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100分の1秒を削るために

トラック競技の強化は自転車競技の究極の形です。

改善を図りタイムが短縮できれば正解。
タイムが縮まらなければまた別の方策を練ります。

トラック競技は、ほぼ一定条件下でトライアル&エラーを行えるのでスピードの追求が行いやすいのです。

 

22才にして7度の世界チャンピオンに輝き、個人追い抜きの世界記録保持者でもあるクロエ・ダイガード(Chloé Dygert)

左は初めて団体追い抜きでワールドカップに出た時のもの。

右は団抜きで世界チャンピオンになったときのもの。

違いは頭の位置です。
右の方がほんの少し頭を下げているのが分かると思います。

 

団体追い抜きは平均時速55.5kmの高速で争われる競技です。
この速さでは空気抵抗が走行抵抗の90%を占めると言われています。
さらに空気抵抗の70%は人の体が受けていると言われています。

ですから、ほんの少し頭のポジションを変えるだけでタイムに違いが出てくるのです。

選手・コーチたちは少しでもパワーを上げること、そしてホンの少しでも抵抗を減らすことを日々研究してタイムを削っていきます。

 

Peaks Coaching Group-Japan
中田尚志

 

 

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[トラック] トラック界の風雲児 HUUB WATTBIKE

HUUB WATTBIKE(フーブ・ワットバイク)は、トラックには珍しいトレードチームです。

 

チームの創設者であるDan Bigham(ダン・ビグハム)は、元GBチームのメンバーで、自身の可能性を追求する為にチームを作りました。

まだ現役でイギリス国内選手権を制したこともあります。

彼はエンジニアとしてのキャリアも持ち、空力の専門家としてF1やCanyon SRAMのTTT世界選手権制覇にも貢献してきました。

ワットバイクチームは団体追い抜きを最も得意としていて、世界で史上5番目の記録である3分53秒をマークしています。

12月に行われたロンドン・ワールドカップでは宿敵イギリスを抑えて優勝!

 

その戦法も斬新でスタート後、1走の選手が先頭を走った後に2走は1km先頭を引いてから交代。その後は3番手に入ります。(1走は4番手で待機)。

 

こうすることでスタンディング(スタートの加速)で消耗した1走を後半に向けて1.5km程度温存しラストのペースアップに使います。

徹底した空力の追求と頭脳的戦術で巨額の資金を有するイギリスチームに勝利したことは、まだまだ自転車競技は創意工夫で勝てる余地があることを示しています。

 

Peaks Coaching Group – Japan
中田尚志

 

 

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[レース] アメリカの先輩と後輩の関係

意外に思われるかもしれませんが、アメリカの自転車界は先輩・後輩の関係が結構あります。

 

文化的に初心者にアドバイスすることが良しとされているし、アメリカでも自転車はマイナースポーツなので、入ってきた若手をみんなで育てようという機運があるからです。

 

写真は2010年に撮影されたもの。

左がMTBのレジェンド・ジェレマイア・ビショップ、右がベン・キング(ディメンション・データ)です。

 

ジェレマイアは長きにわたってパワートレーニング・バイブルの著者でPeaks Coaching Groupハンター・アレンのコーチングを受けた選手で、マイクロバースト(15秒ON / 15秒OFFの繰り返しインターバル)は彼とハンターによって作られたものです。

そのジェレマイアも後輩の育成に情熱を傾ける選手です。

 

ベンはこの時スタンズ・ノーチューブという若手育成をメインにするチームに所属し、その後トレック・リブストロングを経てプロの世界へ。昨年はヴェルタでステージ2勝を挙げました。

ベンはジェレマイアとトレーニングを共にして実力をつけましたし、スタンズやリブストロングでも良い指導者に恵まれて実力を伸ばしました。

 

どんなに才能に恵まれた選手でも最初は初心者です。
こういった才能をみんなで声を掛け合って強くする風土があるところにアメリカの強さがあると感じます。

 

Peaks Coaching Group – Japan

中田尚志