思えば、「今日は出ない」と行って観戦に回っていることもあった。更にはグループライド(練習会)に来ることもあれば、しばらく来ないこともあった。
どうやらコーチのトレーニング計画に従っているらしい。
そんなコーチに友人のゲンがコーチングを受けることなった。私よりもずっと強く、ずっと経験豊富だった彼だがコーチについてからメキメキと実力を伸ばしだした。
日本の全日本選手権で10位前後に入るようになり、遂にはプロを目指してスイスに渡り武者修行するまでになった。
日本に戻り、「自分がコーチングを受けたら少しは強くなれるのかな?」という興味はあったが、それは海の向こうの文化で日本に持ち込むことは不可能に見えた。
パワーメーターの登場
10年以上が経過し、パワーメーターを手に入れてトレーニングするようになり、効率的なトレーニングが出来るようになった。それは既に35歳になっていた自分にとっても革命だった。高校時代からトレーニングをはじめ「トレーニングのことはだいたい分かっている」と思っていた自分の体が面白いように反応することに驚きを感じた。
パワーが上がれば正解。パワーが上がらなければまた別の方法を試せば良い。簡単にパフォーマンスの変化を測れることがまず第一の革命。
次にターゲットを明確にすれば、35歳でもパフォーマンスが伸びることが分かったのが第二の革命だった。
それまでは沢山乗ることが強くなることだと思っていた。しかしその一方、思った程のトレーニング量をこなせない自分の体のキャパシティに限界を感じてもいた。
また年齢を考えると今のトレーニング量を確保するのが精一杯。トレーニングを増やすことは出来ない=老化に向かう。 という自身の考えを打ち破ってくれた。
パワートレーニングを日本へ
日本からパワートレーニングの書籍を取り寄せ、インターネット検索するうちに「当時アメリカで行っていたトレーニングだ」と思うワークアウトをいくつか見つけた。
さらにトレーニングの組み方やシーズンの過ごし方も「当時教えてもらったことが原型になっているのだな」と想像がつくことも多かった。
そこでハンター・アレンが販売していた「トレーニング・プラン」を試してみることにした。既に37才になっていたが、プランを開始して12週間後には今まで経験したことがないほどレースで入賞出来るようになった。
更にインターネットでコーチングが受けれることを知った。その時から「これならアメリカのコーチングを日本に持ってくることが出来るのではないか?」と思うようになった。
とはいえコーチングは、やはり遠い海の向こうの話。自身が会社員の傍らでこの文化を持ち込むのは不可能に思えた。そこで半分”諦めるため”にアメリカ・コロラド州で行われるパワートレーニングの講習会に参加することにした。
中田尚志
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